第15話 京都
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その男の人は、鬼のような形相で呪霊を地面に頭から何度も何度も叩きつける。
「フン!フン!フン!フン!」
やがて呪霊は力尽き、そのままハラハラと崩れて消え去っていった。
「・・・まったく、つまらん手間をとらせおって。おかげで高田ちゃんのニューシングルを買い求める時間が減ってしまった」
そう呟いて、その人はゆらりと立ち上がった。
背が高く、服の上からでもわかる筋骨隆々な、まるで力士の様な巨体。
鋭い目つきに、顔に大きく走る傷跡。
「まだ購入者特典は残っているだろうか・・・」
そして、特徴的なパイナップルの様なちょんまげ頭。
唖然として彼の顔を見上げていたら、
「葵じゃないの」
と、五条さんが言った。
「む・・・?」
名前を呼ばれて、そのちょんまげ頭の男の人はこちらを振り返った。そして、
「五条悟・・・!」
と、驚いて五条さんの名を呼び返した。
「なぜここに?交流会の打ち合わせなら、先日こっちから東京へ伺ったのだがな・・・」
「知ってるよ。学長 に会ったもん」
「ではなぜ」
「デートだよ、デート」
と、五条さんは私の手を取って、ちょんまげ頭の彼の前に引っ張り出した。
「紹介するね。この子は鶴來和紗。『つるぎ庵』ていう老舗和菓子屋の娘さん。僕、そこのお婿さんになるから」
「ちょっ・・・」
また勝手に!
しかし、五条さんは私の咎めるような視線も目にくれず、今度は彼を紹介し始めた。
「で、彼は東堂葵。京都呪術高専校の三年生。ふざけた髪型してるけど、とても優秀でね。既に一級呪術師なんだ」
「一級・・・」
ってことは、七海さんと同じだ。
私はじっと東堂君の顔を見上げた。
すると、
「婿?」
東堂君が厳つい顔をキョトンとさせた。
「婿入りするということは、五条家はどうなる?アンタは五条家の当主だろう。五条家の人間はそれを許したのか?」
「まー、その説得は追々」
「か、勝手な事言わないでください!」
私は五条さんを制した後、東堂君に言った。
「違います!これは五条さんの冗談なんです!ただの戯言!聞き流してください!」
「・・・・・・」
東堂君は私を見下ろして一瞥した後、再び五条さんの方を見て言った。
「彼女は否定しているが。それに、俺も半ば信じられん」
「えー。でも僕らさっきチューし・・・」
「わー!わー!わーーっ!!」
私は真っ赤になって大声を出して五条さんの声をかき消した。
そんな風に騒いでいる間に、いつの間にか結界が解けて路地には歩行人が通り始めた。
歩行人は、さっきの東堂君と呪霊との戦いで壊れた壁を見て騒然としている。
その様子を見て、東堂君はふと思い出したように言った。
「お、いかん。修繕するように高専に連絡しなければ」
「しかし、こんな市街地にまで呪霊が出現してんの?」
「さっき祓ったのは、昨年の『百鬼夜行』の残党だ」
東堂君の言葉に、五条さんの肩が微かにピクリと動いた。
「『百鬼夜行』平定後もおめおめと逃れた呪霊の残党狩りをしている」
百鬼夜行・・・。
確か七海さんも、その言葉を口にしていたような。
(一体、何なんだろう)
と、五条さんの顔を見上げたら、
「・・・・・・」
五条さんは、見たことのない様な神妙な横顔をしていた。
だけど、それはほんの一瞬のことで、すぐに軽薄な笑みを浮かべて言った。
「そっ。それはご苦労だね!」
「まあ、俺にかかれば雑魚の残党狩りなど朝飯前・・・」
と、話している途中で、
「あーーーーーーーーーーっ!!」
と、東堂君は突然大声を出した。
キーンと耳をつんざくような声に、私と五条さんは堪らず耳を塞いだ。
「何だよ、うるさいな」
「こうしちゃおれん!早くCDショップに行かなければ!」
「CD?」
「本日は高田ちゃんのニューシングル発売日なのだ!販売店舗によって異なる購入者特典がもらえるので、各店舗を巡っているのだ」
「フン!フン!フン!フン!」
やがて呪霊は力尽き、そのままハラハラと崩れて消え去っていった。
「・・・まったく、つまらん手間をとらせおって。おかげで高田ちゃんのニューシングルを買い求める時間が減ってしまった」
そう呟いて、その人はゆらりと立ち上がった。
背が高く、服の上からでもわかる筋骨隆々な、まるで力士の様な巨体。
鋭い目つきに、顔に大きく走る傷跡。
「まだ購入者特典は残っているだろうか・・・」
そして、特徴的なパイナップルの様なちょんまげ頭。
唖然として彼の顔を見上げていたら、
「葵じゃないの」
と、五条さんが言った。
「む・・・?」
名前を呼ばれて、そのちょんまげ頭の男の人はこちらを振り返った。そして、
「五条悟・・・!」
と、驚いて五条さんの名を呼び返した。
「なぜここに?交流会の打ち合わせなら、先日こっちから東京へ伺ったのだがな・・・」
「知ってるよ。
「ではなぜ」
「デートだよ、デート」
と、五条さんは私の手を取って、ちょんまげ頭の彼の前に引っ張り出した。
「紹介するね。この子は鶴來和紗。『つるぎ庵』ていう老舗和菓子屋の娘さん。僕、そこのお婿さんになるから」
「ちょっ・・・」
また勝手に!
しかし、五条さんは私の咎めるような視線も目にくれず、今度は彼を紹介し始めた。
「で、彼は東堂葵。京都呪術高専校の三年生。ふざけた髪型してるけど、とても優秀でね。既に一級呪術師なんだ」
「一級・・・」
ってことは、七海さんと同じだ。
私はじっと東堂君の顔を見上げた。
すると、
「婿?」
東堂君が厳つい顔をキョトンとさせた。
「婿入りするということは、五条家はどうなる?アンタは五条家の当主だろう。五条家の人間はそれを許したのか?」
「まー、その説得は追々」
「か、勝手な事言わないでください!」
私は五条さんを制した後、東堂君に言った。
「違います!これは五条さんの冗談なんです!ただの戯言!聞き流してください!」
「・・・・・・」
東堂君は私を見下ろして一瞥した後、再び五条さんの方を見て言った。
「彼女は否定しているが。それに、俺も半ば信じられん」
「えー。でも僕らさっきチューし・・・」
「わー!わー!わーーっ!!」
私は真っ赤になって大声を出して五条さんの声をかき消した。
そんな風に騒いでいる間に、いつの間にか結界が解けて路地には歩行人が通り始めた。
歩行人は、さっきの東堂君と呪霊との戦いで壊れた壁を見て騒然としている。
その様子を見て、東堂君はふと思い出したように言った。
「お、いかん。修繕するように高専に連絡しなければ」
「しかし、こんな市街地にまで呪霊が出現してんの?」
「さっき祓ったのは、昨年の『百鬼夜行』の残党だ」
東堂君の言葉に、五条さんの肩が微かにピクリと動いた。
「『百鬼夜行』平定後もおめおめと逃れた呪霊の残党狩りをしている」
百鬼夜行・・・。
確か七海さんも、その言葉を口にしていたような。
(一体、何なんだろう)
と、五条さんの顔を見上げたら、
「・・・・・・」
五条さんは、見たことのない様な神妙な横顔をしていた。
だけど、それはほんの一瞬のことで、すぐに軽薄な笑みを浮かべて言った。
「そっ。それはご苦労だね!」
「まあ、俺にかかれば雑魚の残党狩りなど朝飯前・・・」
と、話している途中で、
「あーーーーーーーーーーっ!!」
と、東堂君は突然大声を出した。
キーンと耳をつんざくような声に、私と五条さんは堪らず耳を塞いだ。
「何だよ、うるさいな」
「こうしちゃおれん!早くCDショップに行かなければ!」
「CD?」
「本日は高田ちゃんのニューシングル発売日なのだ!販売店舗によって異なる購入者特典がもらえるので、各店舗を巡っているのだ」