第13話 呪いに取り憑かれた男
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「五条さん・・・!」
「怪我は?」
トンッと窓から着地して五条さんは私に尋ねた。
「・・・・・・っ」
私はフルフルと首を横に振った。
すると、五条さんは口元に笑みを浮かべた。
「危険な予感がして来ちゃったよー。放課後の誰もいない教室に、教師と生徒とはいえ男女が二人きりなわけでしょ?何か間違いが起きたらいけないと思って」
「・・・何の間違いですか」
「でも、あながち予感は外れたわけでもなかったでしょ」
と、五条さんは廊下の方を見遣った。
『ヌヌ`ヌ``ゥウウ・・・』
大型呪霊がゆらりと立ちあがり、怒り心頭といった様子でこちらに戻って来る。
「すごい呪力量だ。ただの呪霊とは違う。ちょっと本気ださないといけないかな」
と、五条さんは人差し指と中指で印を組んだ。
「『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』」
そう五条さんが唱えた次の瞬間。
「!」
校舎の周辺が突然、夜がやって来たように暗くなった。
「これは・・・」
「『帳』。平たく言えば、外から内側の様子を見えないようにするバリアみたいなもんかな」
と、五条さんは戸惑う私の前に立った。そしてこちらを肩越しで見て、
「絶対に僕の前には出てこないこと。いいね?」
と、言った。
「・・・・・・」
私は無言のまま頷いた。
すると五条さんはニッと笑ってから前を向き直し、今度は人差し指を突き立てて、迫りくる大型呪霊に向かって差し出した。
その指先に、まるでブラックホールのような凄まじい呪力が凝縮された虚空が現れた。
「術式反転『赫』」
そう五条さんが唱えると、さっきよりも凄まじい衝撃で大型呪霊は再び吹き飛ばされてホワイトボードへ減り込んだ。
『ヌ、ヌヌゥヌンンン・・・!』
大型呪霊は減り込んだ身体を捩って這い出てくる。
そして、顎が裂けんばかりに大きく口を開けた。
口内に凝縮された呪力の塊が浮かび上がる。
そして、大型呪霊は吐き出すようにしてその呪力をこちらに飛ばした。
「!」
私は怯えて身をすくめる。
しかし、五条さんは微動だにしない。
飛ばされた呪力は無下限のバリアに塞がれて、周辺の調理台だけが破壊されてボロボロになっていく。
『・・・・・!』
大型呪霊は効かないことを理解したのか、後ろに後ずさりした。
それに対して、五条さんは一歩前に出る。
「さて。なんの呪霊なのかはわからないけど、放っておくわけにはいかないからね。祓わせてもらうよ」
と、大型呪霊に詰め寄る。
すると、大型呪霊は再びポロポロと涙をこぼし始めた。
『ヌ、ア、ヌアァァア・・』
だけど、五条さんは動揺する素振りもない。
「命乞いする呪霊なんて初めてだよ。でも残念。僕には通用しない」
そして、手を大型呪霊の額に向けてかざした。
「・・・ま、待ってください」
その時だった。
「陵 先生?」
陵先生が意識を取り戻し、五条さんに呼びかけた。
五条さんは手を降ろして、ゆっくりと陵先生を振り返った。
「そいつは・・・僕の、僕に憑りついているんです」
と、陵先生は言った。
(え・・・)
私は驚いて陵先生の顔を見上げた。
五条さんもさすがに想定外だったようで、目隠しの下の眉間をピクリとさせた。
「こいつが君に?」
「・・・はい」
「君が被呪者ってわけ?」
「・・・・・・」
すると、大型呪霊はするりと五条さんの隣をすり抜けるようにして、陵先生の元に駆け寄った。そして、先生に頬ずりして泣きつく。
『ケいタ・・・・けいたぁ・・・』
慶太とは、陵先生の名前だ。
陵先生は、慰めるように大型呪霊の頭を撫でる。
「・・・大丈夫だよ」
その驚きの光景に、私も五条さんも唖然とする。
すると、五条さんが呟くように言った。
「なるほど。憂太と似たパターンか」
「憂太・・・?」
「乙骨憂太。呪術高専の二年生で、僕と同じ特級呪術師だよ」
「・・・そんな人が・・・」
いるんですね、と言いかけたところで突如眩暈に襲われた。
(・・・さっき、反転術式を使ったから・・・)
呪力を使うと、いつもこうなる。
どうして、私の呪力量はこんなにも貧弱なんだろう。
立ってられずフラフラとしていたら、
「和紗?」
異変を察した五条さんが駆け寄る。
だけど、駆けつけるより早く私はフラリと倒れる。
「危ない!」
そう言って、私を抱き支えたのは陵先生だった。
「・・・・・・」
大丈夫です、そう言うつもりだったのに。
私はそのまま意識を失った。
「怪我は?」
トンッと窓から着地して五条さんは私に尋ねた。
「・・・・・・っ」
私はフルフルと首を横に振った。
すると、五条さんは口元に笑みを浮かべた。
「危険な予感がして来ちゃったよー。放課後の誰もいない教室に、教師と生徒とはいえ男女が二人きりなわけでしょ?何か間違いが起きたらいけないと思って」
「・・・何の間違いですか」
「でも、あながち予感は外れたわけでもなかったでしょ」
と、五条さんは廊下の方を見遣った。
『ヌヌ`ヌ``ゥウウ・・・』
大型呪霊がゆらりと立ちあがり、怒り心頭といった様子でこちらに戻って来る。
「すごい呪力量だ。ただの呪霊とは違う。ちょっと本気ださないといけないかな」
と、五条さんは人差し指と中指で印を組んだ。
「『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』」
そう五条さんが唱えた次の瞬間。
「!」
校舎の周辺が突然、夜がやって来たように暗くなった。
「これは・・・」
「『帳』。平たく言えば、外から内側の様子を見えないようにするバリアみたいなもんかな」
と、五条さんは戸惑う私の前に立った。そしてこちらを肩越しで見て、
「絶対に僕の前には出てこないこと。いいね?」
と、言った。
「・・・・・・」
私は無言のまま頷いた。
すると五条さんはニッと笑ってから前を向き直し、今度は人差し指を突き立てて、迫りくる大型呪霊に向かって差し出した。
その指先に、まるでブラックホールのような凄まじい呪力が凝縮された虚空が現れた。
「術式反転『赫』」
そう五条さんが唱えると、さっきよりも凄まじい衝撃で大型呪霊は再び吹き飛ばされてホワイトボードへ減り込んだ。
『ヌ、ヌヌゥヌンンン・・・!』
大型呪霊は減り込んだ身体を捩って這い出てくる。
そして、顎が裂けんばかりに大きく口を開けた。
口内に凝縮された呪力の塊が浮かび上がる。
そして、大型呪霊は吐き出すようにしてその呪力をこちらに飛ばした。
「!」
私は怯えて身をすくめる。
しかし、五条さんは微動だにしない。
飛ばされた呪力は無下限のバリアに塞がれて、周辺の調理台だけが破壊されてボロボロになっていく。
『・・・・・!』
大型呪霊は効かないことを理解したのか、後ろに後ずさりした。
それに対して、五条さんは一歩前に出る。
「さて。なんの呪霊なのかはわからないけど、放っておくわけにはいかないからね。祓わせてもらうよ」
と、大型呪霊に詰め寄る。
すると、大型呪霊は再びポロポロと涙をこぼし始めた。
『ヌ、ア、ヌアァァア・・』
だけど、五条さんは動揺する素振りもない。
「命乞いする呪霊なんて初めてだよ。でも残念。僕には通用しない」
そして、手を大型呪霊の額に向けてかざした。
「・・・ま、待ってください」
その時だった。
「
陵先生が意識を取り戻し、五条さんに呼びかけた。
五条さんは手を降ろして、ゆっくりと陵先生を振り返った。
「そいつは・・・僕の、僕に憑りついているんです」
と、陵先生は言った。
(え・・・)
私は驚いて陵先生の顔を見上げた。
五条さんもさすがに想定外だったようで、目隠しの下の眉間をピクリとさせた。
「こいつが君に?」
「・・・はい」
「君が被呪者ってわけ?」
「・・・・・・」
すると、大型呪霊はするりと五条さんの隣をすり抜けるようにして、陵先生の元に駆け寄った。そして、先生に頬ずりして泣きつく。
『ケいタ・・・・けいたぁ・・・』
慶太とは、陵先生の名前だ。
陵先生は、慰めるように大型呪霊の頭を撫でる。
「・・・大丈夫だよ」
その驚きの光景に、私も五条さんも唖然とする。
すると、五条さんが呟くように言った。
「なるほど。憂太と似たパターンか」
「憂太・・・?」
「乙骨憂太。呪術高専の二年生で、僕と同じ特級呪術師だよ」
「・・・そんな人が・・・」
いるんですね、と言いかけたところで突如眩暈に襲われた。
(・・・さっき、反転術式を使ったから・・・)
呪力を使うと、いつもこうなる。
どうして、私の呪力量はこんなにも貧弱なんだろう。
立ってられずフラフラとしていたら、
「和紗?」
異変を察した五条さんが駆け寄る。
だけど、駆けつけるより早く私はフラリと倒れる。
「危ない!」
そう言って、私を抱き支えたのは陵先生だった。
「・・・・・・」
大丈夫です、そう言うつもりだったのに。
私はそのまま意識を失った。