第16話 五条の事情
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「・・・・・・」
千代婆さんは呆気に取られて少しの間ポカンとした後、片側の唇を釣り上げて、
「・・・くくっ。くくくくく・・・・」
と、肩を震わせて笑い始めた。
しかし、それも少しの間で止めて再びキッと私を睨みつけた。
「坊のために出来ることが、饅頭作りだと?笑止千万!」
そして、白い髪を纏めている簪に手をかけそのまま引き抜いた。
解けた髪が怒気をはらんだようにブワッと広がる。
「決闘じゃ」
「え?」
「坊を婿にもらうというならば、まずはこの千代を倒してみよ!」
「え、い、いや、その・・・」
私は慌てて言った。
「別に婿とかじゃなくて!五条さんが誰も必要としてないってことを否定しただけで・・・!」
しかし千代婆さんは耳を傾けることなく、その簪に唇を当てた。
簪は縦笛の形をしていて、千代婆さんがそれに息を吹き込むと、
ピィーーーーッ
高く細い音が部屋に鳴り響いた。
「・・・・・・?」
しかしそれだけで何も起こらない。
キョロキョロと部屋中を見回していたら、
「おぬし、『反転術式』が使えると言ってたな」
千代婆さんが言った。
「ならば、この千代の『毒』とおぬしの『反転術式』・・・。どちらが強力か勝負じゃ」
「毒・・・?」
するとその時、私の足元に赤い目をした白い蛇が現れた。
「きゃあっ!?」
私は驚いて後ろにのけ反った。
「ワシの術式じゃ」
「術式・・・?」
「ワシをタダの女中かと思うたか?ワシは、元々は呪術師じゃ」
そう言いながら、千代婆さんは再び縦笛を唇に当てた。
「ワシの術式は毒蛇を式神として使役する」
そして、再び笛の音が鳴り響く。
それを合図に白蛇は私に飛びかかってきた。
「!」
その速さに私は逃げることが出来ず、右足を思い切り噛みつかれてしまった。
「あ、あ・・・」
噛みつかれた矢先、噛みつかれたところからドクドクと脈を打ちながら肌が紫色に変色していく。
毒だ。毒が回っているんだ。
「ホレホレ、『反転術式』はどうした?早うせねば、全身に毒が回って死んでしまうぞ?」
と、千代婆さんは挑発するようにほくそ笑む。
(ど、どうしてなのよ・・・)
毒は右足から止まらぬ速さで立ち上っていき、私の右半身は既に紫色になっている。
どうにかしなければと焦る一方で、怒りの感情が沸き上がって来る。
(私は五条さんをお婿さんにもらうなんて一言も言ってないのにぃーーーっ!!)
なのに、どうしてこんな目に遭わなければならないの?
しかも、事の発端の五条さん はさっさと逃げ出すし・・・。
「・・・・・・」
毒は巡り、私の右目が紫色に染まる。
左半身まで毒が回り始めようとした時だった。
「・・・私は、別にお婿さんなんて望んでない。私はただ・・・」
私の中の呪力と呪力を掛け合わせる。
「私はただ、五条さんをひとりきりにさせないって言いたいだけなんだってばーーーーっ!」
そう叫んだ時、『反転術式』が成り私の身体に回った毒が消えていく。
私の肌の色も元の肌色に戻っていった。
「なっ・・・!」
その様子を千代婆さんは驚いて見ていた。
「・・・・・・」
だけど、私は全ての呪力を使い切ってガクリとその場に両膝をついた。
そして、そのまま床に突っ伏した。
「・・・ど、どうした。これで終わりか?」
少し動揺しながら千代婆さんが言った。
「ワシの術式はまだ生きてるぞ!この程度でこの千代が納得出来るか!起きよ!」
「・・・・・・」
無茶言わないで。
これ以上、『反転術式』は出来ない。
私の呪力はちょっとしかないんだから。
「・・・・・・」
瞼が段々重くなってきて、私はフッと目を閉じた。
千代婆さんは呆気に取られて少しの間ポカンとした後、片側の唇を釣り上げて、
「・・・くくっ。くくくくく・・・・」
と、肩を震わせて笑い始めた。
しかし、それも少しの間で止めて再びキッと私を睨みつけた。
「坊のために出来ることが、饅頭作りだと?笑止千万!」
そして、白い髪を纏めている簪に手をかけそのまま引き抜いた。
解けた髪が怒気をはらんだようにブワッと広がる。
「決闘じゃ」
「え?」
「坊を婿にもらうというならば、まずはこの千代を倒してみよ!」
「え、い、いや、その・・・」
私は慌てて言った。
「別に婿とかじゃなくて!五条さんが誰も必要としてないってことを否定しただけで・・・!」
しかし千代婆さんは耳を傾けることなく、その簪に唇を当てた。
簪は縦笛の形をしていて、千代婆さんがそれに息を吹き込むと、
ピィーーーーッ
高く細い音が部屋に鳴り響いた。
「・・・・・・?」
しかしそれだけで何も起こらない。
キョロキョロと部屋中を見回していたら、
「おぬし、『反転術式』が使えると言ってたな」
千代婆さんが言った。
「ならば、この千代の『毒』とおぬしの『反転術式』・・・。どちらが強力か勝負じゃ」
「毒・・・?」
するとその時、私の足元に赤い目をした白い蛇が現れた。
「きゃあっ!?」
私は驚いて後ろにのけ反った。
「ワシの術式じゃ」
「術式・・・?」
「ワシをタダの女中かと思うたか?ワシは、元々は呪術師じゃ」
そう言いながら、千代婆さんは再び縦笛を唇に当てた。
「ワシの術式は毒蛇を式神として使役する」
そして、再び笛の音が鳴り響く。
それを合図に白蛇は私に飛びかかってきた。
「!」
その速さに私は逃げることが出来ず、右足を思い切り噛みつかれてしまった。
「あ、あ・・・」
噛みつかれた矢先、噛みつかれたところからドクドクと脈を打ちながら肌が紫色に変色していく。
毒だ。毒が回っているんだ。
「ホレホレ、『反転術式』はどうした?早うせねば、全身に毒が回って死んでしまうぞ?」
と、千代婆さんは挑発するようにほくそ笑む。
(ど、どうしてなのよ・・・)
毒は右足から止まらぬ速さで立ち上っていき、私の右半身は既に紫色になっている。
どうにかしなければと焦る一方で、怒りの感情が沸き上がって来る。
(私は五条さんをお婿さんにもらうなんて一言も言ってないのにぃーーーっ!!)
なのに、どうしてこんな目に遭わなければならないの?
しかも、事の発端の
「・・・・・・」
毒は巡り、私の右目が紫色に染まる。
左半身まで毒が回り始めようとした時だった。
「・・・私は、別にお婿さんなんて望んでない。私はただ・・・」
私の中の呪力と呪力を掛け合わせる。
「私はただ、五条さんをひとりきりにさせないって言いたいだけなんだってばーーーーっ!」
そう叫んだ時、『反転術式』が成り私の身体に回った毒が消えていく。
私の肌の色も元の肌色に戻っていった。
「なっ・・・!」
その様子を千代婆さんは驚いて見ていた。
「・・・・・・」
だけど、私は全ての呪力を使い切ってガクリとその場に両膝をついた。
そして、そのまま床に突っ伏した。
「・・・ど、どうした。これで終わりか?」
少し動揺しながら千代婆さんが言った。
「ワシの術式はまだ生きてるぞ!この程度でこの千代が納得出来るか!起きよ!」
「・・・・・・」
無茶言わないで。
これ以上、『反転術式』は出来ない。
私の呪力はちょっとしかないんだから。
「・・・・・・」
瞼が段々重くなってきて、私はフッと目を閉じた。