第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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すると、野薔薇ちゃんはヘヘッと笑いながら言った。
「前言撤回。だって、和紗さんが『反転術式』まで出来ると思わなかったんだもん」
「・・・まだまだ不安定だけどね」
「いっそ和紗さんも高専に来たら?」
そこへ唐突に、
「それは困るな~。野薔薇はともかく、和紗には立派な和菓子職人になってもらいたいんだけど」
と、どこからともなく現れた五条さんが言った。
「五条さん!」
「五条先生!?」
当然、私と野薔薇ちゃんは驚く。
「どうしてここへ?」
「和紗が電話したんでしょ。折り返しても出ないし」
「・・・またサトルをGPS代わりにしたんですか?」
「っていうか、今日ここでフリマがあるって話してたじゃない。だからここへ来たんだよ。電車と徒歩で」
「あ、そっか」
五条さんは、気絶している店主の顔を覗き込みながら言った。
「そんなことより、ひと悶着あったみたいだね」
「それが・・・」
と、野薔薇ちゃんがこれまでの経緯を話した。
すると、五条さんは興味深そうに相槌を打った。
「ふーん、細川ガラシャの呪いの着物ねぇ」
「やっぱりガラシャの無念や恨みが呪霊と化したものだったのかな?」
私の問いかけに、五条さんは首を傾げた。
「それはどうだろうね。僕が思うに、細川ガラシャってのは人の興味をひくための名目で、実際は何の関係もないと思うよ」
それに、と五条さんは言葉を続けた。
「その着物型呪霊は、おそらく人工的に作られたものだ」
「人工的?」
「人の手で呪霊を造り出す。いたんだよねぇ、そういう悪趣味を持った呪術師が。そういう呪術師の中でも最も悪名高いのが、加茂憲倫」
「加茂・・・」
私は野薔薇ちゃんに「知ってる?」と目で問いかけたけれど、野薔薇ちゃんは首を横に振った。
それを見て、五条さんはニッと笑って言った。
「野薔薇はこれから高専で習うよ、呪術史でね。ま、とにかく、そういう連中が呪術的知的好奇心を暴走させて造り出した負の遺産が現代で発見されて、それを処分する任務が度々あるんだ。きっとその呪いの着物もそのひとつだよ。初めは呪具として開発したものが、呪霊化したんだろうね」
「ふーん。ありがた迷惑な遺産ね」
「ホントホント。ところで・・・」
五条さんは言った。
「フリマは?店番、大丈夫なの?」
「「あ」」
そこで私と野薔薇ちゃんは思い出した。
伏黒君に店番を任せっぱなしにしていたことを。
「遅い」
呪いの着物の被害者の搬送を五条さんに任せて、私と野薔薇ちゃんはブースに戻った。
呪いを祓っていたことなど知る由もない伏黒君は、当然、たいそうお怒りの様子だ。
「ゴメンゴメン、色々あってさぁ」
野薔薇ちゃんがテヘッと笑いながら伏黒君に言った。
「それより売れ行きはどう?一着ぐらい売れた?」
「売れてねーよ」
「えっ!?どういうこと!呼び込みの効果は!?っていうか、虎杖はどこなのよ!」
「まだ戻ってねぇ」
「何やってんのよ、アイツ・・・」
と、話していたその時だった。
「ただいまー!美味そうなクレープの店があったから買って来たぜ~」
と、両手に食べ物いっぱい抱えた悠仁君が戻ってきた。
どうやら、悠仁君も呼び込みそっちのけで買い物を楽しんでたらしい。
「売れ行きどう?」
その様子を見て、伏黒君のこめかみにブチっと青筋が立った。
「オマエなぁ・・・!」
「あれ、まだ一着も売れてないの?」
「呼び込みは!?ちゃんとしたんだろうな」
「したって」
「伏黒、アンタがそんな仏頂面で立ってるからお客さんが来ないのよ」
「オマエらなぁ・・・」
と、一年ズが言い争いをしている横で。
(頑張って作ったんだけどなぁ)
私は売れずにラックに残っている服を落胆して眺めていた。
「前言撤回。だって、和紗さんが『反転術式』まで出来ると思わなかったんだもん」
「・・・まだまだ不安定だけどね」
「いっそ和紗さんも高専に来たら?」
そこへ唐突に、
「それは困るな~。野薔薇はともかく、和紗には立派な和菓子職人になってもらいたいんだけど」
と、どこからともなく現れた五条さんが言った。
「五条さん!」
「五条先生!?」
当然、私と野薔薇ちゃんは驚く。
「どうしてここへ?」
「和紗が電話したんでしょ。折り返しても出ないし」
「・・・またサトルをGPS代わりにしたんですか?」
「っていうか、今日ここでフリマがあるって話してたじゃない。だからここへ来たんだよ。電車と徒歩で」
「あ、そっか」
五条さんは、気絶している店主の顔を覗き込みながら言った。
「そんなことより、ひと悶着あったみたいだね」
「それが・・・」
と、野薔薇ちゃんがこれまでの経緯を話した。
すると、五条さんは興味深そうに相槌を打った。
「ふーん、細川ガラシャの呪いの着物ねぇ」
「やっぱりガラシャの無念や恨みが呪霊と化したものだったのかな?」
私の問いかけに、五条さんは首を傾げた。
「それはどうだろうね。僕が思うに、細川ガラシャってのは人の興味をひくための名目で、実際は何の関係もないと思うよ」
それに、と五条さんは言葉を続けた。
「その着物型呪霊は、おそらく人工的に作られたものだ」
「人工的?」
「人の手で呪霊を造り出す。いたんだよねぇ、そういう悪趣味を持った呪術師が。そういう呪術師の中でも最も悪名高いのが、加茂憲倫」
「加茂・・・」
私は野薔薇ちゃんに「知ってる?」と目で問いかけたけれど、野薔薇ちゃんは首を横に振った。
それを見て、五条さんはニッと笑って言った。
「野薔薇はこれから高専で習うよ、呪術史でね。ま、とにかく、そういう連中が呪術的知的好奇心を暴走させて造り出した負の遺産が現代で発見されて、それを処分する任務が度々あるんだ。きっとその呪いの着物もそのひとつだよ。初めは呪具として開発したものが、呪霊化したんだろうね」
「ふーん。ありがた迷惑な遺産ね」
「ホントホント。ところで・・・」
五条さんは言った。
「フリマは?店番、大丈夫なの?」
「「あ」」
そこで私と野薔薇ちゃんは思い出した。
伏黒君に店番を任せっぱなしにしていたことを。
「遅い」
呪いの着物の被害者の搬送を五条さんに任せて、私と野薔薇ちゃんはブースに戻った。
呪いを祓っていたことなど知る由もない伏黒君は、当然、たいそうお怒りの様子だ。
「ゴメンゴメン、色々あってさぁ」
野薔薇ちゃんがテヘッと笑いながら伏黒君に言った。
「それより売れ行きはどう?一着ぐらい売れた?」
「売れてねーよ」
「えっ!?どういうこと!呼び込みの効果は!?っていうか、虎杖はどこなのよ!」
「まだ戻ってねぇ」
「何やってんのよ、アイツ・・・」
と、話していたその時だった。
「ただいまー!美味そうなクレープの店があったから買って来たぜ~」
と、両手に食べ物いっぱい抱えた悠仁君が戻ってきた。
どうやら、悠仁君も呼び込みそっちのけで買い物を楽しんでたらしい。
「売れ行きどう?」
その様子を見て、伏黒君のこめかみにブチっと青筋が立った。
「オマエなぁ・・・!」
「あれ、まだ一着も売れてないの?」
「呼び込みは!?ちゃんとしたんだろうな」
「したって」
「伏黒、アンタがそんな仏頂面で立ってるからお客さんが来ないのよ」
「オマエらなぁ・・・」
と、一年ズが言い争いをしている横で。
(頑張って作ったんだけどなぁ)
私は売れずにラックに残っている服を落胆して眺めていた。