第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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「野薔薇ちゃん・・・」
私は隣の野薔薇ちゃんに視線を送った。
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんは既に気づいていたらしく、キリッと鋭い視線でその着物を見据えていた。
そして、
「ねぇ、そこに掛かっている着物は?」
と、店主に声をかけた。
すると彼女は手を止めて、
「あら、お嬢さんお目が高いわね。この着物の素晴らしさがわかるの?」
と、満面の笑みを浮かべながら話し始めた。
「これはね、かの有名な細川ガラシャが所有していたとされる着物なのよ」
「細川ガラシャって、キリシタンで有名な?」
と、私は昔習った日本史を思い出しながら呟いた。
「そう。だから十字架とマリア様を象徴する白ユリ模様というわけ」
店主が誇らしげにそう話すのに被せるように、
「その着物、ちょっと試着させて!」
と、野薔薇ちゃんが申し出た。
しかし、店主は渋い顔をした。
「申し訳ないんだけど、この着物は本当に貴重なものだから、試着はお断りしているの」
「はぁっ!?」
「万が一、汚されたり破られたりしたら・・・ねぇ?」
すると野薔薇ちゃんはムッとして言った。
「じゃあ、買うわ。買えば文句ないんでしょ?いくらなの?」
「ん~、でも~」
「何?」
「貴女のようなお嬢さんが出せるような金額では」
「だから、いくらなの?もったいぶってないで教えてよ」
「・・・300万」
「「さっ!?」」
私と野薔薇ちゃんは、驚きで目を丸めた。
「ボッタクリじゃないの!?」
「あら、失礼ね」
野薔薇ちゃんの言葉に、店主は不服そうに言った。
「着物としての美しさは勿論、歴史的資料としても価値があるのよ。むしろ安すぎるくらいよ」
どっちにしたって、私たちが払える値段じゃない。
(でも、この着物から感じる呪い、放っておく訳には・・・)
そう考えたのは、野薔薇ちゃんも同じだったらしい。
もったいぶる店主に向かって、
「率直に言うわ」
引き下がらずに、強い口調で話し始めた。
「この着物には、呪いが取りついているわ。今は安定しているけれど、放っておいたら呪いは暴走する。今すぐ祓って処分しないと」
「・・・・・・」
それを聞いた店主は、
「はあっ?」
と、顔をしかめた。
当然と言えば、当然だけど・・・。
「お願いします」
私も店主に向かって頭を下げた。
「その着物を貸していただけませんか?これがこのまま人の手に渡ってしまっては・・・」
「いやだわぁ。何を言い出すかと思ったら、呪いとか・・・」
店主は笑いながら言った。
「お引き取り下さい。呪われてようがなんだろが、300万お支払いいただかない限りはお譲りする気はありません」
「でも・・・!」
「あんまりしつこいと塩巻きますよ!?」
ついには店主がキレたので、私たちはいったんその場から離れた。
「ったく、あのオバハン・・・!わからずやなんだから」
「そうだね・・・。でも、非術師の人にいきなり話してもああいう反応になってしまうのは仕方ないよ」
憤慨する野薔薇ちゃんをなだめるように私は言った。
「でも、あの着物についている呪い・・・細川ガラシャのものなのかな」
「・・・そもそも細川ガラシャって誰なの?」
「・・・・・・」
野薔薇ちゃん、知らなかったんだ。
「私も詳しくないんだけど、悲劇的な最期を迎えた戦国時代のお姫様だよ」
「ふーん」
野薔薇ちゃんはさほど興味なさそうに頷いた。
「何の呪いであれ、あの着物の呪いを放っておくのはマズイわ。何とかしなくちゃ」
「でも、300万なんて・・・」
「・・・五条先生は?」
唐突に野薔薇ちゃんからその名前が出てきて、私は目を瞬かせた。
私は隣の野薔薇ちゃんに視線を送った。
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんは既に気づいていたらしく、キリッと鋭い視線でその着物を見据えていた。
そして、
「ねぇ、そこに掛かっている着物は?」
と、店主に声をかけた。
すると彼女は手を止めて、
「あら、お嬢さんお目が高いわね。この着物の素晴らしさがわかるの?」
と、満面の笑みを浮かべながら話し始めた。
「これはね、かの有名な細川ガラシャが所有していたとされる着物なのよ」
「細川ガラシャって、キリシタンで有名な?」
と、私は昔習った日本史を思い出しながら呟いた。
「そう。だから十字架とマリア様を象徴する白ユリ模様というわけ」
店主が誇らしげにそう話すのに被せるように、
「その着物、ちょっと試着させて!」
と、野薔薇ちゃんが申し出た。
しかし、店主は渋い顔をした。
「申し訳ないんだけど、この着物は本当に貴重なものだから、試着はお断りしているの」
「はぁっ!?」
「万が一、汚されたり破られたりしたら・・・ねぇ?」
すると野薔薇ちゃんはムッとして言った。
「じゃあ、買うわ。買えば文句ないんでしょ?いくらなの?」
「ん~、でも~」
「何?」
「貴女のようなお嬢さんが出せるような金額では」
「だから、いくらなの?もったいぶってないで教えてよ」
「・・・300万」
「「さっ!?」」
私と野薔薇ちゃんは、驚きで目を丸めた。
「ボッタクリじゃないの!?」
「あら、失礼ね」
野薔薇ちゃんの言葉に、店主は不服そうに言った。
「着物としての美しさは勿論、歴史的資料としても価値があるのよ。むしろ安すぎるくらいよ」
どっちにしたって、私たちが払える値段じゃない。
(でも、この着物から感じる呪い、放っておく訳には・・・)
そう考えたのは、野薔薇ちゃんも同じだったらしい。
もったいぶる店主に向かって、
「率直に言うわ」
引き下がらずに、強い口調で話し始めた。
「この着物には、呪いが取りついているわ。今は安定しているけれど、放っておいたら呪いは暴走する。今すぐ祓って処分しないと」
「・・・・・・」
それを聞いた店主は、
「はあっ?」
と、顔をしかめた。
当然と言えば、当然だけど・・・。
「お願いします」
私も店主に向かって頭を下げた。
「その着物を貸していただけませんか?これがこのまま人の手に渡ってしまっては・・・」
「いやだわぁ。何を言い出すかと思ったら、呪いとか・・・」
店主は笑いながら言った。
「お引き取り下さい。呪われてようがなんだろが、300万お支払いいただかない限りはお譲りする気はありません」
「でも・・・!」
「あんまりしつこいと塩巻きますよ!?」
ついには店主がキレたので、私たちはいったんその場から離れた。
「ったく、あのオバハン・・・!わからずやなんだから」
「そうだね・・・。でも、非術師の人にいきなり話してもああいう反応になってしまうのは仕方ないよ」
憤慨する野薔薇ちゃんをなだめるように私は言った。
「でも、あの着物についている呪い・・・細川ガラシャのものなのかな」
「・・・そもそも細川ガラシャって誰なの?」
「・・・・・・」
野薔薇ちゃん、知らなかったんだ。
「私も詳しくないんだけど、悲劇的な最期を迎えた戦国時代のお姫様だよ」
「ふーん」
野薔薇ちゃんはさほど興味なさそうに頷いた。
「何の呪いであれ、あの着物の呪いを放っておくのはマズイわ。何とかしなくちゃ」
「でも、300万なんて・・・」
「・・・五条先生は?」
唐突に野薔薇ちゃんからその名前が出てきて、私は目を瞬かせた。