第18話 帰郷
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それからは私も伏黒君も、ただ黙ってバスが来るのを待った。
そんな時だった。
「あっ、おーいおーい♡」
鈴が鳴るような、高くて甘ったるい女の子の声が聴こえてきた。
声の方を見てみると、
「また会ったね♡」
さっき寺の参道で会った、レインボーカラーのロングヘアの女の子がいた。
こちらに手を振りながら、ずんずんと私たちの方へ近づいてくる。
「知り合いですか?」
と、伏黒君が訝し気に尋ねる。
「いや、さっきお寺に行く途中にすれ違っただけで・・・」
と、戸惑う私たちよそに、レインボーヘアーの女の子は私の前にやって来て、ズイッと顔を近づけた。
思わず後ろに仰け反る私にお構いなく、彼女は言った。
「私、もう一度あなたに会いたかったの!」
「は、はぁ?」
「私の話し方どう?さっきより上手くなったでしょ?」
「話し方?」
「ここにいる人間を見て真似たの」
「はぁ・・・」
「だって、もっとあなたと仲良くしたくて。そのためにはお話を出来るようにならなくちゃって一生懸命練習したの」
「・・・・・・」
なんだか変わったコだなぁ。
でも、淀みのないキラキラした目を私に向ける彼女は、小さな子どもの様で邪気は感じない。だけど。
「ねぇ、私と友達になってくれる?」
「え・・・」
一方的過ぎる言動に困惑していると、
「わっ」
急に伏黒君に腕を引かれて、レインボーヘアーの女の子から引き離された。
「・・・・・・」
そして、伏黒君は彼女との間に入るように私の前へ立った。
彼女はキョトンと伏黒君の顔を見上げると、
「へぇ、あなたも私が見えるんだ」
と、フフッと笑った。
伏黒君は無言のまま、組んだ両手を前に突き出し、
「『玉犬』」
と、唐突に式神を呼び出した。
現れたのは、体の一部が白く大きな前足と鋭い爪を持ったまるで狼のような犬だった。
(以前見た玉犬と違う・・・)
と、興味をひかれつつもハッと我に返り、
「伏黒君、どうして玉犬なんか!」
と、伏黒君を問い詰めた。
しかし、伏黒君は動じることなく玉犬も収めることもなく冷静な声で言った。
「気づいてないんですか?」
「え?」
「コイツは人間じゃない。呪霊だ」
「え・・・」
私は呆然として、レインボーヘアーの女の子の方へ視線を向けた。
彼女は肯定するでも否定するでもなく、
「ふふっ」
と、笑っている。
すると次の瞬間、
「バウゥッ!!」
玉犬は彼女に向かって飛びかかった。
彼女は抵抗することなく、その喉元に玉犬が噛みついた。
「・・・・っ!」
見るに堪えず、私は固く目をつむって顔を逸らした。
しかし、彼女は悲鳴を上げることなく、玉犬の荒々しい息遣いだけが聴こえる。
やがて、その玉犬の息遣いも聴こえなくなり、私は恐る恐る目を開けた。
「え・・・」
すると、レインボーヘア―の女の子の姿は消えていて、その場所には呪霊を祓った後と同じく塵芥がハラハラと風に吹かれていた。
その光景を見て、私は呟く。
「・・・本当に呪霊だったの?」
「この光景を見ればわかるでしょう」
そう言いながら、伏黒君は警戒するように辺りを見回していて、玉犬も探るように辺りの匂いを嗅いでいる。
それでも、私はまだ信じられなかった。
「でも、あの姿に話し方・・・まるで人間じゃない・・・!」
「俺もあんなに人の形に近い呪霊は初めてだ。しかも、一方的ながらコミュニケーションが取れるとなると・・・」
伏黒君は言った。
「もしかしたら特級呪霊だった可能性がある」
「特級・・・」
どうしてそんなものが糠田が森に?
ずっと蠅頭ぐらいしかいなかったのに。
「その割にやけにあっけなかった。玉犬も反応しない。もうここにさっきのようなヤツはいない」
伏黒君の言葉通り、玉犬も緊張感を解いて伏黒君に体を擦り寄せている。
そんな時だった。
「あっ、おーいおーい♡」
鈴が鳴るような、高くて甘ったるい女の子の声が聴こえてきた。
声の方を見てみると、
「また会ったね♡」
さっき寺の参道で会った、レインボーカラーのロングヘアの女の子がいた。
こちらに手を振りながら、ずんずんと私たちの方へ近づいてくる。
「知り合いですか?」
と、伏黒君が訝し気に尋ねる。
「いや、さっきお寺に行く途中にすれ違っただけで・・・」
と、戸惑う私たちよそに、レインボーヘアーの女の子は私の前にやって来て、ズイッと顔を近づけた。
思わず後ろに仰け反る私にお構いなく、彼女は言った。
「私、もう一度あなたに会いたかったの!」
「は、はぁ?」
「私の話し方どう?さっきより上手くなったでしょ?」
「話し方?」
「ここにいる人間を見て真似たの」
「はぁ・・・」
「だって、もっとあなたと仲良くしたくて。そのためにはお話を出来るようにならなくちゃって一生懸命練習したの」
「・・・・・・」
なんだか変わったコだなぁ。
でも、淀みのないキラキラした目を私に向ける彼女は、小さな子どもの様で邪気は感じない。だけど。
「ねぇ、私と友達になってくれる?」
「え・・・」
一方的過ぎる言動に困惑していると、
「わっ」
急に伏黒君に腕を引かれて、レインボーヘアーの女の子から引き離された。
「・・・・・・」
そして、伏黒君は彼女との間に入るように私の前へ立った。
彼女はキョトンと伏黒君の顔を見上げると、
「へぇ、あなたも私が見えるんだ」
と、フフッと笑った。
伏黒君は無言のまま、組んだ両手を前に突き出し、
「『玉犬』」
と、唐突に式神を呼び出した。
現れたのは、体の一部が白く大きな前足と鋭い爪を持ったまるで狼のような犬だった。
(以前見た玉犬と違う・・・)
と、興味をひかれつつもハッと我に返り、
「伏黒君、どうして玉犬なんか!」
と、伏黒君を問い詰めた。
しかし、伏黒君は動じることなく玉犬も収めることもなく冷静な声で言った。
「気づいてないんですか?」
「え?」
「コイツは人間じゃない。呪霊だ」
「え・・・」
私は呆然として、レインボーヘアーの女の子の方へ視線を向けた。
彼女は肯定するでも否定するでもなく、
「ふふっ」
と、笑っている。
すると次の瞬間、
「バウゥッ!!」
玉犬は彼女に向かって飛びかかった。
彼女は抵抗することなく、その喉元に玉犬が噛みついた。
「・・・・っ!」
見るに堪えず、私は固く目をつむって顔を逸らした。
しかし、彼女は悲鳴を上げることなく、玉犬の荒々しい息遣いだけが聴こえる。
やがて、その玉犬の息遣いも聴こえなくなり、私は恐る恐る目を開けた。
「え・・・」
すると、レインボーヘア―の女の子の姿は消えていて、その場所には呪霊を祓った後と同じく塵芥がハラハラと風に吹かれていた。
その光景を見て、私は呟く。
「・・・本当に呪霊だったの?」
「この光景を見ればわかるでしょう」
そう言いながら、伏黒君は警戒するように辺りを見回していて、玉犬も探るように辺りの匂いを嗅いでいる。
それでも、私はまだ信じられなかった。
「でも、あの姿に話し方・・・まるで人間じゃない・・・!」
「俺もあんなに人の形に近い呪霊は初めてだ。しかも、一方的ながらコミュニケーションが取れるとなると・・・」
伏黒君は言った。
「もしかしたら特級呪霊だった可能性がある」
「特級・・・」
どうしてそんなものが糠田が森に?
ずっと蠅頭ぐらいしかいなかったのに。
「その割にやけにあっけなかった。玉犬も反応しない。もうここにさっきのようなヤツはいない」
伏黒君の言葉通り、玉犬も緊張感を解いて伏黒君に体を擦り寄せている。