第16話 五条の事情
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「え、ちょっと、五条さん!?」
戸惑う私と千代婆さんを放って、五条さんは部屋を出て行った。
後を追って私も部屋を出たけれど、五条さんの姿は忽然と消えていた。どうやら高速移動したらしい。
(ホントに行っちゃったの?っていうか、逃げた?)
五条さんがいなくなった後、
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私と千代婆さんの間に気まずい沈黙が訪れた。
(この間をどうしろって言うのよーっ!?)
すると突然、
「げほっ、ぎほげほげほっ!」
と、千代婆さんが咳き込みだした。
大声で捲し立て続けたせいだろうか。
咳は長引き、千代婆さんは苦しそうに背中を大きく上下させている。
「げほっげほっげほっ!」
「大丈夫ですか?」
私は千代婆さんに近づき、そっとその背中をさすった。
すると千代婆さんはバッと右腕を上げて、私の手を振り払った。
「そんな親切なフリしても、この千代はごまかされんぞ!」
「別にフリじゃないです」
でも、咳は止まったみたい。
(よかった)
私はキッチンに向かいグラスに水を汲んで、それを千代婆さんに差し出した。
「どうぞ」
「・・・ふん!」
千代婆さんは荒い手つきで私の手からグラスを受け取ると、一気に水を飲み干した。
そして、フーっと一息つくと、
「・・・坊が生まれたのは、ワシの旦那様が亡くなって数ヶ月の後の事じゃった」
と、突然語り始めた。
どうしてそんな話を。
でも、私は何も言わず千代婆さんの話の続きに耳を傾けた。
「ワシは坊の世話係を任されてな。子もおらず旦那様を亡くしたワシに、坊は再び生きる喜びをくれたのじゃ」
そう話すと、千代婆さんはまたまた風呂敷を漁り、小さなアルバムを取り出した。
「それは?」
と私が尋ねると、千代婆さんはなぜか得意げにフフンと鼻を鳴らしながら、アルバムを開いて見せてきた。
「これが生まれた直後の坊じゃ」
と、開いたページには、赤ちゃんの頃の五条さんの写真があった。
「わぁ、赤ちゃんの頃から白髪だったんですね。睫毛もこの頃から長い!」
「玉のように可愛らしいじゃろう?で、これが6歳の時じゃ」
と、次のページには、パーカーに半ズボン姿のいかにもヤンチャそうな少年時代の五条さんの姿。
「わぁー、すごく生意気そう」
「そうじゃろ。この頃はよくイタズラを仕掛けられて手を焼かされたもんじゃ。そしてこれが、高専入学式の時の写真じゃ」
と、呪術高専の制服を着て、丸型のサングラスをかけた五条さんの写真を見せた。
「わぁ、現在の面影がある。っていうか、チャラチャラしてカルそう・・・」
「なんじゃと!?坊を悪く言うのか!」
「い、いえっ。そんなつもりじゃ」
色々な年齢の五条さんの写真。
私の知らない五条さんの姿を見ながら、
(そっか・・・。千代婆さんにとって、五条さんは本当の子ども・・・孫みたいな存在なんだ)
と、私はしみじみと思った。
「・・・坊はその六眼を持つが故、幼少の頃から億を超える懸賞金を懸けられ呪詛師から狙われていた」
「え・・・」
千代婆さんの言葉に、私は写真から目線を上げた。
千代婆さんの表情は、さっきまでの青筋を立てまくっていたヒステリックな雰囲気は鳴りを潜め、静かで真剣な目で私の表情を捉えていた。
千代婆さんは私と目が合うと、おもむろに右腕の袖をめくりあげた。
私は驚いてハッと息を飲んだ。
千代婆さんの右腕は、肩にかけて火傷痕で赤くただれていた。
「これは、呪詛師に襲われた坊を庇った時に負った疵じゃ」
「・・・・・・」
「ふふ。身の毛がよだつじゃろう。しかし呪術界に生きる人間にとっては、これしきの疵はかすり傷の様なものじゃ」
「・・・・・・」
「おぬしは、坊のためにその身を敵前に投げ出す覚悟はあるのか?」
「・・・・・・」
戸惑う私と千代婆さんを放って、五条さんは部屋を出て行った。
後を追って私も部屋を出たけれど、五条さんの姿は忽然と消えていた。どうやら高速移動したらしい。
(ホントに行っちゃったの?っていうか、逃げた?)
五条さんがいなくなった後、
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私と千代婆さんの間に気まずい沈黙が訪れた。
(この間をどうしろって言うのよーっ!?)
すると突然、
「げほっ、ぎほげほげほっ!」
と、千代婆さんが咳き込みだした。
大声で捲し立て続けたせいだろうか。
咳は長引き、千代婆さんは苦しそうに背中を大きく上下させている。
「げほっげほっげほっ!」
「大丈夫ですか?」
私は千代婆さんに近づき、そっとその背中をさすった。
すると千代婆さんはバッと右腕を上げて、私の手を振り払った。
「そんな親切なフリしても、この千代はごまかされんぞ!」
「別にフリじゃないです」
でも、咳は止まったみたい。
(よかった)
私はキッチンに向かいグラスに水を汲んで、それを千代婆さんに差し出した。
「どうぞ」
「・・・ふん!」
千代婆さんは荒い手つきで私の手からグラスを受け取ると、一気に水を飲み干した。
そして、フーっと一息つくと、
「・・・坊が生まれたのは、ワシの旦那様が亡くなって数ヶ月の後の事じゃった」
と、突然語り始めた。
どうしてそんな話を。
でも、私は何も言わず千代婆さんの話の続きに耳を傾けた。
「ワシは坊の世話係を任されてな。子もおらず旦那様を亡くしたワシに、坊は再び生きる喜びをくれたのじゃ」
そう話すと、千代婆さんはまたまた風呂敷を漁り、小さなアルバムを取り出した。
「それは?」
と私が尋ねると、千代婆さんはなぜか得意げにフフンと鼻を鳴らしながら、アルバムを開いて見せてきた。
「これが生まれた直後の坊じゃ」
と、開いたページには、赤ちゃんの頃の五条さんの写真があった。
「わぁ、赤ちゃんの頃から白髪だったんですね。睫毛もこの頃から長い!」
「玉のように可愛らしいじゃろう?で、これが6歳の時じゃ」
と、次のページには、パーカーに半ズボン姿のいかにもヤンチャそうな少年時代の五条さんの姿。
「わぁー、すごく生意気そう」
「そうじゃろ。この頃はよくイタズラを仕掛けられて手を焼かされたもんじゃ。そしてこれが、高専入学式の時の写真じゃ」
と、呪術高専の制服を着て、丸型のサングラスをかけた五条さんの写真を見せた。
「わぁ、現在の面影がある。っていうか、チャラチャラしてカルそう・・・」
「なんじゃと!?坊を悪く言うのか!」
「い、いえっ。そんなつもりじゃ」
色々な年齢の五条さんの写真。
私の知らない五条さんの姿を見ながら、
(そっか・・・。千代婆さんにとって、五条さんは本当の子ども・・・孫みたいな存在なんだ)
と、私はしみじみと思った。
「・・・坊はその六眼を持つが故、幼少の頃から億を超える懸賞金を懸けられ呪詛師から狙われていた」
「え・・・」
千代婆さんの言葉に、私は写真から目線を上げた。
千代婆さんの表情は、さっきまでの青筋を立てまくっていたヒステリックな雰囲気は鳴りを潜め、静かで真剣な目で私の表情を捉えていた。
千代婆さんは私と目が合うと、おもむろに右腕の袖をめくりあげた。
私は驚いてハッと息を飲んだ。
千代婆さんの右腕は、肩にかけて火傷痕で赤くただれていた。
「これは、呪詛師に襲われた坊を庇った時に負った疵じゃ」
「・・・・・・」
「ふふ。身の毛がよだつじゃろう。しかし呪術界に生きる人間にとっては、これしきの疵はかすり傷の様なものじゃ」
「・・・・・・」
「おぬしは、坊のためにその身を敵前に投げ出す覚悟はあるのか?」
「・・・・・・」