第18話 帰郷
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『つるぎ庵』の跡地は、博おじさんの計画通り、工場兼店舗が建っていた。
店舗には『にせづる』を求める客が出入りをしている。
「工場で大量生産出来るようになったから、もう予約販売はする必要がなくなったんだって。だから沢山のお客さんが来るようになったの」
百合子ちゃんが言った。
「テレビCMで宣伝したり、最近は工場の見学が観光ツアーに組み込まれたりしてるんだって。以前はSNSで知る人ぞ知るって感じだったけど、今やすっかり全国的に有名になったみたいよ」
「そ、そうなんだ・・・」
こりゃ本当に糠田が森の産業革命だわ。
私はふと気になって百合子ちゃんに尋ねてみた。
「百合子ちゃんは食べたの?にせ・・・じゃない、新しいあけづるを」
「あー、うん。勿論」
「・・・どうだった?」
「あーもー、全然違う!」
百合子はぷんすかと息も荒く言った。
「餡子の甘さも皮の柔らかさも何もかも違う!ちぃ~っとも美味しくないの!耕造さんが作った『あけづる』とは全く別物だわ、あれは。そう、あれは『にせづる』よ!」
「・・・・・・」
「糠田が森の皆がそう言ってるよ。観光客はわからなくても、ずっと耕造さんの『あけづる』を食べてきた私たちには違いがわかるって」
「・・・ははっ」
思わず吹き出して笑うと、ぷんすかしていた百合子ちゃんもつられて笑い出した。そして、私に向かって言った。
「だから、和紗ちゃんが立派な和菓子職人になって本当の『あけづる』を作ってくれるのを楽しみにしてるの。私だけじゃない、この糠田が森の皆がそう思ってるのよ」
「・・・・・・」
「花ちゃんも楽しみなんだよね~」
と百合子ちゃんが言うと、背中の花ちゃんが呼応するように「うー」と声を上げた。
「・・・・・・」
そうだ。
私はこの糠田が森を呪いから護る呪力 を得るために、旅立ったんだ。
そして、必ず戻って来るって。
ずっとそう心に決めてやってきたんだ。
ただただ、それだけの思いで旅立ったのに、今の私は何を・・・。
「あ、そう言えば。こないだ『額多ヶ守』で大変なことが起きたのよ!」
と、ふと思い出したかのように百合子ちゃんが言った。
「え・・・」
それを聞いて、私はギクッとする。
「大変って何?どうしたの、何があったの!?」」
まさか『呪い』の被害が?
血相を変える私を、百合子ちゃんはキョトンとした顔で見返した。
「や、そんな血相を変えるようなことじゃないんだけど」
「じゃあ何があったの?」
「映画のロケがあったの」
「・・・・・・・」
映画、と聞いて私はポカンとする。
「・・・映画のロケ?」
「うん。前から噂になってたでしょ。三池〇史監督、橋本〇奈主演で『額多ヶ守』の伝説を題材にしたホラー映画が製作されるって」
「・・・・・・」
そういえば、高校のオカ研部でそんな話してたような(※第2話)。
「で、その映画の撮影で橋本〇奈ちゃんが来てたのよ!私、サインもらっちゃった。メチャクチャ可愛かったよー、〇奈ちゃん♪」
「・・・・・・!!」
な、なんと!!
こんなド田舎にそんな一流芸能人が!?
「ず、ずるいーーーっ」
思わず私は叫んでいた。
「私も橋本〇奈ちゃんに会いたかった!サイン欲しかったーっ!」
「えー。和紗ちゃん、東京にいたら芸能人に会うなんて日常茶飯事でしょ?」
「そんなの会ったことなんてないよーっ!」
「え、ホントに?・・・ま、東京って人が多いもんね。会っても気づかないのかもね」
「〇奈ちゃんのサインーーーっ!」
【和紗は意外とミーハーであった・・・】
店舗には『にせづる』を求める客が出入りをしている。
「工場で大量生産出来るようになったから、もう予約販売はする必要がなくなったんだって。だから沢山のお客さんが来るようになったの」
百合子ちゃんが言った。
「テレビCMで宣伝したり、最近は工場の見学が観光ツアーに組み込まれたりしてるんだって。以前はSNSで知る人ぞ知るって感じだったけど、今やすっかり全国的に有名になったみたいよ」
「そ、そうなんだ・・・」
こりゃ本当に糠田が森の産業革命だわ。
私はふと気になって百合子ちゃんに尋ねてみた。
「百合子ちゃんは食べたの?にせ・・・じゃない、新しいあけづるを」
「あー、うん。勿論」
「・・・どうだった?」
「あーもー、全然違う!」
百合子はぷんすかと息も荒く言った。
「餡子の甘さも皮の柔らかさも何もかも違う!ちぃ~っとも美味しくないの!耕造さんが作った『あけづる』とは全く別物だわ、あれは。そう、あれは『にせづる』よ!」
「・・・・・・」
「糠田が森の皆がそう言ってるよ。観光客はわからなくても、ずっと耕造さんの『あけづる』を食べてきた私たちには違いがわかるって」
「・・・ははっ」
思わず吹き出して笑うと、ぷんすかしていた百合子ちゃんもつられて笑い出した。そして、私に向かって言った。
「だから、和紗ちゃんが立派な和菓子職人になって本当の『あけづる』を作ってくれるのを楽しみにしてるの。私だけじゃない、この糠田が森の皆がそう思ってるのよ」
「・・・・・・」
「花ちゃんも楽しみなんだよね~」
と百合子ちゃんが言うと、背中の花ちゃんが呼応するように「うー」と声を上げた。
「・・・・・・」
そうだ。
私はこの糠田が森を呪いから護る
そして、必ず戻って来るって。
ずっとそう心に決めてやってきたんだ。
ただただ、それだけの思いで旅立ったのに、今の私は何を・・・。
「あ、そう言えば。こないだ『額多ヶ守』で大変なことが起きたのよ!」
と、ふと思い出したかのように百合子ちゃんが言った。
「え・・・」
それを聞いて、私はギクッとする。
「大変って何?どうしたの、何があったの!?」」
まさか『呪い』の被害が?
血相を変える私を、百合子ちゃんはキョトンとした顔で見返した。
「や、そんな血相を変えるようなことじゃないんだけど」
「じゃあ何があったの?」
「映画のロケがあったの」
「・・・・・・・」
映画、と聞いて私はポカンとする。
「・・・映画のロケ?」
「うん。前から噂になってたでしょ。三池〇史監督、橋本〇奈主演で『額多ヶ守』の伝説を題材にしたホラー映画が製作されるって」
「・・・・・・」
そういえば、高校のオカ研部でそんな話してたような(※第2話)。
「で、その映画の撮影で橋本〇奈ちゃんが来てたのよ!私、サインもらっちゃった。メチャクチャ可愛かったよー、〇奈ちゃん♪」
「・・・・・・!!」
な、なんと!!
こんなド田舎にそんな一流芸能人が!?
「ず、ずるいーーーっ」
思わず私は叫んでいた。
「私も橋本〇奈ちゃんに会いたかった!サイン欲しかったーっ!」
「えー。和紗ちゃん、東京にいたら芸能人に会うなんて日常茶飯事でしょ?」
「そんなの会ったことなんてないよーっ!」
「え、ホントに?・・・ま、東京って人が多いもんね。会っても気づかないのかもね」
「〇奈ちゃんのサインーーーっ!」
【和紗は意外とミーハーであった・・・】