第19話 まぼろしの家族
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「!!」
私は驚いて振り返った。
すると、五条さんはニンマリと笑って、
「おかえり」
と、言った。
「ど、どうして・・・!?」
私は動揺しながら言った。
「っていうか、どうやって部屋に・・・」
「あ、ごめん。鍵なら壊しちゃった」
「!!??」
見てみると、五条さんの言葉通り玄関ドアの鍵は壊されていた。
これで二回目(一回目は野薔薇ちゃんにやられた)!
「何でこんな無茶苦茶するんですかーっ!」
「ピンポンしても出てくれないと思ってさぁ。だから強行突破しちゃった。修理代ならだすからさ」
と言いつつも、五条さんは悪びれない様子。
そして私の傍にしゃがみ込み、私の頬についた饅頭の破片を指で拭い、
「そんなことより何してんの?饅頭とにらめっこしてさ」
その指先をなぶって頬張った。
が、すぐに顔をしかめた。
「ナニコレ。味しないんだけど」
「小麦粉を練っただけのものだから・・・」
と答えている最中に、私はハッとして五条さんから目を逸らした。
思い出してしまったのだ。
『僕は和紗のことを愛してる』
こうして顔を合わせるのは、あの日以来だ。
恥ずかしさと気まずさで、顔がひとりでに強張る。
五条さんはそんな私の様子にすぐに気づいた。
「あー・・・、こないだはごめんね。唐突にあんなこと言っちゃって」
「・・・・・・」
「硝子にも叱られたよ。女心をわかってないってさ。まぁ、年中飲んだくれてるアイツに女心を諭されても説得力ないんだけどね」
「・・・・・・」
「とりあえず、こないだのことは置いておいて。今日は別件でここに来たんだよ」
「別件・・・?」
「恵から全部聞いたよ。お父さんに会ったんだね」
「・・・・・・っ」
「そして、女型呪霊のことも」
「・・・・・・」
「『明埜乃舞降鶴乃御砡』は?」
「え・・・」
「お父さんが創ったって。今も持ってるの?」
「・・・・・・」
私は立ち上がり、戸棚からその呪玉を取り出した。
そして、それを五条さんに差し出した。
「ふーむ」
と、五条さんは呪玉を軽く掲げてあらゆる角度から観察する。
「・・・確かにこれには呪力が籠ってる。しかも反転術式による正のエネルギーが」
「はい・・・」
「和紗のお父さんは、『造砡包呪呪術』を使えるんだね」
「・・・・・・」
私はコクリと小さく頷いた。
「でも、お父さん糠田が森に戻る気はないって言ってました。自分はおじいちゃんのようには出来ないって・・・」
「・・・そっか」
と、五条さんはテーブルに並べられた饅頭に視線を向けた。
「それで、こういう状況ってわけか」
「・・・でも、上手く出来なくて」
「そーだねー」
と、五条さんは饅頭のひとつを手に取り、ニギニギと握りしめて形を変えながら言った。
「こういう形が固定しないものに呪力を込めるのは難しいよー。練習するなら、形が固定したものから始めた方が良い。それこそ呪骸とかボールとかね」
「・・・・・・」
上手くいかないのは、呪力を物に込めることだけじゃなくて、反転術式そのものなのだけど。
でも、こんな時にスランプに陥ってるだなんて言えなかった。
「五条さん・・・」
私は言った。
「女型呪霊は、糠田が森に?」
私は不安の眼差しで五条さんを見つめた。
「今、糠田が森には呪術師をひとり常駐させている」
私の視線を受けて、五条さんは言った。
「だけど、虹色頭の女型呪霊の出現は今のところ確認されていない」
「そう・・・ですか」
それを聞いてホッとする一方で、
『私は次々と生まれるの』
あの女型呪霊の言い表しようのない不気味さを思い出した。
「どっかよそに行っちゃったのかもしれないね。糠田が森は何にもなくて退屈だからって」
五条さんが冗談めかして言った。
「だって、そいつ新幹線に乗ってたんでしょ?あり得なくないんじゃない?東京に来てたりして」
「・・・・・・」
「って、笑えないか」
私は驚いて振り返った。
すると、五条さんはニンマリと笑って、
「おかえり」
と、言った。
「ど、どうして・・・!?」
私は動揺しながら言った。
「っていうか、どうやって部屋に・・・」
「あ、ごめん。鍵なら壊しちゃった」
「!!??」
見てみると、五条さんの言葉通り玄関ドアの鍵は壊されていた。
これで二回目(一回目は野薔薇ちゃんにやられた)!
「何でこんな無茶苦茶するんですかーっ!」
「ピンポンしても出てくれないと思ってさぁ。だから強行突破しちゃった。修理代ならだすからさ」
と言いつつも、五条さんは悪びれない様子。
そして私の傍にしゃがみ込み、私の頬についた饅頭の破片を指で拭い、
「そんなことより何してんの?饅頭とにらめっこしてさ」
その指先をなぶって頬張った。
が、すぐに顔をしかめた。
「ナニコレ。味しないんだけど」
「小麦粉を練っただけのものだから・・・」
と答えている最中に、私はハッとして五条さんから目を逸らした。
思い出してしまったのだ。
『僕は和紗のことを愛してる』
こうして顔を合わせるのは、あの日以来だ。
恥ずかしさと気まずさで、顔がひとりでに強張る。
五条さんはそんな私の様子にすぐに気づいた。
「あー・・・、こないだはごめんね。唐突にあんなこと言っちゃって」
「・・・・・・」
「硝子にも叱られたよ。女心をわかってないってさ。まぁ、年中飲んだくれてるアイツに女心を諭されても説得力ないんだけどね」
「・・・・・・」
「とりあえず、こないだのことは置いておいて。今日は別件でここに来たんだよ」
「別件・・・?」
「恵から全部聞いたよ。お父さんに会ったんだね」
「・・・・・・っ」
「そして、女型呪霊のことも」
「・・・・・・」
「『明埜乃舞降鶴乃御砡』は?」
「え・・・」
「お父さんが創ったって。今も持ってるの?」
「・・・・・・」
私は立ち上がり、戸棚からその呪玉を取り出した。
そして、それを五条さんに差し出した。
「ふーむ」
と、五条さんは呪玉を軽く掲げてあらゆる角度から観察する。
「・・・確かにこれには呪力が籠ってる。しかも反転術式による正のエネルギーが」
「はい・・・」
「和紗のお父さんは、『造砡包呪呪術』を使えるんだね」
「・・・・・・」
私はコクリと小さく頷いた。
「でも、お父さん糠田が森に戻る気はないって言ってました。自分はおじいちゃんのようには出来ないって・・・」
「・・・そっか」
と、五条さんはテーブルに並べられた饅頭に視線を向けた。
「それで、こういう状況ってわけか」
「・・・でも、上手く出来なくて」
「そーだねー」
と、五条さんは饅頭のひとつを手に取り、ニギニギと握りしめて形を変えながら言った。
「こういう形が固定しないものに呪力を込めるのは難しいよー。練習するなら、形が固定したものから始めた方が良い。それこそ呪骸とかボールとかね」
「・・・・・・」
上手くいかないのは、呪力を物に込めることだけじゃなくて、反転術式そのものなのだけど。
でも、こんな時にスランプに陥ってるだなんて言えなかった。
「五条さん・・・」
私は言った。
「女型呪霊は、糠田が森に?」
私は不安の眼差しで五条さんを見つめた。
「今、糠田が森には呪術師をひとり常駐させている」
私の視線を受けて、五条さんは言った。
「だけど、虹色頭の女型呪霊の出現は今のところ確認されていない」
「そう・・・ですか」
それを聞いてホッとする一方で、
『私は次々と生まれるの』
あの女型呪霊の言い表しようのない不気味さを思い出した。
「どっかよそに行っちゃったのかもしれないね。糠田が森は何にもなくて退屈だからって」
五条さんが冗談めかして言った。
「だって、そいつ新幹線に乗ってたんでしょ?あり得なくないんじゃない?東京に来てたりして」
「・・・・・・」
「って、笑えないか」