第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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「ちょっと、オバサン大丈夫?どうしちゃったの?」
野薔薇ちゃんが店主に声をかける。
しかし、店主はこちらを振り返らず、頭に被った着物を肩まで引き下ろしてそのまま腕を袖に通した。
そしてそのまま、
「・・・ぁぁ・・・ぅ・・・ぁぁ・・・」
と、ブツブツ呟きながらその場を離れていく。
「止まって!」
野薔薇ちゃんが声をかけるけれど、店主は止まろうとせず歩いていく。
「待って・・・」
と、私は引き留めようと店主の方へ手を伸ばすけれど、野薔薇ちゃんに止められた。
「下手に刺激しない方がいい、今は」
「あの人、一体どうしたの?」
「あの着物の呪いに取りつかれてる」
「呪いに・・・」
「刺激して、周囲の人達に被害が出たらマズイ。折を見て祓う」
野薔薇ちゃんの言葉にうなずき、私たちは店主の後を尾行を始めた。
呪いに取りつかれた店主は、着物の裾をズルズルと引きずりながらフラフラと歩いていく。
その異様な姿を見て、フリマを楽しんでいた人たちは顔色を変えてそそくさと避けていく。
(怪談話に出てくる幽霊が実際にいたとしたら、こんな感じなのかも)
そんなことを思いながら、私たちは尾行を続けた。
そうしているうちにいつのまにかフリマ会場の広場を通り抜けて、人通りの少ない並木道に出てきていた。
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんがおもむろに鞄から小さな革製のウェストポーチを取り出した。
「ごめん、和紗さん。こっち持っててくれる?」
と、元々提げていた鞄を私に預けて、ウェストポーチを腰に巻いた。
そして、その中から金槌と五寸釘を取り出した。
「!?」
思わぬアイテムの登場に、私は面食らう。
野薔薇ちゃんはそんな私の視線に構うことなく、右手に金槌と左手の指の間に五寸釘を挟んで構えた。
そして、五寸釘をカナヅチで打ち飛ばした。
ギギンッ!
打ち飛ばされた釘は着物の裾に刺さり、前を歩いていた店主は地面に打ち止めされた形で立ち止まった。
その隙に、野薔薇ちゃんと私は店主の前方に回り込んだ。
店主の姿を見て、私と野薔薇ちゃんは息をのんだ。
綺麗にひっつめた長い髪はボサボサに乱れ、目をギョロリとひん剥き、歯を剥き出しにした恐ろしい形相をしている。まるきり人がかわってしまったようだ。
「ゔっ、ゔぅ、ゔぅぅう〜っ」
店主は唸り声を上げて、前に進もうともがいている。
着物を脱げば、簡単なことなのに。
まるで、着物が店主を逃すまいとしているみたいだ。
「オバサンを離しなさいよ」
と、野薔薇ちゃんは言うと、パチンと指を鳴らした。
その次の瞬間、
「ギャァアァァーッ!」
打ちつけた釘から、呪力が流れ込み着物全体に迸った。
すると店主は悲鳴を上げながら身悶えて、そのまま地面にうつ伏せに倒れ込んでしまった。
「野薔薇ちゃん・・・」
「大丈夫。呪力は着物だけに流し込んだから」
野薔薇ちゃんは倒れ込んだ店主に近づき、着物に手をかけ、
「着物型の呪霊。それ自身は動くことは出来ない。けれど、それを身に纏った人間の身体を乗っ取り操ることが出来る・・・そんなとこだろ?」
と、勢いよく着物を剥いで脱がせた。
そして、地面に叩きつけるように着物を放り投げた。
すると、着物に異変が起きた。
ギュポギュポギュポポポポポ・・・
着物の布地から幾つもの目玉が現れたのだ。
(これが、この着物の正体・・・!)
大中小と様々な大きさの数十個の目玉は、クリクリ黒目を回しながら、私たちを凝視する。
思惑を妨げてられたことに恨み言を訴えているかのようだ。
「ガンたれてんじゃねぇよ」
と、野薔薇ちゃんはウェストポーチから五寸釘を取り出して、それをジャラジャラと着物型呪霊の上に撒き散らした。
「オマエはリサイクルに出す価値もない。燃えるゴミに出すのも手間だわ。今すぐここで祓う」
そして、目玉たちに次々と金槌で釘を打ちつけていった。
野薔薇ちゃんが店主に声をかける。
しかし、店主はこちらを振り返らず、頭に被った着物を肩まで引き下ろしてそのまま腕を袖に通した。
そしてそのまま、
「・・・ぁぁ・・・ぅ・・・ぁぁ・・・」
と、ブツブツ呟きながらその場を離れていく。
「止まって!」
野薔薇ちゃんが声をかけるけれど、店主は止まろうとせず歩いていく。
「待って・・・」
と、私は引き留めようと店主の方へ手を伸ばすけれど、野薔薇ちゃんに止められた。
「下手に刺激しない方がいい、今は」
「あの人、一体どうしたの?」
「あの着物の呪いに取りつかれてる」
「呪いに・・・」
「刺激して、周囲の人達に被害が出たらマズイ。折を見て祓う」
野薔薇ちゃんの言葉にうなずき、私たちは店主の後を尾行を始めた。
呪いに取りつかれた店主は、着物の裾をズルズルと引きずりながらフラフラと歩いていく。
その異様な姿を見て、フリマを楽しんでいた人たちは顔色を変えてそそくさと避けていく。
(怪談話に出てくる幽霊が実際にいたとしたら、こんな感じなのかも)
そんなことを思いながら、私たちは尾行を続けた。
そうしているうちにいつのまにかフリマ会場の広場を通り抜けて、人通りの少ない並木道に出てきていた。
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんがおもむろに鞄から小さな革製のウェストポーチを取り出した。
「ごめん、和紗さん。こっち持っててくれる?」
と、元々提げていた鞄を私に預けて、ウェストポーチを腰に巻いた。
そして、その中から金槌と五寸釘を取り出した。
「!?」
思わぬアイテムの登場に、私は面食らう。
野薔薇ちゃんはそんな私の視線に構うことなく、右手に金槌と左手の指の間に五寸釘を挟んで構えた。
そして、五寸釘をカナヅチで打ち飛ばした。
ギギンッ!
打ち飛ばされた釘は着物の裾に刺さり、前を歩いていた店主は地面に打ち止めされた形で立ち止まった。
その隙に、野薔薇ちゃんと私は店主の前方に回り込んだ。
店主の姿を見て、私と野薔薇ちゃんは息をのんだ。
綺麗にひっつめた長い髪はボサボサに乱れ、目をギョロリとひん剥き、歯を剥き出しにした恐ろしい形相をしている。まるきり人がかわってしまったようだ。
「ゔっ、ゔぅ、ゔぅぅう〜っ」
店主は唸り声を上げて、前に進もうともがいている。
着物を脱げば、簡単なことなのに。
まるで、着物が店主を逃すまいとしているみたいだ。
「オバサンを離しなさいよ」
と、野薔薇ちゃんは言うと、パチンと指を鳴らした。
その次の瞬間、
「ギャァアァァーッ!」
打ちつけた釘から、呪力が流れ込み着物全体に迸った。
すると店主は悲鳴を上げながら身悶えて、そのまま地面にうつ伏せに倒れ込んでしまった。
「野薔薇ちゃん・・・」
「大丈夫。呪力は着物だけに流し込んだから」
野薔薇ちゃんは倒れ込んだ店主に近づき、着物に手をかけ、
「着物型の呪霊。それ自身は動くことは出来ない。けれど、それを身に纏った人間の身体を乗っ取り操ることが出来る・・・そんなとこだろ?」
と、勢いよく着物を剥いで脱がせた。
そして、地面に叩きつけるように着物を放り投げた。
すると、着物に異変が起きた。
ギュポギュポギュポポポポポ・・・
着物の布地から幾つもの目玉が現れたのだ。
(これが、この着物の正体・・・!)
大中小と様々な大きさの数十個の目玉は、クリクリ黒目を回しながら、私たちを凝視する。
思惑を妨げてられたことに恨み言を訴えているかのようだ。
「ガンたれてんじゃねぇよ」
と、野薔薇ちゃんはウェストポーチから五寸釘を取り出して、それをジャラジャラと着物型呪霊の上に撒き散らした。
「オマエはリサイクルに出す価値もない。燃えるゴミに出すのも手間だわ。今すぐここで祓う」
そして、目玉たちに次々と金槌で釘を打ちつけていった。