第33話 青が散る
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2006年度姉妹校交流会、第1日目。
「1日目は団体戦、チキチキ呪霊討伐猛レース!」
夜蛾さんが説明を始める。
「指定された区画内に放たれた二級呪霊を先に祓ったチームが勝者である。ただし、区画内には三級以下の呪霊も複数放たれており、日没までに決着がつかなければ討伐数の総数が多いチームを勝者とする!」
行われることもそのルールも、現在の交流会と全く同じだ。
「これはあくまでも団体戦。個人の勝手なワンマンプレーは許されないからな」
と夜蛾さんはジロッと五条さんの方へ視線を向ける。
「区画ごと呪霊を消し去って祓うなどという事は決してしないように」
「・・・・・・」
「これはオマエに言っている」
「・・・・・・」
「わかったな、悟!?」
「へ?俺ぇ?」
そこでようやく五条さんは自分のことだと気が付いたようだ。
「去年、区画ごと呪霊を吹き飛ばすなんて所業はオマエしかしてなかっただろう」
「ハッ。ちまちま雑魚を祓うなんて面倒なことしてられるかよ。てゆーか、毎年このルーティンワークってどうなの?ちょっとセンセーが手抜き過ぎじゃねーの?もっと工夫したら?」
「・・・・・・」
ゴンッッッ
夜蛾さんの鉄拳が五条さんの頭に振り下ろされた。
「~~~っ」
「では、チキチキ呪霊討伐猛レース、始めぃ!!」
痛みで身悶える五条さんを放置して、夜蛾さんは開始の号令をかけた。
京都校の人達はサッと三つのチームに分かれて駆け出し、区画内の糺の森へと入っていく。
それに対して東京校の面々はというと、
「2級呪霊だけでいいのに何故低級の呪霊まで・・・。効率の悪い」
「僕は燃えているよ!初めての交流会だからね!」
ブツクサと愚痴をこぼす七海さんと、やる気で燃えている灰原君。
「はぁ~、かったる」
全くやる気のない硝子さん。
「ほら、行くよ。悟」
未だに頭を抱えて身悶えている五条さんを夏油さんが引っ張っていく。
皆てんでバラバラだ。
(こんなので大丈夫かな・・・)
私はハラハラしつつ、皆の後に続いた。
「さて」
糺の森に入り、夏油さんを中心にようやく作戦を立てることにした。
「私達も3チームに別れよう。まず硝子は七海と。そして・・・」
「あ、俺ひとりでいいから」
しかし、五条さんは話を聞かずサッサとその場を離れてしまった。
「悟」
夏油さんが呼び止めるけれど、五条さんは振り返ることさえせず手をヒラヒラと振って森の更に奥へ入っていった。
それを見ながら、夏油さんは肩をすくめる。
「まったく、アイツは・・・」
「しかし、確かに五条さんはひとりで動いた方が効率が良い」
七海さんが言った。
「そして、私と灰原の術式は互いに組んだ方が多くの呪霊が祓える」
その言葉に夏油さんが頷く。
「そうだな。七海は灰原と行ってくれ。そして硝子もふたりに付いてくれ」
「ふぁ~い」
「それじゃあ、和紗は私と」
と夏油さんが私の方を振り向く。
「うん」
と私は頷いた。
ピロロロ・・・
森の中は思っていた以上に深く、昼間でも薄暗い。
どこからともなく鳥だか呪霊だかの鳴き声が聞こえてくる。
警戒して辺りをキョロキョロと見回して歩いていると、
「ごめん」
唐突に夏油さんが言った。
私は「え?」と夏油さんの顔を見上げる。
すると夏油さんは私を見下ろしながら言った。
「本当は和紗は悟と組ませるつもりだったんだけど」
「え、どうして?」
「最近、ふたりギクシャクしてるだろ。これを機に話したらと思って」
「・・・・・・」
「何かあった?」
「・・・別に何も」
「そう?私にはいつもの二人と違うように見えるけれど」
「何もないよ。ただ・・・」
『オマエ呪術師向いてないよ』
『高専もさっさと辞めろ』
「・・・悟君と私は、根本的な考え方や物の捉え方が違うんだなって。そう思ったら、悟君が遠い人みたいに思えてきちゃって」
「・・・・・・」
「そう思ったら、何だかいつもみたいに話しかけられなくなっちゃった」
「1日目は団体戦、チキチキ呪霊討伐猛レース!」
夜蛾さんが説明を始める。
「指定された区画内に放たれた二級呪霊を先に祓ったチームが勝者である。ただし、区画内には三級以下の呪霊も複数放たれており、日没までに決着がつかなければ討伐数の総数が多いチームを勝者とする!」
行われることもそのルールも、現在の交流会と全く同じだ。
「これはあくまでも団体戦。個人の勝手なワンマンプレーは許されないからな」
と夜蛾さんはジロッと五条さんの方へ視線を向ける。
「区画ごと呪霊を消し去って祓うなどという事は決してしないように」
「・・・・・・」
「これはオマエに言っている」
「・・・・・・」
「わかったな、悟!?」
「へ?俺ぇ?」
そこでようやく五条さんは自分のことだと気が付いたようだ。
「去年、区画ごと呪霊を吹き飛ばすなんて所業はオマエしかしてなかっただろう」
「ハッ。ちまちま雑魚を祓うなんて面倒なことしてられるかよ。てゆーか、毎年このルーティンワークってどうなの?ちょっとセンセーが手抜き過ぎじゃねーの?もっと工夫したら?」
「・・・・・・」
ゴンッッッ
夜蛾さんの鉄拳が五条さんの頭に振り下ろされた。
「~~~っ」
「では、チキチキ呪霊討伐猛レース、始めぃ!!」
痛みで身悶える五条さんを放置して、夜蛾さんは開始の号令をかけた。
京都校の人達はサッと三つのチームに分かれて駆け出し、区画内の糺の森へと入っていく。
それに対して東京校の面々はというと、
「2級呪霊だけでいいのに何故低級の呪霊まで・・・。効率の悪い」
「僕は燃えているよ!初めての交流会だからね!」
ブツクサと愚痴をこぼす七海さんと、やる気で燃えている灰原君。
「はぁ~、かったる」
全くやる気のない硝子さん。
「ほら、行くよ。悟」
未だに頭を抱えて身悶えている五条さんを夏油さんが引っ張っていく。
皆てんでバラバラだ。
(こんなので大丈夫かな・・・)
私はハラハラしつつ、皆の後に続いた。
「さて」
糺の森に入り、夏油さんを中心にようやく作戦を立てることにした。
「私達も3チームに別れよう。まず硝子は七海と。そして・・・」
「あ、俺ひとりでいいから」
しかし、五条さんは話を聞かずサッサとその場を離れてしまった。
「悟」
夏油さんが呼び止めるけれど、五条さんは振り返ることさえせず手をヒラヒラと振って森の更に奥へ入っていった。
それを見ながら、夏油さんは肩をすくめる。
「まったく、アイツは・・・」
「しかし、確かに五条さんはひとりで動いた方が効率が良い」
七海さんが言った。
「そして、私と灰原の術式は互いに組んだ方が多くの呪霊が祓える」
その言葉に夏油さんが頷く。
「そうだな。七海は灰原と行ってくれ。そして硝子もふたりに付いてくれ」
「ふぁ~い」
「それじゃあ、和紗は私と」
と夏油さんが私の方を振り向く。
「うん」
と私は頷いた。
ピロロロ・・・
森の中は思っていた以上に深く、昼間でも薄暗い。
どこからともなく鳥だか呪霊だかの鳴き声が聞こえてくる。
警戒して辺りをキョロキョロと見回して歩いていると、
「ごめん」
唐突に夏油さんが言った。
私は「え?」と夏油さんの顔を見上げる。
すると夏油さんは私を見下ろしながら言った。
「本当は和紗は悟と組ませるつもりだったんだけど」
「え、どうして?」
「最近、ふたりギクシャクしてるだろ。これを機に話したらと思って」
「・・・・・・」
「何かあった?」
「・・・別に何も」
「そう?私にはいつもの二人と違うように見えるけれど」
「何もないよ。ただ・・・」
『オマエ呪術師向いてないよ』
『高専もさっさと辞めろ』
「・・・悟君と私は、根本的な考え方や物の捉え方が違うんだなって。そう思ったら、悟君が遠い人みたいに思えてきちゃって」
「・・・・・・」
「そう思ったら、何だかいつもみたいに話しかけられなくなっちゃった」
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