第30話 呪術演劇部
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この『存在しない記憶』の世界に閉じ込められてからひと月が経った。
そのひと月とは、この世界での経過時間だ。
この世界では、夏がやって来ようとしている。
「あっちぃ~」
体術の授業を終えて汗だくになりながら、五条さんと夏油さんと硝子さん、そして私の四人は、自動販売機でジュースを買って早速その場で飲む。
よっぽど喉が渇いていたのか、オレンジジュースをゴクゴクと一気に飲み干してから、
「自販機のジュースの種類、もっと増やしてほしいよな~」
五条さんが言った。
「大阪で飲んだミックスジュース美味かったなぁ。あれ、いれてほしい」
その言葉に夏油さんが反応する。
「確かに東京ではみかけないね」
「あれって地域限定なのかな?」
「かもね。ただでさえ高専に出入り出来る業者は限られてるから搬入は難しそうだね」
「御三家パワーで入れてもらったら?」
そう言うのは硝子さん。
「ついでにアルコールとタバコの自販機も」
「出来るわけねーだろ。出来るとしてもヤなこった」
と言いながら、五条さんは私が飲んでいるレモンティーのペットボトルを奪い取った。
そして、そのまま口を付けて飲んでしまった。
「ちょっと!?」
私は咎めるように五条さんの顔を見上げる。
「人のを勝手に飲まないでよ」
「まだ喉が渇いてんだよ」
「もう一本買えばいいでしょ」
「もう一本買うほどではないんだよなぁ、それが。ほらよ、サンキュ」
と、ペットボトルを突き返してきた。
(返されても・・・)
と、中身が半分以下になったペットボトルを困って眺めていたら、
「あ、ひょっとして間接キスだってドキドキしてる?」
と、五条さんがからかってきた。
私はギロリと五条さんを睨む。
五条さんは私の視線を介さず、ニヤニヤと笑いながら続けた。
「そんなの気にせず飲めよー」
「き、気にするわよ!」
「それって俺のこと意識してんの?」
「そ、そういうことじゃなくて、衛生面からみて・・・!」
「ひでーな。人をバイキン扱いかよ」
「そうじゃないけど!」
そんな私達のやり取りを見て、
「悟~・・・」
「小学生並みのド低能なアプローチだな」
と、夏油さんと硝子さんはあきれ顔をしていた。
そんなところへ。
「ただいま戻りましたー!」
任務に行っていた七海さんと灰原君が帰って、私達の元へやって来た。
「おかえり。七海、灰原」
夏油さんが二人を労う。
「今回の任務は長かったな。相手は手強かったのか?」
「はい、厄介な呪霊でした!でも、無事に祓いました!僕も七海も成長してると思いました!」
「小学生の感想文かよ」
灰原君の言葉に五条さんが茶々を入れる。
しかし灰原君は意に介さない。そして、
「皆さんにお土産買ってきました!夏油さんと家入さんにはしょっぱい系、五条さんと鶴來さんには甘い系です!」
と、私達にお土産を配り始めた。
「はい、鶴來さん」
「ありがとう、灰原君」
お土産を受け取り、私は灰原君にお礼を告げた。
そして七海さんの方を見て、
「七海さ・・・七海君もありがとう」
と言った。
すると七海さんは小さく会釈をした。
そして、
「灰原、立ち話はそこそこにして報告に行くぞ」
と言った。
それに灰原君が頷く。
「それじゃあ失礼します!」
そうして、七海さんと灰原君はこの場を立ち去って行った。
二人の後姿を見送りながら、夏油さんが言った。
「七海は元々しっかりしていたけど、灰原もだいぶ呪術師が板についてきたな」
「まぁ、それなりにな~。それに対して・・・」
と五条さんがチラッと私の方に視線を向ける。
「転入して一か月経っても、誰かさんは全く頼りねぇけどなぁ」
「・・・何よ」
「別にオマエのこととは言ってねぇよ」
「転入して一か月って私しかいないじゃない!」
・・・そう、ひと月が経とうとしている。
私は、この世界の呪術高専二年生の鶴來和紗であることにすっかり慣れてしまった。
でも、現実のことを忘れたわけじゃない。
ふとした瞬間に、焦りが胸に渦巻く。
現実の世界でも、時間はひと月流れてしまったのだろうか。
『死滅回游』は既に始まってしまっているのだろうか。
だけど、この世界から抜け出せる術が未だにわからない。
焦りはある、のだけれど。
そのひと月とは、この世界での経過時間だ。
この世界では、夏がやって来ようとしている。
「あっちぃ~」
体術の授業を終えて汗だくになりながら、五条さんと夏油さんと硝子さん、そして私の四人は、自動販売機でジュースを買って早速その場で飲む。
よっぽど喉が渇いていたのか、オレンジジュースをゴクゴクと一気に飲み干してから、
「自販機のジュースの種類、もっと増やしてほしいよな~」
五条さんが言った。
「大阪で飲んだミックスジュース美味かったなぁ。あれ、いれてほしい」
その言葉に夏油さんが反応する。
「確かに東京ではみかけないね」
「あれって地域限定なのかな?」
「かもね。ただでさえ高専に出入り出来る業者は限られてるから搬入は難しそうだね」
「御三家パワーで入れてもらったら?」
そう言うのは硝子さん。
「ついでにアルコールとタバコの自販機も」
「出来るわけねーだろ。出来るとしてもヤなこった」
と言いながら、五条さんは私が飲んでいるレモンティーのペットボトルを奪い取った。
そして、そのまま口を付けて飲んでしまった。
「ちょっと!?」
私は咎めるように五条さんの顔を見上げる。
「人のを勝手に飲まないでよ」
「まだ喉が渇いてんだよ」
「もう一本買えばいいでしょ」
「もう一本買うほどではないんだよなぁ、それが。ほらよ、サンキュ」
と、ペットボトルを突き返してきた。
(返されても・・・)
と、中身が半分以下になったペットボトルを困って眺めていたら、
「あ、ひょっとして間接キスだってドキドキしてる?」
と、五条さんがからかってきた。
私はギロリと五条さんを睨む。
五条さんは私の視線を介さず、ニヤニヤと笑いながら続けた。
「そんなの気にせず飲めよー」
「き、気にするわよ!」
「それって俺のこと意識してんの?」
「そ、そういうことじゃなくて、衛生面からみて・・・!」
「ひでーな。人をバイキン扱いかよ」
「そうじゃないけど!」
そんな私達のやり取りを見て、
「悟~・・・」
「小学生並みのド低能なアプローチだな」
と、夏油さんと硝子さんはあきれ顔をしていた。
そんなところへ。
「ただいま戻りましたー!」
任務に行っていた七海さんと灰原君が帰って、私達の元へやって来た。
「おかえり。七海、灰原」
夏油さんが二人を労う。
「今回の任務は長かったな。相手は手強かったのか?」
「はい、厄介な呪霊でした!でも、無事に祓いました!僕も七海も成長してると思いました!」
「小学生の感想文かよ」
灰原君の言葉に五条さんが茶々を入れる。
しかし灰原君は意に介さない。そして、
「皆さんにお土産買ってきました!夏油さんと家入さんにはしょっぱい系、五条さんと鶴來さんには甘い系です!」
と、私達にお土産を配り始めた。
「はい、鶴來さん」
「ありがとう、灰原君」
お土産を受け取り、私は灰原君にお礼を告げた。
そして七海さんの方を見て、
「七海さ・・・七海君もありがとう」
と言った。
すると七海さんは小さく会釈をした。
そして、
「灰原、立ち話はそこそこにして報告に行くぞ」
と言った。
それに灰原君が頷く。
「それじゃあ失礼します!」
そうして、七海さんと灰原君はこの場を立ち去って行った。
二人の後姿を見送りながら、夏油さんが言った。
「七海は元々しっかりしていたけど、灰原もだいぶ呪術師が板についてきたな」
「まぁ、それなりにな~。それに対して・・・」
と五条さんがチラッと私の方に視線を向ける。
「転入して一か月経っても、誰かさんは全く頼りねぇけどなぁ」
「・・・何よ」
「別にオマエのこととは言ってねぇよ」
「転入して一か月って私しかいないじゃない!」
・・・そう、ひと月が経とうとしている。
私は、この世界の呪術高専二年生の鶴來和紗であることにすっかり慣れてしまった。
でも、現実のことを忘れたわけじゃない。
ふとした瞬間に、焦りが胸に渦巻く。
現実の世界でも、時間はひと月流れてしまったのだろうか。
『死滅回游』は既に始まってしまっているのだろうか。
だけど、この世界から抜け出せる術が未だにわからない。
焦りはある、のだけれど。
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