第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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「五条さんがどうしたの?」
「銀座の高級寿司店を行きつけにしてるって話してたじゃない?300万円くらい、パーっと出してくれるんじゃないかって思って」
「そ、それはどうかな」
「ダメなら高専に経費として落としてもらえばいいのよ!とりあえず、五条先生に連絡・・・」
「あ、じゃあ、私が」
と、私はスマホを取り出して五条さんに電話をかけた。
しかし。
「ダメだ。出ない」
「任務中なのかしら」
野薔薇ちゃんはひとつ溜息をついた後、
「まぁ、あの値段だから買い手がつくとは思えないけど。それでも遠巻きに見張っておいた方がいいわね」
「うん」
「あ~あっ。せっかくのフリマなのに!」
と、野薔薇ちゃんは肩を少し落とした。
「まさかフリマでこんなことになるなんてね」
私は言った。
「でも、このまま放っておけない」
「和紗さん、それ非術師のセリフじゃないわよ」
「え」
「でも、ホントに見えてるんだ。呪い」
「・・・うん」
私は頷いた。
「最初は呪霊の影だけ見えてたんだけど。なんだかどんどんハッキリと見えるようになって・・・東京に来てからは、残穢だったっけ?それまで見えるようになった」
「ふーん。なるほど」
「なるほどって、何が?」
「呪いってあんなバケモノじみた姿だけど、所詮は人間の感情から生み出されるものでしょ?小さい頃からずーっと呪いが見ていると、つまるところ恐ろしいのは呪いじゃなくて人間自身なんだって考えに行きついたの。だからかしらないけど、私自身はどこか屈折してるっていうか、どこか冷めた人間観を持ってる。たぶん、伏黒と五条先生も同じじゃないかな」
「・・・・・・」
「でも、和紗さんは違うなって。人に対する視線が優しい。それって呪いが見えるようになってまだ短いからなのかって思って」
「・・・優しいかなぁ」
「優しいって。糠田が森 の話をしてる時の和紗さんを見てたからわかる」
「・・・でも、野薔薇ちゃんが屈折してるとか冷めてるとか、私は思わない」
「・・・・・・」
「だって、呪術師の道に進んだのも、呪いから人を助けるためでしょ?」
私の問いかけに、野薔薇ちゃんは横に首を振った。
「違うわよ。あのクソ田舎から出るきっかけが欲しかっただけ」
「・・・・・・」
「あっ、そういえばあのバカも和紗さんと似てるわね」
「・・・バカって?」
「虎杖。アイツも最近呪いが見えるようになったっていうし」
「・・・それって、私もバカってこと・・・?」
「そんなこといってないけど!でも、気をつけてね。私、和紗さんにはそのままの和紗さんでいてほしい」
「・・・・・・・」
「だから、あんまりこんなことに巻き込みたくないっていうか・・・」
そんな会話をしている時だった。
「わっ」
強風が吹いて、あちこちのブースに設置されたタープがあおられていた。
中には、商品が次々となぎ倒されているところもあった。
「あ」
私はさっきの呉服売り場のブースに目をやった。
見ると、細川ガラシャの呪いの着物が風にあおられてはためいて、衣紋掛から吹き飛ばされそうになっている。
店主が慌てて押さえかかるけれど、着物は衣紋掛から滑り落ちて、そのまま店主は頭から着物を被る形になってしまった。
しばらくして風は収まって、
「んもぉ~!髪がグチャグチャ!」
と、立腹する野薔薇ちゃんに、
「野薔薇ちゃん」
「ん?」
「あれ」
と、私は指で指し示し視線を促した。
「・・・・・・」
そこでは、呉服売り場の店主が、あの着物を頭から被ったまま立ち尽くしている。
「あの、すみませーん。これ、おいくらですか?」
と客が尋ねているにもかかわらず、時々、ブルブルと短く身震いする以外はずっと身動きせず立ったままだ。
「・・・・・・」
そのうち客は店主の異変に気付いて、気味悪がってブースを離れだして次第にブースは無人となった。
「・・・おかしい」
とだけ言うと、野薔薇ちゃんは店主の方へ駆け出した。
私も慌ててそれに続いた。
「銀座の高級寿司店を行きつけにしてるって話してたじゃない?300万円くらい、パーっと出してくれるんじゃないかって思って」
「そ、それはどうかな」
「ダメなら高専に経費として落としてもらえばいいのよ!とりあえず、五条先生に連絡・・・」
「あ、じゃあ、私が」
と、私はスマホを取り出して五条さんに電話をかけた。
しかし。
「ダメだ。出ない」
「任務中なのかしら」
野薔薇ちゃんはひとつ溜息をついた後、
「まぁ、あの値段だから買い手がつくとは思えないけど。それでも遠巻きに見張っておいた方がいいわね」
「うん」
「あ~あっ。せっかくのフリマなのに!」
と、野薔薇ちゃんは肩を少し落とした。
「まさかフリマでこんなことになるなんてね」
私は言った。
「でも、このまま放っておけない」
「和紗さん、それ非術師のセリフじゃないわよ」
「え」
「でも、ホントに見えてるんだ。呪い」
「・・・うん」
私は頷いた。
「最初は呪霊の影だけ見えてたんだけど。なんだかどんどんハッキリと見えるようになって・・・東京に来てからは、残穢だったっけ?それまで見えるようになった」
「ふーん。なるほど」
「なるほどって、何が?」
「呪いってあんなバケモノじみた姿だけど、所詮は人間の感情から生み出されるものでしょ?小さい頃からずーっと呪いが見ていると、つまるところ恐ろしいのは呪いじゃなくて人間自身なんだって考えに行きついたの。だからかしらないけど、私自身はどこか屈折してるっていうか、どこか冷めた人間観を持ってる。たぶん、伏黒と五条先生も同じじゃないかな」
「・・・・・・」
「でも、和紗さんは違うなって。人に対する視線が優しい。それって呪いが見えるようになってまだ短いからなのかって思って」
「・・・優しいかなぁ」
「優しいって。
「・・・でも、野薔薇ちゃんが屈折してるとか冷めてるとか、私は思わない」
「・・・・・・」
「だって、呪術師の道に進んだのも、呪いから人を助けるためでしょ?」
私の問いかけに、野薔薇ちゃんは横に首を振った。
「違うわよ。あのクソ田舎から出るきっかけが欲しかっただけ」
「・・・・・・」
「あっ、そういえばあのバカも和紗さんと似てるわね」
「・・・バカって?」
「虎杖。アイツも最近呪いが見えるようになったっていうし」
「・・・それって、私もバカってこと・・・?」
「そんなこといってないけど!でも、気をつけてね。私、和紗さんにはそのままの和紗さんでいてほしい」
「・・・・・・・」
「だから、あんまりこんなことに巻き込みたくないっていうか・・・」
そんな会話をしている時だった。
「わっ」
強風が吹いて、あちこちのブースに設置されたタープがあおられていた。
中には、商品が次々となぎ倒されているところもあった。
「あ」
私はさっきの呉服売り場のブースに目をやった。
見ると、細川ガラシャの呪いの着物が風にあおられてはためいて、衣紋掛から吹き飛ばされそうになっている。
店主が慌てて押さえかかるけれど、着物は衣紋掛から滑り落ちて、そのまま店主は頭から着物を被る形になってしまった。
しばらくして風は収まって、
「んもぉ~!髪がグチャグチャ!」
と、立腹する野薔薇ちゃんに、
「野薔薇ちゃん」
「ん?」
「あれ」
と、私は指で指し示し視線を促した。
「・・・・・・」
そこでは、呉服売り場の店主が、あの着物を頭から被ったまま立ち尽くしている。
「あの、すみませーん。これ、おいくらですか?」
と客が尋ねているにもかかわらず、時々、ブルブルと短く身震いする以外はずっと身動きせず立ったままだ。
「・・・・・・」
そのうち客は店主の異変に気付いて、気味悪がってブースを離れだして次第にブースは無人となった。
「・・・おかしい」
とだけ言うと、野薔薇ちゃんは店主の方へ駆け出した。
私も慌ててそれに続いた。