第8話 みなづき駅ー壱ー
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2018年5月2×日。23時45分。
『すみません。自分が寝ぼけているだけなのか勘違いしているだけなのかもしれないのですが、誰か、助けてください』
突然、Twitterに流れた奇妙な体験談はこんな一文から始まった。
『残業を終えて、終電に駆け込みそのまま寝落ちしてしまって、終着駅のE駅まで乗り過ごしてしまったんです。しまったと思いながらとりあえずホームに降りたんです。そしたら、辺りは街燈ひとつもない真っ暗闇で・・・深夜とはいえ、E駅は住宅街にある駅です。こんなに暗いのはおかしい・・・と思いながら、改めて駅名表示を見てみたら、ここはE駅ではなく、【みなづき駅】と書いてあるのです』
『私は再び電車に乗り込み、他の乗客を探しました。しかし、乗客は誰もいません。そのまま運転席まで突き進み、ようやく運転士の方に遭遇しました。私は尋ねました。ここはどこなんですか、と。すると運転士の方は言いました。わからない、と。ひどく混乱した様子で』
『運転士の方は混乱しながらも言いました。電車は終着駅のE駅に着いて、車内点検をしていたら、突然ドアが閉まり電車は動き出したというのです。電車はそのままゆっくりと進んでいき、この【みなづき駅】に辿り着いたというのです』
『それきり電車は動かなくなり、折り返し運転しようと試みているがうまくいかない。管理室にも連絡が取れないと』
『私はそれを聞いて、自分のスマホを見ました。電話をかけようとしたけれど、電波状況が悪いのか繋がらない。ネットは辛うじて繋がるけれど、ネットニュースにこの電車のことは上がっていない。メールやLINEはエラー・・・なぜかこのTwitterだけは通信可能で、ここから助けを求めている次第です』
『このツイートを見た人は、今すぐ警察や鉄道会社に知らせてください。この電車が立ち往生していることを』
この一連のツイート主の名は、【はづき】という。
【はづき】からのツイートを見た数人から、警察や鉄道会社に連絡があったという。
日付が変わって、26時18分。
【はづき】が乗っていたと思われる電車が、E駅から留置線があるK駅へ折り返し運転してきたところを発見される。
運転士は、E駅で電車のトラブルがあり折り返し運転が遅れたという。
その運転士は、【みなづき駅】のことなど一言も語らなかったという。
しかし、それは鉄道会社が一方的に発表した話。
そして、戻ってきた電車の中には【はづき】の姿はなかったという。
少し時間を遡って、25時55分。
『待っても救助の連絡がないので、下車して外に助けを求めに行こうと思います』
このツイートから察するに、【はづき】は電車を降り【みなづき駅】に降りたと思われる。
『真っ暗だ。人家の明かりも街燈も何もない』
『大きなトンネルがある』
『何か祭囃子みたいなものが聞こえる』
『人じゃない。妖怪が提灯行列をなしている』
【みなづき駅】を降りた後の奇妙な経験談を実況する【はづき】のツイートは、フォロワーとのやり取りを交えながら、現在もなお続いている。
これは、実際の出来事なのか。
それとも、ただのインターネットミームなのか?
オカルト研究部員としては、非常に興味深い題材である。
私は、この【みなづき駅】を今期の研究テーマとして取り上げたいと考えている。
H学院大学オカルト研究部 右近隆(一回生)
『すみません。自分が寝ぼけているだけなのか勘違いしているだけなのかもしれないのですが、誰か、助けてください』
突然、Twitterに流れた奇妙な体験談はこんな一文から始まった。
『残業を終えて、終電に駆け込みそのまま寝落ちしてしまって、終着駅のE駅まで乗り過ごしてしまったんです。しまったと思いながらとりあえずホームに降りたんです。そしたら、辺りは街燈ひとつもない真っ暗闇で・・・深夜とはいえ、E駅は住宅街にある駅です。こんなに暗いのはおかしい・・・と思いながら、改めて駅名表示を見てみたら、ここはE駅ではなく、【みなづき駅】と書いてあるのです』
『私は再び電車に乗り込み、他の乗客を探しました。しかし、乗客は誰もいません。そのまま運転席まで突き進み、ようやく運転士の方に遭遇しました。私は尋ねました。ここはどこなんですか、と。すると運転士の方は言いました。わからない、と。ひどく混乱した様子で』
『運転士の方は混乱しながらも言いました。電車は終着駅のE駅に着いて、車内点検をしていたら、突然ドアが閉まり電車は動き出したというのです。電車はそのままゆっくりと進んでいき、この【みなづき駅】に辿り着いたというのです』
『それきり電車は動かなくなり、折り返し運転しようと試みているがうまくいかない。管理室にも連絡が取れないと』
『私はそれを聞いて、自分のスマホを見ました。電話をかけようとしたけれど、電波状況が悪いのか繋がらない。ネットは辛うじて繋がるけれど、ネットニュースにこの電車のことは上がっていない。メールやLINEはエラー・・・なぜかこのTwitterだけは通信可能で、ここから助けを求めている次第です』
『このツイートを見た人は、今すぐ警察や鉄道会社に知らせてください。この電車が立ち往生していることを』
この一連のツイート主の名は、【はづき】という。
【はづき】からのツイートを見た数人から、警察や鉄道会社に連絡があったという。
日付が変わって、26時18分。
【はづき】が乗っていたと思われる電車が、E駅から留置線があるK駅へ折り返し運転してきたところを発見される。
運転士は、E駅で電車のトラブルがあり折り返し運転が遅れたという。
その運転士は、【みなづき駅】のことなど一言も語らなかったという。
しかし、それは鉄道会社が一方的に発表した話。
そして、戻ってきた電車の中には【はづき】の姿はなかったという。
少し時間を遡って、25時55分。
『待っても救助の連絡がないので、下車して外に助けを求めに行こうと思います』
このツイートから察するに、【はづき】は電車を降り【みなづき駅】に降りたと思われる。
『真っ暗だ。人家の明かりも街燈も何もない』
『大きなトンネルがある』
『何か祭囃子みたいなものが聞こえる』
『人じゃない。妖怪が提灯行列をなしている』
【みなづき駅】を降りた後の奇妙な経験談を実況する【はづき】のツイートは、フォロワーとのやり取りを交えながら、現在もなお続いている。
これは、実際の出来事なのか。
それとも、ただのインターネットミームなのか?
オカルト研究部員としては、非常に興味深い題材である。
私は、この【みなづき駅】を今期の研究テーマとして取り上げたいと考えている。
H学院大学オカルト研究部 右近隆(一回生)
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