第14話 秘密の接吻(キス)
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「どうしたんですか?」
尋ねながら、嫌な予感がした。
「今、祐平から電話があったんだ」
陵先生が言った。
「うちの生徒の女子達と肝試しに行ってるって。そしたら、女子とはぐれてしまって、そのまま見つからないって・・・!」
「・・・・・・」
どうやら、嫌な予感は当たってしまったようだ。
「祐平に生徒の名前を確認しても、パニックになってるからか返答が曖昧で・・・だから今、確認を取ってるんだ。この部屋は全員いる?」
「この部屋は私とモイちゃんだけで、ちゃんといます」
そして、私は打ち明けた。
「肝試しに行ったのは、隣の部屋の四人です」
すると、陵先生は驚いたように目を見開いた。
「行ったこと知ってたの?」
「・・・ごめんなさい。止めようとしたんですけど」
陵先生は私を咎めることはなかったものの、代わりに落胆したようにひとつ溜息をついた。
「・・・とりあえず、僕は今から祐平のところへ行くよ。もし彼女たちから連絡があったら僕に知らせてくれないかな」
「は、はい」
と、私と陵先生はお互いにスマホを取り出した。
そうして連絡先を交換した後。
「あの、祐平さんたちは一体どこに肝試しに?」
私の質問に陵先生は、
「【ホテル万畳】」
と、答えた。
「ホテル・・・?」
「ホテルといっても、今は廃墟になってるところだけどね。昔から地元では有名な心霊スポットなんだ」
【ホテル万畳】は県境沿いにある山の頂にあり、その風光明媚な展望が人気でかつては観光シーズンには宿泊客が大勢来ていたそうだ。
しかし、不景気のあおりを受けて観光客は激減。経営は破綻しホテルは閉館。さらにそれに伴う負債を苦にした経営者が、自殺してしまったのだという。
極めつけは、この廃墟となったホテルで殺人事件が起きたこと。
こんないわくつきの廃ホテルが、利権関係で解体されず今日まで残されているために、近隣の人々の恐怖心と想像力が現在も掻き立てられているのだという。
そこへ肝試しに行った者からは、経営者あるいは殺人事件の被害者の幽霊の目撃談が絶えないらしい。
「・・・絶っっ対、呪霊がいる」
陵先生から【ホテル万畳】の話を聞き終えて、私は呟いた。
すると、陵先生もコクリと頷いた。
「僕もそう思う。もしかしたら、呪霊の被害が・・・」
「私も一緒に行きます」
だって、五条さんに言われた。
『万が一、呪霊と遭遇しても慶太には引き合わせないように。そこいらの呪霊なら『みささぎ』は瞬殺できるけど、周辺の被害もただでは済まないからね」
だから、陵先生に拒否されても絶対一緒に着いて行くつもりでいた。
「・・・・・・」
陵先生は悩んでいたみたいだけど、
「・・・わかった。一緒に来てもらえるかな」
と、意外にも快諾した。
きっと、陵先生もまだ不安なんだと思う。
もし、また『みささぎ』を暴走させてしまったら、と。
陵先生の実家の車を借りて、先生の運転で【ホテル万畳】へ向かう。
「・・・ごめん、祐平のせいでこんなことに巻き込んで」
陵先生がハンドルを握りながら口を開いた。
「祐平は人懐っこいけど、来るもの拒まずというか・・・最近は大学であまり良くない交友関係が出来て、それで毎日夜中に遊び回ってるって、母さんから聞いた」
それを聞いて、祐平さんの友達たちを思い浮かべた。
私に凄んできた人をはじめ、人を見た目で判断しちゃいけないとは思うけれど、確かに品行方正という感じはしない。
「・・・祐平さんだけのせいじゃないですよ」
私は言った。
「それよりも、祐平さんってすごく陵先生に懐いてるんですね」
「ん?あぁ・・・」
陵先生は少しはにかみながら言った。
「義兄 さんとは一回り以上年齢が離れてるし、僕と祐平は年齢が近いからかな。継父 さんと母さんが再婚して、すぐ祐平が懐いてくれて仲良くなったんだ」
「・・・ご家族仲がいいんですね」
「うん・・・」
「少し、意外でした」
「意外?」
「だって、先生以前に言ってたから。『僕には居場所がないから』って。だから、私てっきり家族の方と仲良くないのかななんて邪推して」
「あぁ」
陵先生は頷いてから言った。
「居場所がないっていうのは語弊があったな・・・。僕はあの場所にふさわしくない、そう言うべきだった」
尋ねながら、嫌な予感がした。
「今、祐平から電話があったんだ」
陵先生が言った。
「うちの生徒の女子達と肝試しに行ってるって。そしたら、女子とはぐれてしまって、そのまま見つからないって・・・!」
「・・・・・・」
どうやら、嫌な予感は当たってしまったようだ。
「祐平に生徒の名前を確認しても、パニックになってるからか返答が曖昧で・・・だから今、確認を取ってるんだ。この部屋は全員いる?」
「この部屋は私とモイちゃんだけで、ちゃんといます」
そして、私は打ち明けた。
「肝試しに行ったのは、隣の部屋の四人です」
すると、陵先生は驚いたように目を見開いた。
「行ったこと知ってたの?」
「・・・ごめんなさい。止めようとしたんですけど」
陵先生は私を咎めることはなかったものの、代わりに落胆したようにひとつ溜息をついた。
「・・・とりあえず、僕は今から祐平のところへ行くよ。もし彼女たちから連絡があったら僕に知らせてくれないかな」
「は、はい」
と、私と陵先生はお互いにスマホを取り出した。
そうして連絡先を交換した後。
「あの、祐平さんたちは一体どこに肝試しに?」
私の質問に陵先生は、
「【ホテル万畳】」
と、答えた。
「ホテル・・・?」
「ホテルといっても、今は廃墟になってるところだけどね。昔から地元では有名な心霊スポットなんだ」
【ホテル万畳】は県境沿いにある山の頂にあり、その風光明媚な展望が人気でかつては観光シーズンには宿泊客が大勢来ていたそうだ。
しかし、不景気のあおりを受けて観光客は激減。経営は破綻しホテルは閉館。さらにそれに伴う負債を苦にした経営者が、自殺してしまったのだという。
極めつけは、この廃墟となったホテルで殺人事件が起きたこと。
こんないわくつきの廃ホテルが、利権関係で解体されず今日まで残されているために、近隣の人々の恐怖心と想像力が現在も掻き立てられているのだという。
そこへ肝試しに行った者からは、経営者あるいは殺人事件の被害者の幽霊の目撃談が絶えないらしい。
「・・・絶っっ対、呪霊がいる」
陵先生から【ホテル万畳】の話を聞き終えて、私は呟いた。
すると、陵先生もコクリと頷いた。
「僕もそう思う。もしかしたら、呪霊の被害が・・・」
「私も一緒に行きます」
だって、五条さんに言われた。
『万が一、呪霊と遭遇しても慶太には引き合わせないように。そこいらの呪霊なら『みささぎ』は瞬殺できるけど、周辺の被害もただでは済まないからね」
だから、陵先生に拒否されても絶対一緒に着いて行くつもりでいた。
「・・・・・・」
陵先生は悩んでいたみたいだけど、
「・・・わかった。一緒に来てもらえるかな」
と、意外にも快諾した。
きっと、陵先生もまだ不安なんだと思う。
もし、また『みささぎ』を暴走させてしまったら、と。
陵先生の実家の車を借りて、先生の運転で【ホテル万畳】へ向かう。
「・・・ごめん、祐平のせいでこんなことに巻き込んで」
陵先生がハンドルを握りながら口を開いた。
「祐平は人懐っこいけど、来るもの拒まずというか・・・最近は大学であまり良くない交友関係が出来て、それで毎日夜中に遊び回ってるって、母さんから聞いた」
それを聞いて、祐平さんの友達たちを思い浮かべた。
私に凄んできた人をはじめ、人を見た目で判断しちゃいけないとは思うけれど、確かに品行方正という感じはしない。
「・・・祐平さんだけのせいじゃないですよ」
私は言った。
「それよりも、祐平さんってすごく陵先生に懐いてるんですね」
「ん?あぁ・・・」
陵先生は少しはにかみながら言った。
「
「・・・ご家族仲がいいんですね」
「うん・・・」
「少し、意外でした」
「意外?」
「だって、先生以前に言ってたから。『僕には居場所がないから』って。だから、私てっきり家族の方と仲良くないのかななんて邪推して」
「あぁ」
陵先生は頷いてから言った。
「居場所がないっていうのは語弊があったな・・・。僕はあの場所にふさわしくない、そう言うべきだった」