第16話 五条の事情
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「だ~か~ら~」
やや間があって、五条さんが口を開いた。
「そういう話も間に合ってるんだよねぇ」
と言いながら、五条さんは私の肩に手を回すと、
「え?」
そのまま自分の方へ抱き寄せた。そして、
「だって僕、鶴來家のお婿さんになるんだもーん!」
と、カラッと言い放った。
「・・・・・・!」
私は驚いて五条さんの顔を見上げた。
千代婆さんはというと、
「・・・・・・」
言葉の意味が理解できないようで、ポカーンとしている。
「ちょっと・・・!」
私は五条さんの手を振り払って言った。
「こういう場面でそんなこと言うことじゃないでしょーっ!」
「え?こういう場面だから言ったんだけど」
「お見合いが嫌なら嫌って断ればいいじゃないですか!私を巻き込まないで!」
ただでさえ良く思われてないのに!
私は恐る恐る千代婆さんの方を見た。
「・・・・・・」
怒り心頭かと思いきや。意外にも千代婆さんは静かに目を閉じている。
そして、どこか感情を押し殺したかのような声で言った。
「鶴來和紗、といったか。小娘よ・・・」
「は、はい・・・」
「おぬし、階級は?さしずめ準二級といったところか」
「いえ、私は呪術師ではないです」
「呪術師でない!では、術式は・・・?」
「私、術式は持ってなくて・・・。反転術式ならなんとか・・・」
「術式がない?鶴來家は、呪術師の家系でないのか?」
「いえ、うちは和菓子屋です・・・」
するとそこへ、五条さんが話に割って入ってきた。
「和紗の家は『つるぎ庵』っていう老舗の和菓子屋さんなんだよー」
それを聞いて千代婆さんはカッと目を開き、
「・・・はぁ!?」
と、思い切り顔をしかめた。皺が寄れて、その皺に目と鼻が埋もれてしまいそうなほどに。
「和菓子屋の娘だと・・・?坊、そんなところの娘を嫁にとるなどと一体何を考えておられる!?」
「違う違う。僕がお婿さんとして嫁ぐの。そしたら、『あけづる』食べ放題だから。あっ、『あけづる』ってのは『つるぎ庵』の名物の饅頭だよ」
「戯言を申すでない!坊は五条家しいては呪術界の安寧を考えておられぬのか?」
「あーもー、うるさいなぁ〜。僕が五条悟であろうが鶴來悟になろうが、最強は僕なんだから問題ないでしょ?」
「問題おおありじゃ!」
千代婆さんはまるで沸騰したヤカンみたいに顔を蒸気させながら言った。
「坊の五条家当主としての役目は、ただ強き術師として呪術界に君臨することだけではない!五条家に代々受け継がれる『無下限術式』を後の世代に受け継がせることも責務なのじゃ。そして、その『六眼』」
ーーー『六眼』。
五条さんのあのガラスの様な蒼い目が、そう呼ばれることを私は初めて知った。
「五条家直系でも数百年に一人しか生まれない『六眼』と『無下限呪術』の抱き合わせ。それが、坊が最強たる由縁。坊の存在故、五条家は御三家においても最も強力な発言権を持っている。五条家は今や呪術界の要。五条家の存在に呪術界の安寧がかかっておるのじゃ」
「・・・・・・」
「その安寧の為にも、五条の最強の血脈は末永く受け継がれていかなければならない。呪術界において血脈は術式、術式とは血脈。その血脈は血に流れる呪いが濃ければ濃いほど望ましく、術式の継承を確固たるものにする。そして『六眼』も、ほんのわずかの確率でもそれを備えた子孫を望むなら尚更・・・。それが・・・」
千代婆さんはキッと私を睨みつけながら言った。
「呪術師でもなく術式もない和菓子屋の小娘の婿になるじゃと!?戯言も大概になされよ!!」
「うっ!?」
「可愛い坊が好いた者ならどんなに気に食わない者であろうとも、この千代は言い分をグッと堪えて坊の思いを尊重しようと思っておったが、相手が呪術師の家系でもない非術師とあっては、父君にも母君にも申し開き出来ぬ!」
「・・・・・・」
ウソだ。最初から私を認めようとする感じもなかったけど。
(っていうか・・・)
私の言い分は?
私、理不尽に五条家のお家事情に巻き込まれようとしてる・・・?
この状況に置いてきぼりにされボーゼンとしていたら、
「別に千代婆が申し開きする必要ないよ」
五条さんが言った。
「千代婆でこの調子なら、身内は猛反対って感じになりそうだねぇ。よしっ、後々揉めないためにも僕が連中に話してくるよ」
「五条さん・・・?」
「ゴメン、和紗。ちょっと実家行ってくる。ちょっと待ってて」
やや間があって、五条さんが口を開いた。
「そういう話も間に合ってるんだよねぇ」
と言いながら、五条さんは私の肩に手を回すと、
「え?」
そのまま自分の方へ抱き寄せた。そして、
「だって僕、鶴來家のお婿さんになるんだもーん!」
と、カラッと言い放った。
「・・・・・・!」
私は驚いて五条さんの顔を見上げた。
千代婆さんはというと、
「・・・・・・」
言葉の意味が理解できないようで、ポカーンとしている。
「ちょっと・・・!」
私は五条さんの手を振り払って言った。
「こういう場面でそんなこと言うことじゃないでしょーっ!」
「え?こういう場面だから言ったんだけど」
「お見合いが嫌なら嫌って断ればいいじゃないですか!私を巻き込まないで!」
ただでさえ良く思われてないのに!
私は恐る恐る千代婆さんの方を見た。
「・・・・・・」
怒り心頭かと思いきや。意外にも千代婆さんは静かに目を閉じている。
そして、どこか感情を押し殺したかのような声で言った。
「鶴來和紗、といったか。小娘よ・・・」
「は、はい・・・」
「おぬし、階級は?さしずめ準二級といったところか」
「いえ、私は呪術師ではないです」
「呪術師でない!では、術式は・・・?」
「私、術式は持ってなくて・・・。反転術式ならなんとか・・・」
「術式がない?鶴來家は、呪術師の家系でないのか?」
「いえ、うちは和菓子屋です・・・」
するとそこへ、五条さんが話に割って入ってきた。
「和紗の家は『つるぎ庵』っていう老舗の和菓子屋さんなんだよー」
それを聞いて千代婆さんはカッと目を開き、
「・・・はぁ!?」
と、思い切り顔をしかめた。皺が寄れて、その皺に目と鼻が埋もれてしまいそうなほどに。
「和菓子屋の娘だと・・・?坊、そんなところの娘を嫁にとるなどと一体何を考えておられる!?」
「違う違う。僕がお婿さんとして嫁ぐの。そしたら、『あけづる』食べ放題だから。あっ、『あけづる』ってのは『つるぎ庵』の名物の饅頭だよ」
「戯言を申すでない!坊は五条家しいては呪術界の安寧を考えておられぬのか?」
「あーもー、うるさいなぁ〜。僕が五条悟であろうが鶴來悟になろうが、最強は僕なんだから問題ないでしょ?」
「問題おおありじゃ!」
千代婆さんはまるで沸騰したヤカンみたいに顔を蒸気させながら言った。
「坊の五条家当主としての役目は、ただ強き術師として呪術界に君臨することだけではない!五条家に代々受け継がれる『無下限術式』を後の世代に受け継がせることも責務なのじゃ。そして、その『六眼』」
ーーー『六眼』。
五条さんのあのガラスの様な蒼い目が、そう呼ばれることを私は初めて知った。
「五条家直系でも数百年に一人しか生まれない『六眼』と『無下限呪術』の抱き合わせ。それが、坊が最強たる由縁。坊の存在故、五条家は御三家においても最も強力な発言権を持っている。五条家は今や呪術界の要。五条家の存在に呪術界の安寧がかかっておるのじゃ」
「・・・・・・」
「その安寧の為にも、五条の最強の血脈は末永く受け継がれていかなければならない。呪術界において血脈は術式、術式とは血脈。その血脈は血に流れる呪いが濃ければ濃いほど望ましく、術式の継承を確固たるものにする。そして『六眼』も、ほんのわずかの確率でもそれを備えた子孫を望むなら尚更・・・。それが・・・」
千代婆さんはキッと私を睨みつけながら言った。
「呪術師でもなく術式もない和菓子屋の小娘の婿になるじゃと!?戯言も大概になされよ!!」
「うっ!?」
「可愛い坊が好いた者ならどんなに気に食わない者であろうとも、この千代は言い分をグッと堪えて坊の思いを尊重しようと思っておったが、相手が呪術師の家系でもない非術師とあっては、父君にも母君にも申し開き出来ぬ!」
「・・・・・・」
ウソだ。最初から私を認めようとする感じもなかったけど。
(っていうか・・・)
私の言い分は?
私、理不尽に五条家のお家事情に巻き込まれようとしてる・・・?
この状況に置いてきぼりにされボーゼンとしていたら、
「別に千代婆が申し開きする必要ないよ」
五条さんが言った。
「千代婆でこの調子なら、身内は猛反対って感じになりそうだねぇ。よしっ、後々揉めないためにも僕が連中に話してくるよ」
「五条さん・・・?」
「ゴメン、和紗。ちょっと実家行ってくる。ちょっと待ってて」