第17話 恋する呪霊
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そう心の中でつぶやいて、ゆっくり目を開けた時だった。
「ねーねー、今日の夕食何にする〜?僕、なんでかベトナム料理食べたい気分」
と、背後から声が聞こえて来た。
「!!」
私は驚いて振り返る。
すると、私の背後にはいつのまにか五条さんが立っていた。
「ご、五条さん!?出張は?っていうか、どうしてここに・・・!」
「出張は早々に切り上げてきましたー。で、マンションに帰ったら和紗いなかったから。部屋はもぬけのからだし」
そこで、私はハッとして気づいた。
「サトルですか?サトルをGPSにして・・・?」
「うん、そう」
と、五条さんは大きく頷いた。
「・・・・・・」
失敗した。
サトルは五条さんのマンションに置いてくるべきだった。
五条さんがサトルの呪力をポイントにして、高速移動するのを度々見てきたのに・・・。
「さ、サトルはお返しします!」
と、私は鞄からサトルを取り出して五条さんに押し付けるように渡した。
しかし、五条さんはその行為も意に介さず言った。
「さ、帰ろうよ。出張先のお土産買ってるよ。帰って一緒に食べようよ」
「・・・帰りません」
「えー?」
「私の住まいはもうあのマンションじゃありません。五条さん一人で帰ってください」
「マジで引っ越すの?」
「マジです。空っぽの部屋見たんでしょう?」
「何で夜逃げみたいなことしたのよ」
「ご挨拶もせずに出ていくなんて失礼だとわかってますけど・・・引っ越すことは以前お話してたはずです」
「まさか本気だと思わないじゃない。だって和紗が僕のところから出てって一人暮らしするなんてさぁ」
「・・・・・・」
「僕のとこにいた方が絶対いいじゃん。家賃は免除だし、光熱費は折半だし。それに何せ、この超絶グッドルッキングガイのプライベートな姿を独り占めなんだよー?」
どこまで自分本位なのだろう、この人は。
話しても埒が明かない。
私は会話を切り上げて、この場を立ち去ることにした。
「すみません。引っ越しのトラックがアパートに来るので失礼します」
「アパートってどこ~?」
「え」
まさかついてくる気!?
「僕も一緒に行くよ。和紗のアパート」
「・・・・・・」
アパートの場所を知られて、しょっちゅう来られるようなことになっても困る。それじゃあ引っ越した意味がない。
「・・・来ないでください!さよなら!」
私は猛ダッシュでその場から逃げ出すように走り出した。
「あ」
と、置いてきぼりにされた五条さんの呆けた声が境内に響いた。
・・・この時、私と五条さんは気づいていなかった。
神社の本殿の暗がりの奥深く。
『・・・ゴ、五条・・・サマ・・・?』
こちらの様子を伺う呪霊の存在を。
ワンルームの狭い部屋にどんどん段ボールを運び込んでトラックは去っていった。あっという間のことだった。
が。
「へぇ~。結構いい部屋じゃない。ま、僕のマンションよりは劣るけどね」
と、五条さんは床に座り込んで居座り帰る様子はない。
あの後結局、私はあっさりと五条さんに追いつかれてしまい、アパートまで着いてこられることになったのだった。
「でも、ここから通学するの大変じゃない?遊びに行くのも不便そうだし。やっぱり僕のマンションの方が便利でいいんじゃないのー?」
あれこれ言う五条さんのことを無視して、私は段ボールを開けて荷解きを始める。
「・・・ねぇ、本当にここで暮らすつもり?」
「・・・・・・」
「僕と離れて暮らすなんてさみしくない?ね、さみしいでしょ?いや、絶対さみしいよ。夜になったら泣いちゃうと思うよー?」
「・・・・・・」
私はひたすら五条さんを無視して作業を続けた。
すると、さすがに五条さんも何か感じ取ったのか小さく息を吐いた。
そして、
「ねぇ、戻って来てよ」
と言った。
いつになく真剣なトーンで、私は思わず手を止めて五条さんを振り返った。
五条さんはどこかしょぼくれた様子で私を見つめていた。
「・・・僕がなんか悪いことしたってなら謝るし。僕のダメなところ直すからさ。だから戻って来てよ」
と、まるで叱られて落ち込んだ子どもみたいなことを言う。
「ねーねー、今日の夕食何にする〜?僕、なんでかベトナム料理食べたい気分」
と、背後から声が聞こえて来た。
「!!」
私は驚いて振り返る。
すると、私の背後にはいつのまにか五条さんが立っていた。
「ご、五条さん!?出張は?っていうか、どうしてここに・・・!」
「出張は早々に切り上げてきましたー。で、マンションに帰ったら和紗いなかったから。部屋はもぬけのからだし」
そこで、私はハッとして気づいた。
「サトルですか?サトルをGPSにして・・・?」
「うん、そう」
と、五条さんは大きく頷いた。
「・・・・・・」
失敗した。
サトルは五条さんのマンションに置いてくるべきだった。
五条さんがサトルの呪力をポイントにして、高速移動するのを度々見てきたのに・・・。
「さ、サトルはお返しします!」
と、私は鞄からサトルを取り出して五条さんに押し付けるように渡した。
しかし、五条さんはその行為も意に介さず言った。
「さ、帰ろうよ。出張先のお土産買ってるよ。帰って一緒に食べようよ」
「・・・帰りません」
「えー?」
「私の住まいはもうあのマンションじゃありません。五条さん一人で帰ってください」
「マジで引っ越すの?」
「マジです。空っぽの部屋見たんでしょう?」
「何で夜逃げみたいなことしたのよ」
「ご挨拶もせずに出ていくなんて失礼だとわかってますけど・・・引っ越すことは以前お話してたはずです」
「まさか本気だと思わないじゃない。だって和紗が僕のところから出てって一人暮らしするなんてさぁ」
「・・・・・・」
「僕のとこにいた方が絶対いいじゃん。家賃は免除だし、光熱費は折半だし。それに何せ、この超絶グッドルッキングガイのプライベートな姿を独り占めなんだよー?」
どこまで自分本位なのだろう、この人は。
話しても埒が明かない。
私は会話を切り上げて、この場を立ち去ることにした。
「すみません。引っ越しのトラックがアパートに来るので失礼します」
「アパートってどこ~?」
「え」
まさかついてくる気!?
「僕も一緒に行くよ。和紗のアパート」
「・・・・・・」
アパートの場所を知られて、しょっちゅう来られるようなことになっても困る。それじゃあ引っ越した意味がない。
「・・・来ないでください!さよなら!」
私は猛ダッシュでその場から逃げ出すように走り出した。
「あ」
と、置いてきぼりにされた五条さんの呆けた声が境内に響いた。
・・・この時、私と五条さんは気づいていなかった。
神社の本殿の暗がりの奥深く。
『・・・ゴ、五条・・・サマ・・・?』
こちらの様子を伺う呪霊の存在を。
ワンルームの狭い部屋にどんどん段ボールを運び込んでトラックは去っていった。あっという間のことだった。
が。
「へぇ~。結構いい部屋じゃない。ま、僕のマンションよりは劣るけどね」
と、五条さんは床に座り込んで居座り帰る様子はない。
あの後結局、私はあっさりと五条さんに追いつかれてしまい、アパートまで着いてこられることになったのだった。
「でも、ここから通学するの大変じゃない?遊びに行くのも不便そうだし。やっぱり僕のマンションの方が便利でいいんじゃないのー?」
あれこれ言う五条さんのことを無視して、私は段ボールを開けて荷解きを始める。
「・・・ねぇ、本当にここで暮らすつもり?」
「・・・・・・」
「僕と離れて暮らすなんてさみしくない?ね、さみしいでしょ?いや、絶対さみしいよ。夜になったら泣いちゃうと思うよー?」
「・・・・・・」
私はひたすら五条さんを無視して作業を続けた。
すると、さすがに五条さんも何か感じ取ったのか小さく息を吐いた。
そして、
「ねぇ、戻って来てよ」
と言った。
いつになく真剣なトーンで、私は思わず手を止めて五条さんを振り返った。
五条さんはどこかしょぼくれた様子で私を見つめていた。
「・・・僕がなんか悪いことしたってなら謝るし。僕のダメなところ直すからさ。だから戻って来てよ」
と、まるで叱られて落ち込んだ子どもみたいなことを言う。