第15話 京都
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鴨川沿いの目抜き通りから外れて、古い町屋群を通り抜けて15分ほど歩くと、途端に風景は変わって、いかにも京都を感じる場所からありきたりな団地の敷地内に辿り着いた。
だけど、住人は既に立ち退いていて団地内は無人だった。
建物を囲む立ち入り禁止のフェンスに貼られた計画表を見てみると、団地の建物は老朽化の為閉鎖され、近々新しいマンションが建築されるらしい。
「ここが昔、鶴來ちゃんが住んでたとこ?」
と、モイちゃんに尋ねられ、私は頷く。
「うん。幼稚園までね。まさか閉鎖されてるとは思わなかった・・・」
「どの棟に住んでたん?」
「もっと奥の方だったと思う」
「行ってみよ」
そうして、私たちはさらに敷地内を進んだ。
進んで行くと、小さな公園があった。
雑草が生い茂り、錆びたボロボロのブランコと小さなジャングルジムが、まるで遺跡みたいだ。
私はその公園で立ち止まり、その向かいに建つ棟を見上げた。
「ここだ・・・」
と、呟きながら、3階の端部屋の窓に目をやる。
そこは、私が、お父さんとお母さんと、数年間・・・今思えば、とても短い日々を家族3人で一緒に過ごした部屋だった。
「・・・・・・」
そう。とても短くて、儚くて、でも、何の不安もない、ただただ幸せな日々だった。
あの日が来るまでは。
窓が開いて、お母さんが顔を覗かせて、下の公園で遊ぶ幼い私とお父さんに声をかける。
『お父さーん、和紗ー。お昼ご飯出来たよー』
だけど、今、窓は不法侵入を防ぐための木の板に固く閉じられて、荒廃した公園には大きくなった私がいる。
「・・・ありがと、モイちゃん。行こう」
「え?もうええの?」
「うん。だって」
私は言った。
「ここには、もう何もないもの」
するとモイちゃんは私に何も訊かず、
「・・・次は、あんみつ食いに行こっか」
と言った。
私はそれに小さく頷いて、踵を返して再び歩き出した。
その時、
「モ、燃エルゴミハ・・・火ト金・・・」
建物の影から、呪霊がこっちを伺っているのが見えた。
「!」
それに気づいて、私はギクリとする。
「隔週日ヨウ日ハ、ソソソウジノヒ・・・」
見た感じ、その呪霊は低級っぽく見える。
あまり強そうには見えない。
サトルでやっつけられるかもしれない。もしかしたら、私の呪力でも。
(だけど、今はモイちゃんがいる)
モイちゃんにサトルを見られる訳にもいかないし、何か不測の事態が起きるかもしれない。
ここは、相手にせず逃げることに決めた。
「モ、モイちゃん!急ごう!」
と、私はモイちゃんの腕を引き走り出した。
「え、何、急にどうしたん?」
突然走り出した私に、モイちゃんは戸惑いの声を上げた。
私は走るスピードを落とさず、尚且つ後ろを警戒しつつ言った。
「だ、だって時間がもったいないでしょ!」
そう言いながら、ギョッと目を丸めた。
さっきの呪霊が、予想だにしてなかったスピードで追いかけてくるのが見えたからだ。
(お、追いつかれる!)
呪霊がモイちゃんのすぐ背後まで迫り、手を伸ばしてくる。
呪霊の鋭い爪が、モイちゃんの髪の毛を掠める。
「・・・・・・!」
私はモイちゃんの腕をグイっと引いて前へ送り出し、呪霊の前に立ちはだかった。
そして、右手をかざして反転術式で退魔の力を練ろうとした時だった。
パンッ
呪霊の頭部が何かに撃たれたように弾けて、血を吹き出しそのまま地面に倒れ込んだ。
「なっ・・・」
私は驚いて立ち止まり振り返った。
「もぉ~、一体何なん?急に走り出したり急に止まったり・・・」
と、呪霊が見えていないモイちゃんは不可解そうに声を上げる。
しかし、私が目線を向けるのは、更にその後ろ。
団地の建物の陰からのぞく人影があった。
「よかった。当たって♡」
人影が出てきて、その姿を見せる。
ノースリーブにロングスカート姿で背の高いボブヘアーの女の子が、ピストルを構えていた。
だけど、住人は既に立ち退いていて団地内は無人だった。
建物を囲む立ち入り禁止のフェンスに貼られた計画表を見てみると、団地の建物は老朽化の為閉鎖され、近々新しいマンションが建築されるらしい。
「ここが昔、鶴來ちゃんが住んでたとこ?」
と、モイちゃんに尋ねられ、私は頷く。
「うん。幼稚園までね。まさか閉鎖されてるとは思わなかった・・・」
「どの棟に住んでたん?」
「もっと奥の方だったと思う」
「行ってみよ」
そうして、私たちはさらに敷地内を進んだ。
進んで行くと、小さな公園があった。
雑草が生い茂り、錆びたボロボロのブランコと小さなジャングルジムが、まるで遺跡みたいだ。
私はその公園で立ち止まり、その向かいに建つ棟を見上げた。
「ここだ・・・」
と、呟きながら、3階の端部屋の窓に目をやる。
そこは、私が、お父さんとお母さんと、数年間・・・今思えば、とても短い日々を家族3人で一緒に過ごした部屋だった。
「・・・・・・」
そう。とても短くて、儚くて、でも、何の不安もない、ただただ幸せな日々だった。
あの日が来るまでは。
窓が開いて、お母さんが顔を覗かせて、下の公園で遊ぶ幼い私とお父さんに声をかける。
『お父さーん、和紗ー。お昼ご飯出来たよー』
だけど、今、窓は不法侵入を防ぐための木の板に固く閉じられて、荒廃した公園には大きくなった私がいる。
「・・・ありがと、モイちゃん。行こう」
「え?もうええの?」
「うん。だって」
私は言った。
「ここには、もう何もないもの」
するとモイちゃんは私に何も訊かず、
「・・・次は、あんみつ食いに行こっか」
と言った。
私はそれに小さく頷いて、踵を返して再び歩き出した。
その時、
「モ、燃エルゴミハ・・・火ト金・・・」
建物の影から、呪霊がこっちを伺っているのが見えた。
「!」
それに気づいて、私はギクリとする。
「隔週日ヨウ日ハ、ソソソウジノヒ・・・」
見た感じ、その呪霊は低級っぽく見える。
あまり強そうには見えない。
サトルでやっつけられるかもしれない。もしかしたら、私の呪力でも。
(だけど、今はモイちゃんがいる)
モイちゃんにサトルを見られる訳にもいかないし、何か不測の事態が起きるかもしれない。
ここは、相手にせず逃げることに決めた。
「モ、モイちゃん!急ごう!」
と、私はモイちゃんの腕を引き走り出した。
「え、何、急にどうしたん?」
突然走り出した私に、モイちゃんは戸惑いの声を上げた。
私は走るスピードを落とさず、尚且つ後ろを警戒しつつ言った。
「だ、だって時間がもったいないでしょ!」
そう言いながら、ギョッと目を丸めた。
さっきの呪霊が、予想だにしてなかったスピードで追いかけてくるのが見えたからだ。
(お、追いつかれる!)
呪霊がモイちゃんのすぐ背後まで迫り、手を伸ばしてくる。
呪霊の鋭い爪が、モイちゃんの髪の毛を掠める。
「・・・・・・!」
私はモイちゃんの腕をグイっと引いて前へ送り出し、呪霊の前に立ちはだかった。
そして、右手をかざして反転術式で退魔の力を練ろうとした時だった。
パンッ
呪霊の頭部が何かに撃たれたように弾けて、血を吹き出しそのまま地面に倒れ込んだ。
「なっ・・・」
私は驚いて立ち止まり振り返った。
「もぉ~、一体何なん?急に走り出したり急に止まったり・・・」
と、呪霊が見えていないモイちゃんは不可解そうに声を上げる。
しかし、私が目線を向けるのは、更にその後ろ。
団地の建物の陰からのぞく人影があった。
「よかった。当たって♡」
人影が出てきて、その姿を見せる。
ノースリーブにロングスカート姿で背の高いボブヘアーの女の子が、ピストルを構えていた。