第11話 メゾン・ド・エグランティーヌ
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「え。そうなの」
「うん。生まれたところは京都なの。そう言っても、そこでのことはほとんど覚えてないんだけど」
「京都・・・」
「糠田が森はお父さんの故郷でね。でも、引っ越すまで行ったこともないところだったから、最初は馴染めなくて」
「・・・・・・」
「地元の子たちともお互い遠巻きに見合ってるって感じで、なかなか打ち解けられなくて。そしたら、百合子ちゃんが・・・さっき話した花ちゃんのお母さんなんだけど、色々話しかけてくれて。『ラベンダー色のランドセルいいね』とか『着てる服可愛いね』とか、野薔薇ちゃんが初めて会った時に声かけてくれたみたいに」
「・・・・・・」
「それから、他の地元の子たちとも打ち解けることが出来た。大人の人達も私を糠田が森の子として見守ってくれた。だから、私にとっての故郷はやっぱり糠田が森だし、大切な場所なんだ。だから、さっきの野薔薇ちゃんの質問には、好きって答える」
「・・・・・・」
「でも、誰にとっても故郷が居心地のいい場所とは限らないし・・・」
そう話しながら、私はお父さんのことを思い出していた。
「どんな人も自分が生きていく場所は自分で選べるものだと思うから、野薔薇ちゃんが東京に来たことは、間違ってないよ」
きっと、野薔薇ちゃんはおばあさんのことが心に引っかかってるのだろう。
・・・お父さんはどうなんだろう。
今、どこかで、何か感じてるのだろうか。
私がそう言った後、野薔薇ちゃんは少し驚いた顔をした。
そして、強がるように言った。
「べ、別に私、東京来たこと後悔してないけどっ」
「うん。そうだよね」
お父さんも少しは私のこと、心に引っかかってるのかな。
糠田が森を出て行ったこと、責めたりしないから。
だけど、せめて少しくらい私のこと心の片隅にでも思ってくれてたらいいのに。
「私、二度と故郷には戻らない。呪術師としてバリバリ稼いで、オシャレな服やコスメも沢山買って、一等地のマンション購入して、東京で目一杯謳歌して暮らしていくつもり!」
「野薔薇ちゃんらしいね」
「でも、和紗さんは?いずれ故郷に戻るつもりなの?」
また野薔薇ちゃんが質問してきた。
私は即座に頷いた。
「うん」
「そ、即答?!少しも迷わないの?」
「だって、東京に来たのは呪いから護る力を得るためだし・・・」
「じゃあもし、その糠田が森の呪いが解呪されたら?」
「え・・・」
「『あけづる』を作る必要がなくなっても、糠田が森へ戻るの?」
「・・・・・・」
「自分のお店持つなら、東京の方がいいなとか考えたことない?」
「・・・・・・」
そう野薔薇ちゃんに問われて、私は初めて東京で生きていく可能性を考えた。
それまで全く考えたことも、想像したこともなかった。
東京には、心がときめくようなワクワクするような、素敵なものや人との出会いがたくさん。
これからも、そうしたときめきはずっと続いていくのだろう。
東京は日々、めまぐるしく色んな物事が更新されていく街だから。
そんな場所で自分のお店を開くことが出来たら、それは刺激的で楽しい毎日になるだろうな。
それに・・・。
東京に残れば、五条さんとずっと一緒にいられる・・・?
(・・・って!なんでそんなこと考える必要ある!?)
私は思い切り頭を振った。
すると、現実に戻った。
「それでも、私は糠田が森に戻るよ」
私は言った。
「呪いがあってもなくても関係ない。糠田が森でお店を開いて、村の暮らしに寄り添う和菓子を作り続ける。私のおじいちゃんがしてきたみたいに。それが、私の夢だもの」
すると野薔薇ちゃんはあきれたようにため息をついた。
「・・・勿体ない」
「え?」
「勿体ないわ!まだハタチになる前に、そんな風に小さく自分の人生決めちゃって!」
「え。ち、小さいかなぁ?」
「・・・でも、そんな風に欲もなく潔いのが和紗さんらしい」
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんはニィっと笑って言った。
「じゃあ、和紗さんが東京にいる間、一緒に思い切り遊ぼう!色々なお店に行こう!イベントにも沢山行くの!」
それを聞いて私は、
「うん!」
満面の笑みで頷いた。
「うん。生まれたところは京都なの。そう言っても、そこでのことはほとんど覚えてないんだけど」
「京都・・・」
「糠田が森はお父さんの故郷でね。でも、引っ越すまで行ったこともないところだったから、最初は馴染めなくて」
「・・・・・・」
「地元の子たちともお互い遠巻きに見合ってるって感じで、なかなか打ち解けられなくて。そしたら、百合子ちゃんが・・・さっき話した花ちゃんのお母さんなんだけど、色々話しかけてくれて。『ラベンダー色のランドセルいいね』とか『着てる服可愛いね』とか、野薔薇ちゃんが初めて会った時に声かけてくれたみたいに」
「・・・・・・」
「それから、他の地元の子たちとも打ち解けることが出来た。大人の人達も私を糠田が森の子として見守ってくれた。だから、私にとっての故郷はやっぱり糠田が森だし、大切な場所なんだ。だから、さっきの野薔薇ちゃんの質問には、好きって答える」
「・・・・・・」
「でも、誰にとっても故郷が居心地のいい場所とは限らないし・・・」
そう話しながら、私はお父さんのことを思い出していた。
「どんな人も自分が生きていく場所は自分で選べるものだと思うから、野薔薇ちゃんが東京に来たことは、間違ってないよ」
きっと、野薔薇ちゃんはおばあさんのことが心に引っかかってるのだろう。
・・・お父さんはどうなんだろう。
今、どこかで、何か感じてるのだろうか。
私がそう言った後、野薔薇ちゃんは少し驚いた顔をした。
そして、強がるように言った。
「べ、別に私、東京来たこと後悔してないけどっ」
「うん。そうだよね」
お父さんも少しは私のこと、心に引っかかってるのかな。
糠田が森を出て行ったこと、責めたりしないから。
だけど、せめて少しくらい私のこと心の片隅にでも思ってくれてたらいいのに。
「私、二度と故郷には戻らない。呪術師としてバリバリ稼いで、オシャレな服やコスメも沢山買って、一等地のマンション購入して、東京で目一杯謳歌して暮らしていくつもり!」
「野薔薇ちゃんらしいね」
「でも、和紗さんは?いずれ故郷に戻るつもりなの?」
また野薔薇ちゃんが質問してきた。
私は即座に頷いた。
「うん」
「そ、即答?!少しも迷わないの?」
「だって、東京に来たのは呪いから護る力を得るためだし・・・」
「じゃあもし、その糠田が森の呪いが解呪されたら?」
「え・・・」
「『あけづる』を作る必要がなくなっても、糠田が森へ戻るの?」
「・・・・・・」
「自分のお店持つなら、東京の方がいいなとか考えたことない?」
「・・・・・・」
そう野薔薇ちゃんに問われて、私は初めて東京で生きていく可能性を考えた。
それまで全く考えたことも、想像したこともなかった。
東京には、心がときめくようなワクワクするような、素敵なものや人との出会いがたくさん。
これからも、そうしたときめきはずっと続いていくのだろう。
東京は日々、めまぐるしく色んな物事が更新されていく街だから。
そんな場所で自分のお店を開くことが出来たら、それは刺激的で楽しい毎日になるだろうな。
それに・・・。
東京に残れば、五条さんとずっと一緒にいられる・・・?
(・・・って!なんでそんなこと考える必要ある!?)
私は思い切り頭を振った。
すると、現実に戻った。
「それでも、私は糠田が森に戻るよ」
私は言った。
「呪いがあってもなくても関係ない。糠田が森でお店を開いて、村の暮らしに寄り添う和菓子を作り続ける。私のおじいちゃんがしてきたみたいに。それが、私の夢だもの」
すると野薔薇ちゃんはあきれたようにため息をついた。
「・・・勿体ない」
「え?」
「勿体ないわ!まだハタチになる前に、そんな風に小さく自分の人生決めちゃって!」
「え。ち、小さいかなぁ?」
「・・・でも、そんな風に欲もなく潔いのが和紗さんらしい」
「・・・・・・」
すると、野薔薇ちゃんはニィっと笑って言った。
「じゃあ、和紗さんが東京にいる間、一緒に思い切り遊ぼう!色々なお店に行こう!イベントにも沢山行くの!」
それを聞いて私は、
「うん!」
満面の笑みで頷いた。