第17話 恋する呪霊
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「恵と野薔薇?」
五条さんもそれに気づいて、ピタリと手を止めた。
そう、声の主は伏黒君と野薔薇ちゃんだった。
少しの間があって、ドアの向こうからふたりの不穏な声が聞こえてきた。
「・・・おかしい」
「え?」
「『帳』が降りている」
「『帳』がぁ?なんでよ」
「わからねぇよ」
「和紗さんは?まさか中に閉じ込められてるとか?」
「とにかく、この『帳』を破らねぇと」
そんなふたりの会話を耳にして、
「あ、マズイ」
そう言って、五条さんは身体を起こした。
「和紗、起きて早く服を着て」
「え、え?」
「視覚効果だけを優先して慌てて作った『帳』だから、侵入条件はつけてなくて簡単に破られちゃうかも」
「えっ」
「残念だけど、またの機会に・・・あ」
そう話している矢先に、
バシュッ
五条さんの言う通り、『帳』は簡単に破られた。
そして、
「和紗さんっ。和紗さん!」
ドアが激しくドンドンと叩かれたかと思うと、
バキッ
鍵がドアノブごと野薔薇ちゃんのカナヅチで破壊されて、ドアが開かれた。
それから、野薔薇ちゃんと伏黒君がバタバタと部屋に駆け込んで来た。
「和紗さん、どうしたの!?大丈夫・・・」
と、野薔薇ちゃんが心配そうに声を上げるけれど。
次の瞬間には、野薔薇ちゃんも伏黒君もピタリと立ち止まった。
「やぁ、恵に野薔薇。どしたの?」
と、とぼける五条さん。
その背後には、なんとか服を着終えた私。
伏黒君と野薔薇ちゃんは、不思議そうに私たちを見ている。
「・・・どうしたのって、何で五条先生がここに」
「僕?僕は和紗の師匠だよ。居場所を確認しておくのは責務でしょ」
と、訝しげに尋ねてきた伏黒君に五条さんは答えた。
だけど、伏黒君は納得していない様子。
「さっき『帳』が降ろされていた。五条先生の仕業ですよね?一体何のために」
「呪霊だよー。呪霊を祓うためだよ」
そんな五条さんと伏黒君のそばで、野薔薇ちゃんが私に駆け寄る。
「和紗さん、大丈夫?」
「え?」
「ほっぺた!傷だらけじゃない!」
「あ」
露鈴にやられた傷だ。
『反転術式』で治すのを忘れていた。
「あ、これ、これね!蚊に沢山咬まれて。痒くて痒くて掻きすぎてこんなんなっちゃった」
「えー・・・。そんなバカな・・・」
と、野薔薇ちゃんはある一点に視線を留めて再びフリーズした。
つられて、私もその一点に視線を向ける。
「!」
私はギョッと目を丸めた。
そこには、床の上に私のブラジャーがぽつんと落ちていたからだ(慌て過ぎて身につけるのを忘れてた)。
(わぁーーーっ!?)
私が慌てて回収してる間に、
「この変態教師!」
野薔薇ちゃんが、五条さんを糾弾し始めた。
この状況を見て、事態を悪い方向に推測したらしい。
「『帳』の中で何するつもりだったのよ。コラァーッ!!」
だけど、五条さんは慌てることなく悠然と答えた。
「違う違う。誤解してるって」
「何が誤解よ!この状況、完全にアウトだろ!条例違反でしょ!」
「だから、誤解だって。それに・・・」
と、五条さんは私の肩を抱いて引き寄せて言った。
「僕らは愛し合ってるんだよ。ふたりの同意に他人がアレコレ介入出来ないんだからね」
その言葉に、
「「は?」」
伏黒君と野薔薇ちゃんは唖然として言葉を失った。
そして、私は。
「何言ってるんですかーっ!」
顔を真っ赤にして憤怒していた。
「あ、愛って、愛し合ってるってどういうことですかーっ!?」
「え?違うの?先のやりとりで僕はそう受け取ったんだけど」
「私の思いはともかく!何で五条さんが・・・っ、自分の気持ちがわからないってずっと言ってたのに・・・!それが、何でいきなり愛!?」
「今、気づいた」
「はぁ?」
五条さんは蒼い目を真っ直ぐ私に向けて言った。
本人は至って本気なのだろうけれど、本人以外にはそれはそれは白々しく聞こえたことだろう。
「僕は和紗を愛してる」
この茶番劇を目の前にして、伏黒君と野薔薇ちゃんは呆れたように呟く。
「・・・愛って」
「それに最も似つかわしくない人間がほざいてるわね」
「到底信じられねぇな」
そして私は、
「・・・(クラッ)」
「和紗?」
そのまま卒倒して倒れ込んでしまった。
いつものように『反転術式』を行使した後の呪力の消耗による体力疲労と。
未体験ゾーンに一気に突入した事による脳のオーバーヒートと。
いきなり告げられた重すぎる愛によって心がキャパオーバーしてしまったために。
つづく
五条さんもそれに気づいて、ピタリと手を止めた。
そう、声の主は伏黒君と野薔薇ちゃんだった。
少しの間があって、ドアの向こうからふたりの不穏な声が聞こえてきた。
「・・・おかしい」
「え?」
「『帳』が降りている」
「『帳』がぁ?なんでよ」
「わからねぇよ」
「和紗さんは?まさか中に閉じ込められてるとか?」
「とにかく、この『帳』を破らねぇと」
そんなふたりの会話を耳にして、
「あ、マズイ」
そう言って、五条さんは身体を起こした。
「和紗、起きて早く服を着て」
「え、え?」
「視覚効果だけを優先して慌てて作った『帳』だから、侵入条件はつけてなくて簡単に破られちゃうかも」
「えっ」
「残念だけど、またの機会に・・・あ」
そう話している矢先に、
バシュッ
五条さんの言う通り、『帳』は簡単に破られた。
そして、
「和紗さんっ。和紗さん!」
ドアが激しくドンドンと叩かれたかと思うと、
バキッ
鍵がドアノブごと野薔薇ちゃんのカナヅチで破壊されて、ドアが開かれた。
それから、野薔薇ちゃんと伏黒君がバタバタと部屋に駆け込んで来た。
「和紗さん、どうしたの!?大丈夫・・・」
と、野薔薇ちゃんが心配そうに声を上げるけれど。
次の瞬間には、野薔薇ちゃんも伏黒君もピタリと立ち止まった。
「やぁ、恵に野薔薇。どしたの?」
と、とぼける五条さん。
その背後には、なんとか服を着終えた私。
伏黒君と野薔薇ちゃんは、不思議そうに私たちを見ている。
「・・・どうしたのって、何で五条先生がここに」
「僕?僕は和紗の師匠だよ。居場所を確認しておくのは責務でしょ」
と、訝しげに尋ねてきた伏黒君に五条さんは答えた。
だけど、伏黒君は納得していない様子。
「さっき『帳』が降ろされていた。五条先生の仕業ですよね?一体何のために」
「呪霊だよー。呪霊を祓うためだよ」
そんな五条さんと伏黒君のそばで、野薔薇ちゃんが私に駆け寄る。
「和紗さん、大丈夫?」
「え?」
「ほっぺた!傷だらけじゃない!」
「あ」
露鈴にやられた傷だ。
『反転術式』で治すのを忘れていた。
「あ、これ、これね!蚊に沢山咬まれて。痒くて痒くて掻きすぎてこんなんなっちゃった」
「えー・・・。そんなバカな・・・」
と、野薔薇ちゃんはある一点に視線を留めて再びフリーズした。
つられて、私もその一点に視線を向ける。
「!」
私はギョッと目を丸めた。
そこには、床の上に私のブラジャーがぽつんと落ちていたからだ(慌て過ぎて身につけるのを忘れてた)。
(わぁーーーっ!?)
私が慌てて回収してる間に、
「この変態教師!」
野薔薇ちゃんが、五条さんを糾弾し始めた。
この状況を見て、事態を悪い方向に推測したらしい。
「『帳』の中で何するつもりだったのよ。コラァーッ!!」
だけど、五条さんは慌てることなく悠然と答えた。
「違う違う。誤解してるって」
「何が誤解よ!この状況、完全にアウトだろ!条例違反でしょ!」
「だから、誤解だって。それに・・・」
と、五条さんは私の肩を抱いて引き寄せて言った。
「僕らは愛し合ってるんだよ。ふたりの同意に他人がアレコレ介入出来ないんだからね」
その言葉に、
「「は?」」
伏黒君と野薔薇ちゃんは唖然として言葉を失った。
そして、私は。
「何言ってるんですかーっ!」
顔を真っ赤にして憤怒していた。
「あ、愛って、愛し合ってるってどういうことですかーっ!?」
「え?違うの?先のやりとりで僕はそう受け取ったんだけど」
「私の思いはともかく!何で五条さんが・・・っ、自分の気持ちがわからないってずっと言ってたのに・・・!それが、何でいきなり愛!?」
「今、気づいた」
「はぁ?」
五条さんは蒼い目を真っ直ぐ私に向けて言った。
本人は至って本気なのだろうけれど、本人以外にはそれはそれは白々しく聞こえたことだろう。
「僕は和紗を愛してる」
この茶番劇を目の前にして、伏黒君と野薔薇ちゃんは呆れたように呟く。
「・・・愛って」
「それに最も似つかわしくない人間がほざいてるわね」
「到底信じられねぇな」
そして私は、
「・・・(クラッ)」
「和紗?」
そのまま卒倒して倒れ込んでしまった。
いつものように『反転術式』を行使した後の呪力の消耗による体力疲労と。
未体験ゾーンに一気に突入した事による脳のオーバーヒートと。
いきなり告げられた重すぎる愛によって心がキャパオーバーしてしまったために。
つづく
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