第18話 帰郷
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そうだ。
以前は、その言葉が心のどこか引っかかっていた。
だけど、今は違う。
「私が言ったことなんかさ、気にしなくていいから。私が勝手にこれが一般論だって思い込んでるだけだし。あの五条 に関しては一般論なんて当てはまらないことが多いし・・・」
「・・・違うんです」
「ん・・・?」
「硝子さんの言ったことのせいじゃないです。ただ、私は恐いんだと思います・・・」
私は言った。
「誰かを愛することも、誰かに愛されることも・・・」
帰省シーズン真っ只中の新幹線の車内は大変混み合っていた。座席はほぼ満席状態だ。
(奮発して指定席にしててよかった〜)
と、窓際の自分の席に座る。
それからまもなく、隣の座席に人がやって来た。
「「あ」」
その人と私は、お互いに顔を見合わせて目を丸める。そして、
「伏黒君」
「鶴來さん」
と、お互いの名前を呼んだ。
「・・・・・・」
だけどその後言葉が出て来ず、私は黙り込んでしまった。
この前の五条さんの『愛の告白』を目撃されたことが、恥ずかしくて気まずいからだ。
だけど伏黒君は淡々とした様子で、
「奇遇ですね」
と、私の隣に座った。
「う、うん。本当に」
私は頷く。
「どうしたの?どこまで行くの?」
「金沢です。出張で」
「そうなんだ。じゃあ行き先一緒だね」
「帰省ですか?」
「うん。そうなの」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
会話が途切れる。
(あぁ・・・なんだか気まずい・・・)
と、お茶のペットボトルに口をつけた時だった。
「その、何というか・・・」
と、伏黒君が唐突に切り出した。
私は何だろうと、伏黒君の顔を見る。
伏黒君はチラッと私の顔を見た後、
「よかったですね。五条先生と相思相愛で」
「ぶっ!?」
と、思いもよらないことを言い出した。
私はお茶を噴き出して咳き込む。
「ごほっ、ごほごほっ!」
「大丈夫ですか?」
「だ、だいじょうぶ・・・って、伏黒君はいつからそんな冗談を真顔で言うようになったのかな?」
「冗談?」
「よ、よかったですねって・・・!」
「別に冗談のつもりじゃ。まぁ、五条先生で本当にいいのかって懸念も無くはないですけど」
伏黒君は語り始めた。
私が野薔薇ちゃんに保護されてアパートを出て行った後、ポツネンとその場に立ち尽くしていた五条さんは、
「ねぇ、恵」
伏黒君にこう問うたそうだ。
「僕の何が悪かったんだろ?」
「全部じゃないですか」
「あ?」
それからの五条さんはすこぶる機嫌が悪く、伏黒君含め周囲の人々に八つ当たりで当たり散らしているらしい。
「特に伊地知さんが。気の毒になるくらい理不尽な目に遭ってます」
「あわわ・・・」
「だから、五条先生 とさっさとくっついちゃって下さい。でないと、あの人歩く公害状態で迷惑なんで」
「そ、そんなこと言われても・・・」
戸惑う私の様子を見て、伏黒君は不可解そうに眉をひそめた。
「何を戸惑うことがあるんですか。好きなんですよね、あの人のこと」
「そ・・・うだけど、前に言ったよね。私と五条さんは違う世界の人間なんだって」
「それは聞きました。俺だってそう思ってました。だから鶴來さんの片思いなんだと思ってた。それが辛いんだろうとも。でも、五条先生は鶴來さんを愛してるって言ったんですから」
「そ、そういう問題じゃなくて・・・。そもそも五条さんの愛なんてものを信じていいのか疑わしいし!」
「それは・・・否定しませんけど」
そう言いながら、伏黒君はますます眉間の皺を深くさせた。
「五条先生には世界が違うだとかどうでもいいみたいですよ。それなのに、鶴來さんがあの人から遠ざかろうとするのは、何故なんですか?」
以前は、その言葉が心のどこか引っかかっていた。
だけど、今は違う。
「私が言ったことなんかさ、気にしなくていいから。私が勝手にこれが一般論だって思い込んでるだけだし。あの
「・・・違うんです」
「ん・・・?」
「硝子さんの言ったことのせいじゃないです。ただ、私は恐いんだと思います・・・」
私は言った。
「誰かを愛することも、誰かに愛されることも・・・」
帰省シーズン真っ只中の新幹線の車内は大変混み合っていた。座席はほぼ満席状態だ。
(奮発して指定席にしててよかった〜)
と、窓際の自分の席に座る。
それからまもなく、隣の座席に人がやって来た。
「「あ」」
その人と私は、お互いに顔を見合わせて目を丸める。そして、
「伏黒君」
「鶴來さん」
と、お互いの名前を呼んだ。
「・・・・・・」
だけどその後言葉が出て来ず、私は黙り込んでしまった。
この前の五条さんの『愛の告白』を目撃されたことが、恥ずかしくて気まずいからだ。
だけど伏黒君は淡々とした様子で、
「奇遇ですね」
と、私の隣に座った。
「う、うん。本当に」
私は頷く。
「どうしたの?どこまで行くの?」
「金沢です。出張で」
「そうなんだ。じゃあ行き先一緒だね」
「帰省ですか?」
「うん。そうなの」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
会話が途切れる。
(あぁ・・・なんだか気まずい・・・)
と、お茶のペットボトルに口をつけた時だった。
「その、何というか・・・」
と、伏黒君が唐突に切り出した。
私は何だろうと、伏黒君の顔を見る。
伏黒君はチラッと私の顔を見た後、
「よかったですね。五条先生と相思相愛で」
「ぶっ!?」
と、思いもよらないことを言い出した。
私はお茶を噴き出して咳き込む。
「ごほっ、ごほごほっ!」
「大丈夫ですか?」
「だ、だいじょうぶ・・・って、伏黒君はいつからそんな冗談を真顔で言うようになったのかな?」
「冗談?」
「よ、よかったですねって・・・!」
「別に冗談のつもりじゃ。まぁ、五条先生で本当にいいのかって懸念も無くはないですけど」
伏黒君は語り始めた。
私が野薔薇ちゃんに保護されてアパートを出て行った後、ポツネンとその場に立ち尽くしていた五条さんは、
「ねぇ、恵」
伏黒君にこう問うたそうだ。
「僕の何が悪かったんだろ?」
「全部じゃないですか」
「あ?」
それからの五条さんはすこぶる機嫌が悪く、伏黒君含め周囲の人々に八つ当たりで当たり散らしているらしい。
「特に伊地知さんが。気の毒になるくらい理不尽な目に遭ってます」
「あわわ・・・」
「だから、
「そ、そんなこと言われても・・・」
戸惑う私の様子を見て、伏黒君は不可解そうに眉をひそめた。
「何を戸惑うことがあるんですか。好きなんですよね、あの人のこと」
「そ・・・うだけど、前に言ったよね。私と五条さんは違う世界の人間なんだって」
「それは聞きました。俺だってそう思ってました。だから鶴來さんの片思いなんだと思ってた。それが辛いんだろうとも。でも、五条先生は鶴來さんを愛してるって言ったんですから」
「そ、そういう問題じゃなくて・・・。そもそも五条さんの愛なんてものを信じていいのか疑わしいし!」
「それは・・・否定しませんけど」
そう言いながら、伏黒君はますます眉間の皺を深くさせた。
「五条先生には世界が違うだとかどうでもいいみたいですよ。それなのに、鶴來さんがあの人から遠ざかろうとするのは、何故なんですか?」