第13話 呪いに取り憑かれた男
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私は内心ムッとして返答した。
「すみません。おばあちゃんみたいなおかずばかりで。しかもド田舎出身なものですから、オシャレなデリ風おかずというものがわからないのです」
「何、そのAIみたいな返答」
「っていうか、別に五条さんのために作ってないんですけど」
「でも、僕も食べてるもん」
「・・・・・・」
「あ、別にケチつけてるんじゃないよ?リクエストだよ、リクエスト。そもそも最初にちゃんと美味いって言ったでしょ?」
悠仁君や陵 先生は、素直に美味しいってありがとうって言ってくれるのに。
どうしてこの人は、余計な一言二言が多いのかしら。
「・・・五条さん、意外とモテないでしょ」
私がボソリとこぼしたのを聞き取れなかったのか、五条さんは小首を傾げる。
「ん?何か言った?」
「いえ、別に」
でも、確かに五条さんに指摘されたように、私のお弁当はなんというか彩りというか華やかさが足りない気がする。
(悠仁君は白飯に合うおかずなら何でも好きって言ってたけど・・・)
ボンヤリと、陵先生の顔が脳裏に浮かんだ。
「・・・陵先生はどういうのがいいのかな」
「陵先生ってダレ―?」
私のつぶやきにすかさず五条さんが食いつく。
自分に都合が悪いことは耳に入らないのに、こういうことだけは反応が早い。
私は呆れながら応える。
「新しく赴任してきた先生です。和菓子の先生で、御実家も和菓子店なんですって」
「あー、悠仁が言ってたティモシー・シャラメ似ってやつか」
「聞いてたんですか?」
「うん。そりゃあさぞかしイケメンなんだろうねぇ」
「はい。女の子がキャアキャア言ってます。五条さんにも負けてないですよ」
「そっかぁ。でも、僕とは違うタイプだねぇ」
と、五条さんはナルシストっぽく自分の輪郭を指で撫でる。
「僕、クリス・エヴァンスと似てるから。キャプテンアメリカの」
「・・・全然似てないですよ。日本語吹き替えの声は似てるけど」
と、私は呆れて呟く。
すると、五条さんは改めて尋ねてきた。
「で、その陵先生がどうしたの?」
「あ、今度陵先生の分もお弁当作ることになったから、どんなのがいいのかなって」
そう。要らないって断られると思ったのに、意外にも陵先生はこちらの申し出を受け入れたのだ。
「はあ?」
すると、五条さんは不服そうに唇を尖らせた。
「どうして和紗がそんなことする必要があるのさ」
「先生、いつもお昼はおにぎりひとつだけって言うから見兼ねてつい・・・。ついでだと思って。お弁当ってひとつふたつ作るのも手間はそう変わらないし・・・」
それに、
『僕には居場所がないから』
という言葉がどうしても引っかかって。
「いやいや。おかしいでしょ」
五条さんは言った。
「そいつ独身でしょ?かいがいしく自分のためにお弁当作ってくれるなんてったら、勘違いしない?」
「勘違い?」
「和紗が自分に気があるんじゃないかって」
「・・・大丈夫ですよ。悠仁君に作るついでだって話してるし、先生は誰かさんと違って自信過剰じゃないですし。それに、お弁当のお礼にって協力してもらえることになったんです」
「協力?何の?」
「『あけづる』の作り方の研究を」
「『あけづる』の?」
五条さんはますます不服そうに唇をひん曲げた。
「そんなの必要ないでしょ。それは僕がちゃんと教えてるのに」
「呪物としてじゃなくて、純粋に和菓子として、おじいちゃんの『あけづる』の味を再現するために、一緒に研究してもらうんです」
「それも僕がしてるでしょ。『食感が違う』『もっと甘い』って」
「・・・それはただの感想で、何の参考にもなりませんよ」
私は言った。
「私は、もっと具体的なことが知りたいんです。そのアドバイスは・・・やっぱり和菓子職人じゃないと出来ないと思う」
そうきっぱり言うと、
「・・・・・・」
いつも減らず口な五条さんが黙り込んでしまった。
そしたら、私もなんだか気まずくなって口をつぐんだ。
「すみません。おばあちゃんみたいなおかずばかりで。しかもド田舎出身なものですから、オシャレなデリ風おかずというものがわからないのです」
「何、そのAIみたいな返答」
「っていうか、別に五条さんのために作ってないんですけど」
「でも、僕も食べてるもん」
「・・・・・・」
「あ、別にケチつけてるんじゃないよ?リクエストだよ、リクエスト。そもそも最初にちゃんと美味いって言ったでしょ?」
悠仁君や
どうしてこの人は、余計な一言二言が多いのかしら。
「・・・五条さん、意外とモテないでしょ」
私がボソリとこぼしたのを聞き取れなかったのか、五条さんは小首を傾げる。
「ん?何か言った?」
「いえ、別に」
でも、確かに五条さんに指摘されたように、私のお弁当はなんというか彩りというか華やかさが足りない気がする。
(悠仁君は白飯に合うおかずなら何でも好きって言ってたけど・・・)
ボンヤリと、陵先生の顔が脳裏に浮かんだ。
「・・・陵先生はどういうのがいいのかな」
「陵先生ってダレ―?」
私のつぶやきにすかさず五条さんが食いつく。
自分に都合が悪いことは耳に入らないのに、こういうことだけは反応が早い。
私は呆れながら応える。
「新しく赴任してきた先生です。和菓子の先生で、御実家も和菓子店なんですって」
「あー、悠仁が言ってたティモシー・シャラメ似ってやつか」
「聞いてたんですか?」
「うん。そりゃあさぞかしイケメンなんだろうねぇ」
「はい。女の子がキャアキャア言ってます。五条さんにも負けてないですよ」
「そっかぁ。でも、僕とは違うタイプだねぇ」
と、五条さんはナルシストっぽく自分の輪郭を指で撫でる。
「僕、クリス・エヴァンスと似てるから。キャプテンアメリカの」
「・・・全然似てないですよ。日本語吹き替えの声は似てるけど」
と、私は呆れて呟く。
すると、五条さんは改めて尋ねてきた。
「で、その陵先生がどうしたの?」
「あ、今度陵先生の分もお弁当作ることになったから、どんなのがいいのかなって」
そう。要らないって断られると思ったのに、意外にも陵先生はこちらの申し出を受け入れたのだ。
「はあ?」
すると、五条さんは不服そうに唇を尖らせた。
「どうして和紗がそんなことする必要があるのさ」
「先生、いつもお昼はおにぎりひとつだけって言うから見兼ねてつい・・・。ついでだと思って。お弁当ってひとつふたつ作るのも手間はそう変わらないし・・・」
それに、
『僕には居場所がないから』
という言葉がどうしても引っかかって。
「いやいや。おかしいでしょ」
五条さんは言った。
「そいつ独身でしょ?かいがいしく自分のためにお弁当作ってくれるなんてったら、勘違いしない?」
「勘違い?」
「和紗が自分に気があるんじゃないかって」
「・・・大丈夫ですよ。悠仁君に作るついでだって話してるし、先生は誰かさんと違って自信過剰じゃないですし。それに、お弁当のお礼にって協力してもらえることになったんです」
「協力?何の?」
「『あけづる』の作り方の研究を」
「『あけづる』の?」
五条さんはますます不服そうに唇をひん曲げた。
「そんなの必要ないでしょ。それは僕がちゃんと教えてるのに」
「呪物としてじゃなくて、純粋に和菓子として、おじいちゃんの『あけづる』の味を再現するために、一緒に研究してもらうんです」
「それも僕がしてるでしょ。『食感が違う』『もっと甘い』って」
「・・・それはただの感想で、何の参考にもなりませんよ」
私は言った。
「私は、もっと具体的なことが知りたいんです。そのアドバイスは・・・やっぱり和菓子職人じゃないと出来ないと思う」
そうきっぱり言うと、
「・・・・・・」
いつも減らず口な五条さんが黙り込んでしまった。
そしたら、私もなんだか気まずくなって口をつぐんだ。