第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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そして、開店時間を迎えたのだけれど・・・。
「・・・どういうことなの!?」
不服そうに野薔薇ちゃんが声を上げた。
「どうして、お客が来ないのよーっ!」
パリコレどころか、全くお客さんが来ないのだ!
「・・・私の服の作りがマズイのかなぁ」
と、私が顔面蒼白になってこぼすと、
「そんなことない!」
野薔薇ちゃんが私を慰めるように言った。
「和紗さんの腕は確かよ!伏黒、アンタのせいよ!」
「何でだよ!?」
「アンタが辛気臭い顔して店先に立ってるのが悪い!」
「人のせいにするんじゃねぇよ!つーか・・・」
伏黒くんは言った。
「この場所がハズレなんじゃねぇの。会場の入り口から一番遠くにあるだろ。手前の方のブースで人が留まってて、ここまで辿りつかないんだろ」
「確かに・・・」
伏黒くんの言う通り、この辺りはフリマ会場である広場の一番奥まった場所で、私たちのブースだけでなく全体的に人の通りが少ない。
「じゃあ俺、呼び込みしてくるよ!」
悠仁君が立ち上がり言った。
「この店の名前って、何だったっけ?エンガランディーナ、だったっけ?」
「違うっ!エグランティーヌ!」
「オッケー!エグランティーヌね」
と、悠仁君は駆け出して行った。
「それじゃあ、私も行こうかな」
このままお客ゼロじゃ私の責任だ。
何とかしないと。
居ても立っても居られず、私は立ち上がった。
「じゃあ、私も行く!」
野薔薇ちゃんが言った。
「伏黒、アンタは店番お願いね」
「え・・・」
「イヤなら、呼び込みに行く?」
「・・・いや」
「じゃ、店番お願いねー。行こっ、和紗さん」
「あ、うん」
伏黒君ひとりで大丈夫かなぁ、と思いつつも、
「じゃあ、伏黒君、お願いします」
と、頭を下げて野薔薇ちゃんと一緒にブースを離れた。
「メゾン・ド・エグランティーヌでーす!可愛い洋服たくさんありまーす!ぜひお立ち寄りくださーい!」
と、公園を練り歩きながら、私と野薔薇ちゃんは呼び込みを始めた。
しかし、呼び込みをしながらも、ついつい辺りのブースが気になってしまう。
「みてみて〜、和紗さん。このジバンシィのユーズドのショルダーバッグ!いくらだったと思う?」
「えー?いくらだったの?」
「なんと2000円!」
「えーっ、すごい!超掘り出し物!」
「でしょー?」
そして、ついには呼び込みそっちのけで、あちこちのブースで買い物を始めた。
「次はあっちのお店行ってみよー!」
「うん!」
そうしてウキウキしながら歩いていたら、たくさんの女の人が集まる、とあるブースを目にした。
何を売っているのだろう?
私と野薔薇ちゃんは惹きつけられるように、そのブースを覗き込んだ。
着物や帯と帯留め。
どうやら呉服を販売しているブースらしい。
そういえば、お客さんも着物姿の人が多い。
熱心に品定めしている人たちの様子と、鮮やかな文様の着物をしげしげと物珍しげに眺めていたら、
「ウチはアンティーク着物専門店なの」
着物を着た小洒落た雰囲気の中年女性に声をかけられた。
どうやら、彼女がここの店主らしい。
「実店舗は高円寺にあるんだけど、毎回ここのフリマに出張出店してるのよ。ウチのお店は初めてかしら?」
「あ、はい」
「そうなのね。着物はお好きかしら?」
「あ、実はあまり詳しくなくて・・・」
「そうなの?ぜひこれを機に着物の魅力を知ってほしいわぁ。そうね、貴女に似合いそうなのは・・・」
と言いながら、店主はうず高く折り重なった着物を漁り始めた。
(まいったな。買うつもりないんだけど・・・)
と、私は少し戸惑いながら店を見回した。
その時、ふと、ある着物に目がついた。
衣紋掛けにかけられた朱色の地に大柄な白ユリと十字架模様の着物。
(着物なのに十字架の柄?)
視線を強く惹きつけられる。
着物に全く詳しくない私でも、その着物が他の着物とは違う、特別な物だと感づいた。
それよりなにより。
(この着物、呪力を感じる)
「・・・どういうことなの!?」
不服そうに野薔薇ちゃんが声を上げた。
「どうして、お客が来ないのよーっ!」
パリコレどころか、全くお客さんが来ないのだ!
「・・・私の服の作りがマズイのかなぁ」
と、私が顔面蒼白になってこぼすと、
「そんなことない!」
野薔薇ちゃんが私を慰めるように言った。
「和紗さんの腕は確かよ!伏黒、アンタのせいよ!」
「何でだよ!?」
「アンタが辛気臭い顔して店先に立ってるのが悪い!」
「人のせいにするんじゃねぇよ!つーか・・・」
伏黒くんは言った。
「この場所がハズレなんじゃねぇの。会場の入り口から一番遠くにあるだろ。手前の方のブースで人が留まってて、ここまで辿りつかないんだろ」
「確かに・・・」
伏黒くんの言う通り、この辺りはフリマ会場である広場の一番奥まった場所で、私たちのブースだけでなく全体的に人の通りが少ない。
「じゃあ俺、呼び込みしてくるよ!」
悠仁君が立ち上がり言った。
「この店の名前って、何だったっけ?エンガランディーナ、だったっけ?」
「違うっ!エグランティーヌ!」
「オッケー!エグランティーヌね」
と、悠仁君は駆け出して行った。
「それじゃあ、私も行こうかな」
このままお客ゼロじゃ私の責任だ。
何とかしないと。
居ても立っても居られず、私は立ち上がった。
「じゃあ、私も行く!」
野薔薇ちゃんが言った。
「伏黒、アンタは店番お願いね」
「え・・・」
「イヤなら、呼び込みに行く?」
「・・・いや」
「じゃ、店番お願いねー。行こっ、和紗さん」
「あ、うん」
伏黒君ひとりで大丈夫かなぁ、と思いつつも、
「じゃあ、伏黒君、お願いします」
と、頭を下げて野薔薇ちゃんと一緒にブースを離れた。
「メゾン・ド・エグランティーヌでーす!可愛い洋服たくさんありまーす!ぜひお立ち寄りくださーい!」
と、公園を練り歩きながら、私と野薔薇ちゃんは呼び込みを始めた。
しかし、呼び込みをしながらも、ついつい辺りのブースが気になってしまう。
「みてみて〜、和紗さん。このジバンシィのユーズドのショルダーバッグ!いくらだったと思う?」
「えー?いくらだったの?」
「なんと2000円!」
「えーっ、すごい!超掘り出し物!」
「でしょー?」
そして、ついには呼び込みそっちのけで、あちこちのブースで買い物を始めた。
「次はあっちのお店行ってみよー!」
「うん!」
そうしてウキウキしながら歩いていたら、たくさんの女の人が集まる、とあるブースを目にした。
何を売っているのだろう?
私と野薔薇ちゃんは惹きつけられるように、そのブースを覗き込んだ。
着物や帯と帯留め。
どうやら呉服を販売しているブースらしい。
そういえば、お客さんも着物姿の人が多い。
熱心に品定めしている人たちの様子と、鮮やかな文様の着物をしげしげと物珍しげに眺めていたら、
「ウチはアンティーク着物専門店なの」
着物を着た小洒落た雰囲気の中年女性に声をかけられた。
どうやら、彼女がここの店主らしい。
「実店舗は高円寺にあるんだけど、毎回ここのフリマに出張出店してるのよ。ウチのお店は初めてかしら?」
「あ、はい」
「そうなのね。着物はお好きかしら?」
「あ、実はあまり詳しくなくて・・・」
「そうなの?ぜひこれを機に着物の魅力を知ってほしいわぁ。そうね、貴女に似合いそうなのは・・・」
と言いながら、店主はうず高く折り重なった着物を漁り始めた。
(まいったな。買うつもりないんだけど・・・)
と、私は少し戸惑いながら店を見回した。
その時、ふと、ある着物に目がついた。
衣紋掛けにかけられた朱色の地に大柄な白ユリと十字架模様の着物。
(着物なのに十字架の柄?)
視線を強く惹きつけられる。
着物に全く詳しくない私でも、その着物が他の着物とは違う、特別な物だと感づいた。
それよりなにより。
(この着物、呪力を感じる)