第14話 秘密の接吻(キス)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
驚いて振り向くと、夏油さんが私から取り上げたスマホを操作して通話を切ってしまった。
「何・・・を」
私は怯えてただ夏油さんを見上げる。
すると、夏油さんはスマホを投げ捨てて、ズイッと私に迫ってきた。
「高専関係者に、私のことを知られるのはマズイんだよね」
そして更に顔を近づけて、
「な・・・んっ!」
私にキスをした。
「・・・む・・・んん・・・っ!」
思いもよらないことに驚きながらも、私は夏油さんを突き飛ばそうとした。
だけど、夏油さんは右腕で私の身体を、左手で私の後頭部を、逃れられないよう抑え込んだ。
「ん・・・んんんぅ・・・っ!」
唇は更に強く深く押し当てられて、舌を入れられて口内が侵食されていく。穢されていく。
ピロロロロ・・・・
スマホの着信音が鳴り続けている。
きっと、五条さんがかけ直して来たんだ。
だけど、私は応答することが出来なかった。
着信音が途切れた頃、
「・・・はっ・・・」
絡み合う唾液の糸を引きながら唇が離れて、私は息をひとつ吐きだした。
「これが、呪霊の味だよ」
と、夏油さんは私の耳元で囁いた。
「・・・・・・」
私はその言葉の意味をすぐに理解できなかった。
だけど、ふと少し前に交わした会話を思い出した。
『・・・味がするんですか?』
『どんな味か知りたい?』
それは、誰も知らない呪霊の味。
自分が穢されるような不愉快で屈辱的な。
「・・・・・・っ」
私は怒りと涙で震える目で、夏油さんを睨みつけた。
「そんな怖い顔で睨まないでくれよ。まさかファーストキスだった?」
夏油さんは意に介さず、言葉を続けた。
「それじゃあ、さっきのキスは私と君とだけの秘密にしよう。知られたくないだろう?特に、さっきの電話の相手には」
「・・・・・・」
「そして、もうひとつ。私と君が、今晩ここで会っていた事は、誰にも話してはいけないよ」
これは、『縛り』?
「もし話してしまった時は・・・あの被呪者を殺して『みささぎ』を貰う」
ううん、違う。
これは、『脅し』だ。
「いいね?」
もう一度私の耳元で囁くと、夏油さんはようやく私を解放した。
そして、
「それじゃあ、和紗。また会おう」
と、袈裟の裾を翻してこの場を去っていった。
「・・・・・っ!」
私はその場にへたりと座り込んだ。そして、何度も何度も、両手の甲で口元を拭り続けた。
五条さんから何度も電話がかかってきたけれど、私は応答することが出来なかった。
ズサッ・・・ズサッ・・・ズサッ・・・
「お疲れ。ここまでわざわざ来たのに手ぶらだなんてね」
ズサッ
「真人」
「さっきの人間が電話してた五条サンって五条悟のことじゃないの?漏瑚をあんなのにした」
「・・・だろうね」
「バレたらまずいんでしょ、夏油の存在。ちゃんとした『縛り』を結んだ方がよかったんじゃない?バラされるかもよ?」
「『縛り』とは術師同士が結ぶものだ。彼女は術師じゃない。普通の女の子だ」
「ふむ」
「普通の女の子には、ああして屈辱感や羞恥心を植え付けた方が効果的なんだよ」
「そんなまだるっこしいことしなくても、殺しちゃえばいいのに」
「・・・・・・」
「俺が殺してこようか?」
「ダメだよ、真人」
「なんで~?」
「彼女は『可能性』なんだよ」
「んー?」
「『可能性』を無暗に刈ってはいけない」
「貴女が、鶴來和紗さん?五条を通じて連絡をくれた人ね?」
夏油さんが去って一時間ほど経ったくらいに、呪術高専京都校の関係者が【ホテル万畳】に到着した。
「私は庵歌姫。呪術高専京都校の教師で、準一級呪術師です」
と、名乗った歌姫さんは巫女姿で髪の毛を大きなリボンでひっつめた髪型をしている。
そして、顔に大きな傷跡がある。
「大丈夫?怪我はない?」
歌姫さんに尋ねられて、私は横に首を振った。
「私は大丈夫です。でも、他の人の意識がもどらなくて。『反転術式』で応急処置はしたんですが」
「・・・そう。大丈夫、彼らのことはこちらで診ます」
「お願いします」
「貴女からは詳しく話を訊きたいのだけれど、いいかしら?」
「・・・はい」
「何・・・を」
私は怯えてただ夏油さんを見上げる。
すると、夏油さんはスマホを投げ捨てて、ズイッと私に迫ってきた。
「高専関係者に、私のことを知られるのはマズイんだよね」
そして更に顔を近づけて、
「な・・・んっ!」
私にキスをした。
「・・・む・・・んん・・・っ!」
思いもよらないことに驚きながらも、私は夏油さんを突き飛ばそうとした。
だけど、夏油さんは右腕で私の身体を、左手で私の後頭部を、逃れられないよう抑え込んだ。
「ん・・・んんんぅ・・・っ!」
唇は更に強く深く押し当てられて、舌を入れられて口内が侵食されていく。穢されていく。
ピロロロロ・・・・
スマホの着信音が鳴り続けている。
きっと、五条さんがかけ直して来たんだ。
だけど、私は応答することが出来なかった。
着信音が途切れた頃、
「・・・はっ・・・」
絡み合う唾液の糸を引きながら唇が離れて、私は息をひとつ吐きだした。
「これが、呪霊の味だよ」
と、夏油さんは私の耳元で囁いた。
「・・・・・・」
私はその言葉の意味をすぐに理解できなかった。
だけど、ふと少し前に交わした会話を思い出した。
『・・・味がするんですか?』
『どんな味か知りたい?』
それは、誰も知らない呪霊の味。
自分が穢されるような不愉快で屈辱的な。
「・・・・・・っ」
私は怒りと涙で震える目で、夏油さんを睨みつけた。
「そんな怖い顔で睨まないでくれよ。まさかファーストキスだった?」
夏油さんは意に介さず、言葉を続けた。
「それじゃあ、さっきのキスは私と君とだけの秘密にしよう。知られたくないだろう?特に、さっきの電話の相手には」
「・・・・・・」
「そして、もうひとつ。私と君が、今晩ここで会っていた事は、誰にも話してはいけないよ」
これは、『縛り』?
「もし話してしまった時は・・・あの被呪者を殺して『みささぎ』を貰う」
ううん、違う。
これは、『脅し』だ。
「いいね?」
もう一度私の耳元で囁くと、夏油さんはようやく私を解放した。
そして、
「それじゃあ、和紗。また会おう」
と、袈裟の裾を翻してこの場を去っていった。
「・・・・・っ!」
私はその場にへたりと座り込んだ。そして、何度も何度も、両手の甲で口元を拭り続けた。
五条さんから何度も電話がかかってきたけれど、私は応答することが出来なかった。
ズサッ・・・ズサッ・・・ズサッ・・・
「お疲れ。ここまでわざわざ来たのに手ぶらだなんてね」
ズサッ
「真人」
「さっきの人間が電話してた五条サンって五条悟のことじゃないの?漏瑚をあんなのにした」
「・・・だろうね」
「バレたらまずいんでしょ、夏油の存在。ちゃんとした『縛り』を結んだ方がよかったんじゃない?バラされるかもよ?」
「『縛り』とは術師同士が結ぶものだ。彼女は術師じゃない。普通の女の子だ」
「ふむ」
「普通の女の子には、ああして屈辱感や羞恥心を植え付けた方が効果的なんだよ」
「そんなまだるっこしいことしなくても、殺しちゃえばいいのに」
「・・・・・・」
「俺が殺してこようか?」
「ダメだよ、真人」
「なんで~?」
「彼女は『可能性』なんだよ」
「んー?」
「『可能性』を無暗に刈ってはいけない」
「貴女が、鶴來和紗さん?五条を通じて連絡をくれた人ね?」
夏油さんが去って一時間ほど経ったくらいに、呪術高専京都校の関係者が【ホテル万畳】に到着した。
「私は庵歌姫。呪術高専京都校の教師で、準一級呪術師です」
と、名乗った歌姫さんは巫女姿で髪の毛を大きなリボンでひっつめた髪型をしている。
そして、顔に大きな傷跡がある。
「大丈夫?怪我はない?」
歌姫さんに尋ねられて、私は横に首を振った。
「私は大丈夫です。でも、他の人の意識がもどらなくて。『反転術式』で応急処置はしたんですが」
「・・・そう。大丈夫、彼らのことはこちらで診ます」
「お願いします」
「貴女からは詳しく話を訊きたいのだけれど、いいかしら?」
「・・・はい」