第14話 秘密の接吻(キス)
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グチャッ
グニュッ
ビチャッ
特級過呪怨霊『みささぎ』が、おそらく呪霊だったもの・・・というのは、元の姿が想像できないほど跡形もなくなっているからだ。その呪霊だったものの身体を、まるで泥遊びをしているかのように、練ったり、引きちぎったり、握りつぶしたりしている。
「・・・・っっ」
凄惨な光景だ。
『みささぎ』が弄ぶ度に、呪霊の細かな肉片や黒い血液がビチャビチャと辺りに飛び散る。
そんな『みささぎ』の残酷な振る舞いを、目の前で微動だにせず見ている人物がいる。
「陵先生・・・」
そう、陵先生がそこにいた。
「陵先生・・・!」
私は陵先生に駆け寄って、その右腕に縋りついた。
「『みささぎ』を止めてください!これ以上はもう・・・」
「何故?」
陵先生は私の方に目を向けることなく言った。
「コイツは、祐平を傷つけた。許しちゃいけない・・・やっつけないといけないんだ」
「・・・・・・」
そう言われて、私はその時ようやく気づいた。
アスファルトの地面に、祐平さんと、その友達、そして専門学校の女の子達が気絶して倒れていることに。
おそらく、屋上を肝試しのゴールにしていて、ゴールした瞬間に呪霊に襲われたのだろう。
それを陵先生が発見して、『みささぎ』を顕現させたんだ。
「・・・・・・っ」
私は気絶している祐平さん達に駆け寄り、ひとりひとりに『反転術式』で治療を始めた。
治療を施すと、青ざめていた顔色に血の気が戻り、微かながら呼吸音が戻った。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
だけど、それに反比例するように私の呪力と体力が失われていく。
「くっ・・・」
全員の治療を終えて、私はゆらりと立ちあがり再び陵先生に呼びかける。
「陵先生、祐平さんも皆生きてます・・・大丈夫だから・・・だから、『みささぎ』を止めてください。このままじゃ制御できなくなる・・・」
だけど、陵先生は止めようとしない。
『みささぎ』も止まる気配はない。
その行動は更にエスカレートしていき、『みささぎ』はその肉片を食いちぎり始めた。
「!!」
私は見るに耐えず、目を固く閉じて顔を逸らした。
すると、
「・・・素晴らしい!」
と、後ろに立つ夏油さんが嬉々として言った。
細い目を爛々とさせて見開いて、『みささぎ』の行動を見つめながら。
「これほどの強大な呪力は、あの『祈本里香』と匹敵しうる・・・!」
おりもとりか?
誰?
ううん、そんなことより。
「そんなことより、止めてください!」
私は夏油さんに懇願するように言った。
「あの『みささぎ』は特級過呪怨霊といって、暴走させると危険なんです!」
「みささぎ?それがあの呪霊の名前なんだね?」
と、夏油さんはますます嬉しそうに唇に笑みを浮かべる。
「素晴らしい・・・狙ってた上級呪霊は『みささぎ』にやられてしまったようだが、それも惜しくない。ここに来てやはりよかった」
「・・・夏油さん」
「『みささぎ』は私がもらうよ」
「そ、それで止められるなら」
「あの『みささぎ』の被呪者は殺すけど、構わないね?」
何、言ってるの。
「だ、ダメです!」
私は両手を広げて夏油さんの前に立ちはだかった。
夏油さんはキョトンとする。
「何故?じゃないと『みささぎ』は止められないよ?」
「でも、陵先生を殺すなんて・・・」
「このままだと『みささぎ』が暴走して他に被害が出てしまうよ?いいの?」
「・・・でも・・・」
どうしよう。
こんなのじゃ夏油さんには任せられない。
私が、止めなきゃ。
「・・・・・・」
良い策なんて思いつかない。
でも、やらなきゃ。
「・・・・・・っ」
意を決して陵先生と『みささぎ』の方を振り向いた時だった。
「仕方ないね」
と、夏油さんが私の肩に手を置いて制した。
「君の心意気に免じて、無条件で『みささぎ』を止めてあげるよ」
そして、前に出ておもむろに陵先生に近づく。
グニュッ
ビチャッ
特級過呪怨霊『みささぎ』が、おそらく呪霊だったもの・・・というのは、元の姿が想像できないほど跡形もなくなっているからだ。その呪霊だったものの身体を、まるで泥遊びをしているかのように、練ったり、引きちぎったり、握りつぶしたりしている。
「・・・・っっ」
凄惨な光景だ。
『みささぎ』が弄ぶ度に、呪霊の細かな肉片や黒い血液がビチャビチャと辺りに飛び散る。
そんな『みささぎ』の残酷な振る舞いを、目の前で微動だにせず見ている人物がいる。
「陵先生・・・」
そう、陵先生がそこにいた。
「陵先生・・・!」
私は陵先生に駆け寄って、その右腕に縋りついた。
「『みささぎ』を止めてください!これ以上はもう・・・」
「何故?」
陵先生は私の方に目を向けることなく言った。
「コイツは、祐平を傷つけた。許しちゃいけない・・・やっつけないといけないんだ」
「・・・・・・」
そう言われて、私はその時ようやく気づいた。
アスファルトの地面に、祐平さんと、その友達、そして専門学校の女の子達が気絶して倒れていることに。
おそらく、屋上を肝試しのゴールにしていて、ゴールした瞬間に呪霊に襲われたのだろう。
それを陵先生が発見して、『みささぎ』を顕現させたんだ。
「・・・・・・っ」
私は気絶している祐平さん達に駆け寄り、ひとりひとりに『反転術式』で治療を始めた。
治療を施すと、青ざめていた顔色に血の気が戻り、微かながら呼吸音が戻った。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
だけど、それに反比例するように私の呪力と体力が失われていく。
「くっ・・・」
全員の治療を終えて、私はゆらりと立ちあがり再び陵先生に呼びかける。
「陵先生、祐平さんも皆生きてます・・・大丈夫だから・・・だから、『みささぎ』を止めてください。このままじゃ制御できなくなる・・・」
だけど、陵先生は止めようとしない。
『みささぎ』も止まる気配はない。
その行動は更にエスカレートしていき、『みささぎ』はその肉片を食いちぎり始めた。
「!!」
私は見るに耐えず、目を固く閉じて顔を逸らした。
すると、
「・・・素晴らしい!」
と、後ろに立つ夏油さんが嬉々として言った。
細い目を爛々とさせて見開いて、『みささぎ』の行動を見つめながら。
「これほどの強大な呪力は、あの『祈本里香』と匹敵しうる・・・!」
おりもとりか?
誰?
ううん、そんなことより。
「そんなことより、止めてください!」
私は夏油さんに懇願するように言った。
「あの『みささぎ』は特級過呪怨霊といって、暴走させると危険なんです!」
「みささぎ?それがあの呪霊の名前なんだね?」
と、夏油さんはますます嬉しそうに唇に笑みを浮かべる。
「素晴らしい・・・狙ってた上級呪霊は『みささぎ』にやられてしまったようだが、それも惜しくない。ここに来てやはりよかった」
「・・・夏油さん」
「『みささぎ』は私がもらうよ」
「そ、それで止められるなら」
「あの『みささぎ』の被呪者は殺すけど、構わないね?」
何、言ってるの。
「だ、ダメです!」
私は両手を広げて夏油さんの前に立ちはだかった。
夏油さんはキョトンとする。
「何故?じゃないと『みささぎ』は止められないよ?」
「でも、陵先生を殺すなんて・・・」
「このままだと『みささぎ』が暴走して他に被害が出てしまうよ?いいの?」
「・・・でも・・・」
どうしよう。
こんなのじゃ夏油さんには任せられない。
私が、止めなきゃ。
「・・・・・・」
良い策なんて思いつかない。
でも、やらなきゃ。
「・・・・・・っ」
意を決して陵先生と『みささぎ』の方を振り向いた時だった。
「仕方ないね」
と、夏油さんが私の肩に手を置いて制した。
「君の心意気に免じて、無条件で『みささぎ』を止めてあげるよ」
そして、前に出ておもむろに陵先生に近づく。