第16話 五条の事情
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(五条さんに何の用なんだろう・・・)
お婆さんとマンションに向かいながら、私は考えていた。
(五条さんとどういう関係なのかな?五条さんのおばあちゃん?もしかして、ひいおばあちゃん?)
もし血縁関係だとしたら、私はどんな風に名乗るべきなのかな。
同居人?
内弟子?
ハウスキーパー?
何にしたって、同じ屋根の下一緒に暮らしてるなんて言ったらどんな風に思われるだろう・・・。
「あの」
私は思い切って尋ねみた。
「今向かっているのって、ひょっとしてお孫さんのマンションなんですか?」
「孫ぉ〜?いやいやいやぁ。ワシが長年お仕えしている屋敷の坊ですじゃ」
お婆さんは言った。
「でも、言われてみれば孫みたいなもんかのぉ。坊が赤ん坊の頃からずっとお仕えし、その成長を見守ってきたからのぉ」
坊って・・・五条さんのことだよね?
五条さんって良いとこの家柄なの?
(確か代々呪術師の家系だって言ってたよね。御先祖が菅原道真だって・・・。よくよく考えてみたら、ごく普通の家庭な訳ないよね)
そんな名家(?)の御曹司(?)の住まいに、何処ぞのわからない女が転がり込んでるなんて、絶対感じ悪いよ。
そう考え至ると、ますます名乗り辛くなってしまった。
そうこうしている間に、私とお婆さんはマンションのエントランスにたどり着いた。
「ここです」
「これはこれは親切にありがとうございますじゃ」
「じゃ、私はここで・・・」
と、私は部屋に戻らず、素知らぬ顔でいったんマンションから離れることにした、が。
「あ、おかえり〜和紗〜。ただいま〜僕〜」
と、五条さんが帰ってきた。
(なんて間の悪い!)
「ご、五条さん・・・」
私は言った。
「ずいぶんと帰りが早いですね」
「うん。思ったより簡単に任務が完了してね。悠仁には自主練を言い渡して・・・って」
五条さんはお婆さんの方に視線を止めた。
「あれ?千代婆じゃない。どうしたの?」
「坊!!」
千代婆と呼ばれたお婆さんは、私をドンっと押しのけて猛烈な勢いで五条さんの前に駆けつけた。
「久しゅうございますなぁ」
「そぉ?正月に実家で会ったじゃん」
「それ以来音沙汰なもなく心配してたのですぞ」
「そんなことより、千代婆がわざわざここまで来るなんて何の用?」
「大事な話があって来たのですじゃ。部屋でお話しますのじゃ」
「あ、そうだね。上がってよ」
と、五条さんと千代婆さんはエントランス内に入っていく。
(大事な話・・・)
私はその場にいない方が良いと判断して、そっと逆方向に歩いていく。
すると、
「どこ行くの、和紗?」
と、五条さんに呼び止められた。
なので、私は振り向いて応えた。
「あ、私はよそに行ってます。大事なお話みたいだし」
「いいよいいよ。和紗も一緒に聞いてよ」
「「え」」
と、声を上げたのは私だけでなく千代婆さんもだった。
チラッと千代婆さんを見てみると、千代婆さんは私を訝しむ様な目で私を凝視していた。
「坊よ・・・この娘は一体・・・?」
「あ、そうだった。紹介しなきゃだったね」
千代婆さんに尋ねられて、五条さんは言った。
「和紗、このお婆ちゃんは五条家のお手伝いさんの千代婆。なんと齢96歳!もう先々代の頃から使えてる最古参なんだよ」
96!?
ギョッとして改めて千代婆さんを見返した。
「そして千代婆。彼女は鶴來和紗」
続けて五条さんは言った。
「僕と和紗、一緒に暮らしてるんだ」
「・・・はぁっ?」
と、千代婆さんは苦々しくそう言うと、ギロリと私の方を睨みつけた。
さっきまでにこやかなお婆ちゃんって感じだったのに、今は打って変わってまるで値踏みするかのような厳しい視線を私に向ける。
明らかに敵愾心がある。
だけど、五条さんはそんなことに構うことなく、
「さ、部屋に上がろう。あ、こないだ京都で買ってきた和菓子があるよ~。一緒に食べようよ~」
と、のんきな様子でエントランスをくぐった。
お婆さんとマンションに向かいながら、私は考えていた。
(五条さんとどういう関係なのかな?五条さんのおばあちゃん?もしかして、ひいおばあちゃん?)
もし血縁関係だとしたら、私はどんな風に名乗るべきなのかな。
同居人?
内弟子?
ハウスキーパー?
何にしたって、同じ屋根の下一緒に暮らしてるなんて言ったらどんな風に思われるだろう・・・。
「あの」
私は思い切って尋ねみた。
「今向かっているのって、ひょっとしてお孫さんのマンションなんですか?」
「孫ぉ〜?いやいやいやぁ。ワシが長年お仕えしている屋敷の坊ですじゃ」
お婆さんは言った。
「でも、言われてみれば孫みたいなもんかのぉ。坊が赤ん坊の頃からずっとお仕えし、その成長を見守ってきたからのぉ」
坊って・・・五条さんのことだよね?
五条さんって良いとこの家柄なの?
(確か代々呪術師の家系だって言ってたよね。御先祖が菅原道真だって・・・。よくよく考えてみたら、ごく普通の家庭な訳ないよね)
そんな名家(?)の御曹司(?)の住まいに、何処ぞのわからない女が転がり込んでるなんて、絶対感じ悪いよ。
そう考え至ると、ますます名乗り辛くなってしまった。
そうこうしている間に、私とお婆さんはマンションのエントランスにたどり着いた。
「ここです」
「これはこれは親切にありがとうございますじゃ」
「じゃ、私はここで・・・」
と、私は部屋に戻らず、素知らぬ顔でいったんマンションから離れることにした、が。
「あ、おかえり〜和紗〜。ただいま〜僕〜」
と、五条さんが帰ってきた。
(なんて間の悪い!)
「ご、五条さん・・・」
私は言った。
「ずいぶんと帰りが早いですね」
「うん。思ったより簡単に任務が完了してね。悠仁には自主練を言い渡して・・・って」
五条さんはお婆さんの方に視線を止めた。
「あれ?千代婆じゃない。どうしたの?」
「坊!!」
千代婆と呼ばれたお婆さんは、私をドンっと押しのけて猛烈な勢いで五条さんの前に駆けつけた。
「久しゅうございますなぁ」
「そぉ?正月に実家で会ったじゃん」
「それ以来音沙汰なもなく心配してたのですぞ」
「そんなことより、千代婆がわざわざここまで来るなんて何の用?」
「大事な話があって来たのですじゃ。部屋でお話しますのじゃ」
「あ、そうだね。上がってよ」
と、五条さんと千代婆さんはエントランス内に入っていく。
(大事な話・・・)
私はその場にいない方が良いと判断して、そっと逆方向に歩いていく。
すると、
「どこ行くの、和紗?」
と、五条さんに呼び止められた。
なので、私は振り向いて応えた。
「あ、私はよそに行ってます。大事なお話みたいだし」
「いいよいいよ。和紗も一緒に聞いてよ」
「「え」」
と、声を上げたのは私だけでなく千代婆さんもだった。
チラッと千代婆さんを見てみると、千代婆さんは私を訝しむ様な目で私を凝視していた。
「坊よ・・・この娘は一体・・・?」
「あ、そうだった。紹介しなきゃだったね」
千代婆さんに尋ねられて、五条さんは言った。
「和紗、このお婆ちゃんは五条家のお手伝いさんの千代婆。なんと齢96歳!もう先々代の頃から使えてる最古参なんだよ」
96!?
ギョッとして改めて千代婆さんを見返した。
「そして千代婆。彼女は鶴來和紗」
続けて五条さんは言った。
「僕と和紗、一緒に暮らしてるんだ」
「・・・はぁっ?」
と、千代婆さんは苦々しくそう言うと、ギロリと私の方を睨みつけた。
さっきまでにこやかなお婆ちゃんって感じだったのに、今は打って変わってまるで値踏みするかのような厳しい視線を私に向ける。
明らかに敵愾心がある。
だけど、五条さんはそんなことに構うことなく、
「さ、部屋に上がろう。あ、こないだ京都で買ってきた和菓子があるよ~。一緒に食べようよ~」
と、のんきな様子でエントランスをくぐった。