第14話 秘密の接吻(キス)
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ドォーーーンと地鳴りのような大きな音が響くと同時に、粉塵がモクモク舞い上がった。
「・・・・・・っ」
落下した衝撃で、私はしばらく動けずにその場で仰向けで呆然としていた。
だけど、身体に痛みは意外にも感じない。
(だ、大丈夫・・・手、動く。足も・・・)
と、確認してからゆっくり身体を起こした。
見てみると、私が落下したそこは、ベッドのマットレスの上だった。
(な、なんたる偶然・・・!)
マットレスに座り込んだまま、握りしめたままの懐中電灯の明かりをぽっかり空いた天井に向けた。
すると、そこから陵先生が覗き込んでこちらを見下ろしているのが見えた。
「大丈夫!?鶴來さん!?」
心配そうに陵先生は私に呼びかける。
なので、私は声を張り上げて返事した。
「大丈夫です!」
「怪我は!?」
「してないです!奇跡的に、マットレスの上に落下したので」
「そ、そっか。よかった。僕もそっちへ・・・」
「陵先生は先を急いで下さい!」
私は言った。
「祐平さん達が助けを待ってるかもしれないから、先に行ってください!私も後で行きますから」
すると、やや間があってから。
「わかった!」
陵先生の返事があった。
「でも、くれぐれも気をつけて」
「・・・はい!」
そう返事してから、私はマットレスから降りた。
先を進もうと、歩き出そうと一歩を踏み出した時だった。
『チチチチチェックアゥトォハ、ジュジュジュジュウジマデニ、オネガイシマス…』
さっきまで遠巻きに様子を伺うだけだった呪霊が、ぞろぞろと出てきて私に迫って来る。
(・・・『みささぎ』の気配が遠のいたからか)
私は背負っていたリュックを降ろして、リュックのファスナーを開けた。
そして、
「サトル」
と、呼びかける。
すると、ウサギ型呪骸のサトルが勢いよく飛び出してきた。
「サトル、あいつらをやっつけて」
私はサトルの頭を撫でながら命令をする。
サトルはコクリと頷くと、ダッと呪霊たちに向かって駆け出して連中を蹴り飛ばしていく。
(反転術式・・・!)
私も反転術式で退魔の力を練り上げ身構える。
そして、近づいてくる呪霊に向けてその手をかざした。
『イ``ィイッ!?』
すると、呪霊は退魔の力を感じてか怯えて後ずさりする。
その隙に、私は走り出して呪霊が集まったこの部屋から脱出を図る。
「サトル!行こう!」
そのまま廊下へ飛び出し走っていく。
しかし、その前方から何か物音が聞こえてきた。
「・・・・!」
私はゆっくり走るスピードを落とし、そのまま立ち止まり前方を警戒する。
ズサッ・・・ズサッ・・・ズサッ・・・
(足音・・・ううん、違う。布ずれの音だ)
その音は次第に大きくなり、こちらに近づいている。
(陵先生・・・?それとも専門学校のコ達か・・・祐平さんの友達・・・?)
もしかしたら、新たな呪霊かもしれない。
でも、この先を進まなければ陵先生と合流出来ない。
「・・・!!」
私は意を決して、前方に向けて懐中電灯の明かりを向けた。
暗闇を小さな明かりが照らし、そこからシルエットが浮かび上がる。
暗闇から溶け出るように、その姿が私の目の前に現れた。
黒い袈裟姿。
涼しげでいて柔和な顔立ち。
長い黒髪をハーフアップでひっつめて、一束の前髪が垂れ落ちている。
大きな福耳に、ピアス。
そして、額を真横に横切る手術痕。
「あなたは・・・」
私はそう呟いた後、驚きのあまり息と一緒に言葉を飲み込んでしまった。
「君は・・・」
私の前に現れたその人も私の姿を見て、細い糸目を驚いたように見開いている。しかし、すぐに柔らかく微笑んで、
「また会ったね」
と、言った。
そう、私はこの人と会ったことがある。
一度だけ、僅かな時間だったけれど、印象的だったから覚えてる。
黒い袈裟姿の僧侶。
上京してまだ間もない頃、渋谷でキャッチに捕まって困っていた時に助けてくれた、あの僧侶だ(第6話)。
「・・・・・・っ」
落下した衝撃で、私はしばらく動けずにその場で仰向けで呆然としていた。
だけど、身体に痛みは意外にも感じない。
(だ、大丈夫・・・手、動く。足も・・・)
と、確認してからゆっくり身体を起こした。
見てみると、私が落下したそこは、ベッドのマットレスの上だった。
(な、なんたる偶然・・・!)
マットレスに座り込んだまま、握りしめたままの懐中電灯の明かりをぽっかり空いた天井に向けた。
すると、そこから陵先生が覗き込んでこちらを見下ろしているのが見えた。
「大丈夫!?鶴來さん!?」
心配そうに陵先生は私に呼びかける。
なので、私は声を張り上げて返事した。
「大丈夫です!」
「怪我は!?」
「してないです!奇跡的に、マットレスの上に落下したので」
「そ、そっか。よかった。僕もそっちへ・・・」
「陵先生は先を急いで下さい!」
私は言った。
「祐平さん達が助けを待ってるかもしれないから、先に行ってください!私も後で行きますから」
すると、やや間があってから。
「わかった!」
陵先生の返事があった。
「でも、くれぐれも気をつけて」
「・・・はい!」
そう返事してから、私はマットレスから降りた。
先を進もうと、歩き出そうと一歩を踏み出した時だった。
『チチチチチェックアゥトォハ、ジュジュジュジュウジマデニ、オネガイシマス…』
さっきまで遠巻きに様子を伺うだけだった呪霊が、ぞろぞろと出てきて私に迫って来る。
(・・・『みささぎ』の気配が遠のいたからか)
私は背負っていたリュックを降ろして、リュックのファスナーを開けた。
そして、
「サトル」
と、呼びかける。
すると、ウサギ型呪骸のサトルが勢いよく飛び出してきた。
「サトル、あいつらをやっつけて」
私はサトルの頭を撫でながら命令をする。
サトルはコクリと頷くと、ダッと呪霊たちに向かって駆け出して連中を蹴り飛ばしていく。
(反転術式・・・!)
私も反転術式で退魔の力を練り上げ身構える。
そして、近づいてくる呪霊に向けてその手をかざした。
『イ``ィイッ!?』
すると、呪霊は退魔の力を感じてか怯えて後ずさりする。
その隙に、私は走り出して呪霊が集まったこの部屋から脱出を図る。
「サトル!行こう!」
そのまま廊下へ飛び出し走っていく。
しかし、その前方から何か物音が聞こえてきた。
「・・・・!」
私はゆっくり走るスピードを落とし、そのまま立ち止まり前方を警戒する。
ズサッ・・・ズサッ・・・ズサッ・・・
(足音・・・ううん、違う。布ずれの音だ)
その音は次第に大きくなり、こちらに近づいている。
(陵先生・・・?それとも専門学校のコ達か・・・祐平さんの友達・・・?)
もしかしたら、新たな呪霊かもしれない。
でも、この先を進まなければ陵先生と合流出来ない。
「・・・!!」
私は意を決して、前方に向けて懐中電灯の明かりを向けた。
暗闇を小さな明かりが照らし、そこからシルエットが浮かび上がる。
暗闇から溶け出るように、その姿が私の目の前に現れた。
黒い袈裟姿。
涼しげでいて柔和な顔立ち。
長い黒髪をハーフアップでひっつめて、一束の前髪が垂れ落ちている。
大きな福耳に、ピアス。
そして、額を真横に横切る手術痕。
「あなたは・・・」
私はそう呟いた後、驚きのあまり息と一緒に言葉を飲み込んでしまった。
「君は・・・」
私の前に現れたその人も私の姿を見て、細い糸目を驚いたように見開いている。しかし、すぐに柔らかく微笑んで、
「また会ったね」
と、言った。
そう、私はこの人と会ったことがある。
一度だけ、僅かな時間だったけれど、印象的だったから覚えてる。
黒い袈裟姿の僧侶。
上京してまだ間もない頃、渋谷でキャッチに捕まって困っていた時に助けてくれた、あの僧侶だ(第6話)。