第13話 呪いに取り憑かれた男
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(大丈夫かな?先生・・・)
落胆した様子で去っていく陵 先生の後姿を見ていたら、
「キャア~~~♡」
と、さっき先生に駆け寄った女の子が突然嬌声をあげた。
「何々?どないしたん?」
と、モイちゃんが彼女に声をかけた。
すると、そのコは語り始めた。
「み、陵先生の顔見えたの。そしたら・・・」
「ほーん?」
「超イケメン!超美形だった!!」
「えー?ホンマにぃ?」
「ホントに!!ティモシー・シャラメみたいだった!」
そんな会話で盛り上がるモイちゃんたちを横目に、私はお弁当を片付けて立ち上がった。
「鶴來さん?」
「ごめん、大野君。私、ちょっと外すね」
と言い残して、私は陵先生の後を追った。
「陵先生!」
廊下で追いついて、私は陵先生に声をかけた。
すると、陵先生は立ち止まりゆっくりとこちらを振り向いた。
「君は・・・?」
と、首を傾げると同時にフレームが曲がってしまった眼鏡がズルリとずれる。
この時、初めて陵先生の顔がはっきりと見えた。
少し落ちくぼんだ瞼の憂いを秘めたような瞳。鼻筋は高くスッと真っ直ぐで、どこか日本人離れした彫りの深い顔立ちだ。
「一年生の鶴來和紗です」
私はそう言いながら、自分のお弁当を差し出した。
「あの、さっきので先生のおにぎりがダメになってしまったと思って。このお弁当、ほとんど手つかずなんで良かったらどうぞ」
すると、陵先生はますますキョトンとした顔をした。
それでも、グ~~~っとごまかせないくらいの音でお腹が鳴ったので、
「・・・ありがとう」
と、陵先生はお弁当を受け取った。
「でも、君は大丈夫なの?」
「あ、はい。それとは別におにぎりを二つ食べたので・・・」
ついついご飯をたくさん炊きすぎて、おにぎりもたくさん作って持ってきていたのだ!
「だから、ご遠慮なく」
と笑いかけると、陵先生は微かに笑った。
「・・・じゃあ、遠慮なく」
その微笑みに思わず視線が吸い寄せられる。
(確かに女の子がキャアキャア言うのも納得だなぁ)
少しの間ポ〜っとしてすぐに我に返り、私は尋ねた。
「・・・先生って、もしかして御実家がお店だったりしますか?」
「・・・え?どうして?」
「さっきの授業で、教え方が感覚的なところがあるなと思って」
言いながら、私はおじいちゃんのことを思い出していた。
「私の実家は和菓子屋で、おじいちゃんが職人だったんです。おじいちゃんも計量とかいっさいしなくて、その時々の感覚で粉や水の量を決めてたから」
「・・・・・・」
「職人って計量よりそういう感覚的なところを大事にしますよね。だから、先生もそういう教えを受けてたんじゃないかって思って」
「・・・・・・」
「そういう感覚、私もわかるんです。でも、それですごく悩まされてもいて。実家の名物が『あけづる』っていう饅頭なんですけど、私が作ってもおじいちゃんのとは味が全く違うから・・・」
「・・・おじいさんからの手ほどきは?」
「・・・あ、今年の初めに亡くなったんです」
と、私が言うと、陵先生はすごく動揺した。
「ご、ごめん。言いにくいことを・・・」
「いいえ。大丈夫です」
「・・・そうか。じゃあレシピは残されては?」
私は首を横に振った。
「『あけづる』は一子相伝で、それ以外の伝承は・・・」
と話している途中で、
「おーい、鶴來ちゃーん。何してんのー?そろそろ教室戻るでーっ」
と、モイちゃんと大野君がやって来た。
なので私は、
「あ、じゃあ先生、私失礼しますね」
と、陵先生に一礼してモイちゃんたちの方に向かって駆け出した。
駆けつけると、モイちゃんに訊かれた。
「陵先生と何話してたん?」
「え、あ・・・さっきの授業について質問しただけだよ」
なんとなくお弁当を上げたことは言えなくて、ウソをついてしまった。
だけどモイちゃんはたいして気に留めず「ふーん」と聞き流していた。
落胆した様子で去っていく
「キャア~~~♡」
と、さっき先生に駆け寄った女の子が突然嬌声をあげた。
「何々?どないしたん?」
と、モイちゃんが彼女に声をかけた。
すると、そのコは語り始めた。
「み、陵先生の顔見えたの。そしたら・・・」
「ほーん?」
「超イケメン!超美形だった!!」
「えー?ホンマにぃ?」
「ホントに!!ティモシー・シャラメみたいだった!」
そんな会話で盛り上がるモイちゃんたちを横目に、私はお弁当を片付けて立ち上がった。
「鶴來さん?」
「ごめん、大野君。私、ちょっと外すね」
と言い残して、私は陵先生の後を追った。
「陵先生!」
廊下で追いついて、私は陵先生に声をかけた。
すると、陵先生は立ち止まりゆっくりとこちらを振り向いた。
「君は・・・?」
と、首を傾げると同時にフレームが曲がってしまった眼鏡がズルリとずれる。
この時、初めて陵先生の顔がはっきりと見えた。
少し落ちくぼんだ瞼の憂いを秘めたような瞳。鼻筋は高くスッと真っ直ぐで、どこか日本人離れした彫りの深い顔立ちだ。
「一年生の鶴來和紗です」
私はそう言いながら、自分のお弁当を差し出した。
「あの、さっきので先生のおにぎりがダメになってしまったと思って。このお弁当、ほとんど手つかずなんで良かったらどうぞ」
すると、陵先生はますますキョトンとした顔をした。
それでも、グ~~~っとごまかせないくらいの音でお腹が鳴ったので、
「・・・ありがとう」
と、陵先生はお弁当を受け取った。
「でも、君は大丈夫なの?」
「あ、はい。それとは別におにぎりを二つ食べたので・・・」
ついついご飯をたくさん炊きすぎて、おにぎりもたくさん作って持ってきていたのだ!
「だから、ご遠慮なく」
と笑いかけると、陵先生は微かに笑った。
「・・・じゃあ、遠慮なく」
その微笑みに思わず視線が吸い寄せられる。
(確かに女の子がキャアキャア言うのも納得だなぁ)
少しの間ポ〜っとしてすぐに我に返り、私は尋ねた。
「・・・先生って、もしかして御実家がお店だったりしますか?」
「・・・え?どうして?」
「さっきの授業で、教え方が感覚的なところがあるなと思って」
言いながら、私はおじいちゃんのことを思い出していた。
「私の実家は和菓子屋で、おじいちゃんが職人だったんです。おじいちゃんも計量とかいっさいしなくて、その時々の感覚で粉や水の量を決めてたから」
「・・・・・・」
「職人って計量よりそういう感覚的なところを大事にしますよね。だから、先生もそういう教えを受けてたんじゃないかって思って」
「・・・・・・」
「そういう感覚、私もわかるんです。でも、それですごく悩まされてもいて。実家の名物が『あけづる』っていう饅頭なんですけど、私が作ってもおじいちゃんのとは味が全く違うから・・・」
「・・・おじいさんからの手ほどきは?」
「・・・あ、今年の初めに亡くなったんです」
と、私が言うと、陵先生はすごく動揺した。
「ご、ごめん。言いにくいことを・・・」
「いいえ。大丈夫です」
「・・・そうか。じゃあレシピは残されては?」
私は首を横に振った。
「『あけづる』は一子相伝で、それ以外の伝承は・・・」
と話している途中で、
「おーい、鶴來ちゃーん。何してんのー?そろそろ教室戻るでーっ」
と、モイちゃんと大野君がやって来た。
なので私は、
「あ、じゃあ先生、私失礼しますね」
と、陵先生に一礼してモイちゃんたちの方に向かって駆け出した。
駆けつけると、モイちゃんに訊かれた。
「陵先生と何話してたん?」
「え、あ・・・さっきの授業について質問しただけだよ」
なんとなくお弁当を上げたことは言えなくて、ウソをついてしまった。
だけどモイちゃんはたいして気に留めず「ふーん」と聞き流していた。