第16話 五条の事情
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(あぁ、良心が痛む・・)
と内心唸っていたら、
「ところで、和紗さんは実習行ってたんでしょ?どうだった?」
と、野薔薇ちゃんが尋ねてきた。
それで思い出して、私はお土産の入った紙袋を野薔薇ちゃんに差し出した。
「そうだった!これ、お土産」
「わー、よーじやだぁ。ありがとう!」
と、野薔薇ちゃんはお土産を受け取った。
「京都はどうだった?楽しかった?」
「・・・・・・」
「和紗さん?」
「え、あ、たっ楽しかったよ!」
一瞬、五条さんとのことを思い出してしまい返事が遅れた。
動揺を誤魔化すように笑いながら、私は言葉を続けた。
「でも時間が全然足りなくて、行きたいお店の半分も行けなかった」
「じゃあ、今度私がお土産で色々買ってきてあげる!九月に姉妹校交流会で京都に行くの!」
「え?」
姉妹校交流会のことは聞いてたけど・・・。
「京都『の』姉妹校と交流会じゃなくて?」
「京都『で』姉妹校と交流会があるの」
「そうなんだ?」
「私、京都行くの初めて!もう、今から超楽しみで!」
と、野薔薇ちゃんはウキウキしている。
(京都でって五条さん言ってなかったような気がするけど・・・)
野薔薇ちゃんがあまりにも楽しみにしているようなので、私はそれ以上は何も言えなかった。
するとそこへ、
「悪い、遅れた」
と、伏黒君がやって来た。
「伏黒君」
「おせーぞ、伏黒。レディをふたりも待ちぼうけさせるなんてどういう神経してんだ、コラァ」
「どこにレディがいるんだよ」
と、伏黒君も椅子に座ると、私に向かって言った。
「・・・お久しぶりです」
「うん、久しぶり・・・」
そう言った後、私はジーっと伏黒君の顔を見た。
悠仁君の『最期』に立ち合ったのは、伏黒君だと聞いていた。
だから、ずっと伏黒君のことが心配だった。そのショックは、きっと誰よりも大きかっただろうから。
(でも、大丈夫だからね。悠仁君は元気でもうすぐ会えるから・・・!)
私は伏黒君の顔を見つめながら、そっと心の中で語りかけた。
その伏黒君は私にじっと見つめられて、居心地悪そうに顔をしかめる。
「何なんですか」
「え、あ、ううん、何も・・・。あ、そうだ」
と、お土産の紙袋を伏黒君の前に差し出した。
「これ、お土産。生姜の漬物!京都の老舗の漬物屋さんのなの。伏黒君、生姜好きって聞いて」
「え、どうも・・・」
と受け取りつつも、伏黒君は明らかに困惑している。
その様子を見て、私は心配になって尋ねた。
「あれ?そんなに好きじゃなかった?生姜・・・」
「生姜そのものっていうより、生姜に合うものが好きってだけなんですけどね」
「えっ、そうなの?もしかして迷惑だった?」
「・・・いえ、ありがたく貰いますけど」
と、伏黒君は紙袋を自分の椅子の背もたれにひっかけて置いた。そして、
「・・・元気そうでよかったです」
と、つぶやくように言った。
伏黒君も私のことを心配してくれていたらしい。
「そういえば五条先生は元気なの?夏休み入ってから会ってないけど」
「うん、元気だよ」
野薔薇ちゃんの問いかけに私は頷いた。
「そっ。それならいいんだけど。でも、ずいぶんとドライよね。担任なんだから生徒が亡くなって少しは落胆すると思ったんだけど」
「・・・・・・」
「馬鹿言えよ」
野薔薇ちゃんの言葉にどう返せばいいのか悩んでいたら、伏黒君が口を開いた。
「五条先生は俺達の何倍もの修羅場を踏んでんだ。心の内はどうあれ、それを引き摺って態度に出すわけないだろ」
「・・・・・・」
「呪術師 の死が、呪術師 が留まる理由にはならない。しちゃいけねぇんだ」
それは、伏黒君が自分自身に言い聞かせているようだった。
と内心唸っていたら、
「ところで、和紗さんは実習行ってたんでしょ?どうだった?」
と、野薔薇ちゃんが尋ねてきた。
それで思い出して、私はお土産の入った紙袋を野薔薇ちゃんに差し出した。
「そうだった!これ、お土産」
「わー、よーじやだぁ。ありがとう!」
と、野薔薇ちゃんはお土産を受け取った。
「京都はどうだった?楽しかった?」
「・・・・・・」
「和紗さん?」
「え、あ、たっ楽しかったよ!」
一瞬、五条さんとのことを思い出してしまい返事が遅れた。
動揺を誤魔化すように笑いながら、私は言葉を続けた。
「でも時間が全然足りなくて、行きたいお店の半分も行けなかった」
「じゃあ、今度私がお土産で色々買ってきてあげる!九月に姉妹校交流会で京都に行くの!」
「え?」
姉妹校交流会のことは聞いてたけど・・・。
「京都『の』姉妹校と交流会じゃなくて?」
「京都『で』姉妹校と交流会があるの」
「そうなんだ?」
「私、京都行くの初めて!もう、今から超楽しみで!」
と、野薔薇ちゃんはウキウキしている。
(京都でって五条さん言ってなかったような気がするけど・・・)
野薔薇ちゃんがあまりにも楽しみにしているようなので、私はそれ以上は何も言えなかった。
するとそこへ、
「悪い、遅れた」
と、伏黒君がやって来た。
「伏黒君」
「おせーぞ、伏黒。レディをふたりも待ちぼうけさせるなんてどういう神経してんだ、コラァ」
「どこにレディがいるんだよ」
と、伏黒君も椅子に座ると、私に向かって言った。
「・・・お久しぶりです」
「うん、久しぶり・・・」
そう言った後、私はジーっと伏黒君の顔を見た。
悠仁君の『最期』に立ち合ったのは、伏黒君だと聞いていた。
だから、ずっと伏黒君のことが心配だった。そのショックは、きっと誰よりも大きかっただろうから。
(でも、大丈夫だからね。悠仁君は元気でもうすぐ会えるから・・・!)
私は伏黒君の顔を見つめながら、そっと心の中で語りかけた。
その伏黒君は私にじっと見つめられて、居心地悪そうに顔をしかめる。
「何なんですか」
「え、あ、ううん、何も・・・。あ、そうだ」
と、お土産の紙袋を伏黒君の前に差し出した。
「これ、お土産。生姜の漬物!京都の老舗の漬物屋さんのなの。伏黒君、生姜好きって聞いて」
「え、どうも・・・」
と受け取りつつも、伏黒君は明らかに困惑している。
その様子を見て、私は心配になって尋ねた。
「あれ?そんなに好きじゃなかった?生姜・・・」
「生姜そのものっていうより、生姜に合うものが好きってだけなんですけどね」
「えっ、そうなの?もしかして迷惑だった?」
「・・・いえ、ありがたく貰いますけど」
と、伏黒君は紙袋を自分の椅子の背もたれにひっかけて置いた。そして、
「・・・元気そうでよかったです」
と、つぶやくように言った。
伏黒君も私のことを心配してくれていたらしい。
「そういえば五条先生は元気なの?夏休み入ってから会ってないけど」
「うん、元気だよ」
野薔薇ちゃんの問いかけに私は頷いた。
「そっ。それならいいんだけど。でも、ずいぶんとドライよね。担任なんだから生徒が亡くなって少しは落胆すると思ったんだけど」
「・・・・・・」
「馬鹿言えよ」
野薔薇ちゃんの言葉にどう返せばいいのか悩んでいたら、伏黒君が口を開いた。
「五条先生は俺達の何倍もの修羅場を踏んでんだ。心の内はどうあれ、それを引き摺って態度に出すわけないだろ」
「・・・・・・」
「
それは、伏黒君が自分自身に言い聞かせているようだった。