第3話 額多ヶ守ー弐ー
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古い会館は窓の建て付けが悪くて、隙間風がどこからともなく吹き込んでくる。
ストーブを4台つけていても、部屋中冷えていて、弔問客は皆小さく震えている。
ふたつの灯籠の光が天井に反射して、ゆらゆら揺れている。
その祭壇に飾られたおじいちゃんの写真。
そして、中央に安置された白木の棺にはその本人が眠っている。
2018年の1月中旬。
工房で倒れたおじいちゃんは、そのまま意識が戻らず帰らぬ人になった。
おじいちゃんが亡くなったことは、糠田が森にすぐに広まったようで、村中の人々がお通夜に来てくれた。
みんな涙を流しては、私を気遣う言葉をくれる。
近所のおばさんやおじさん、おじいちゃんの友達のおじいさん、おばあさん。
「鶴來女史、この度は・・・本当に何て言ったらいいのか」
「・・・心よりお悔やみ申し上げます」
と、右近くんと小左内くん。
「和紗おねえちゃん、だいじょうぶ?」
と、まだまだ小さなケントくんまで。
「ありがとう、大丈夫だよ。ごめんね、急なことで驚かせてしまって・・・」
私は弔問してくれた人たちひとりひとりに対応する。
もっと上手いことが言えたらいいのに。ずっと同じような言葉ばかり。
みんなみんな、泣いている。
なのに、私は不思議と涙が出てこない。
おじいちゃんが倒れてるのをみつけてから、ずっと。
救急車で付き添い病院で亡くなってからも、その後の諸々の手続きや、関係者への連絡、葬儀の手配など、しなければならないことがたくさんあって、そのまま現在もずっとバタバタしている。
現実ってすごい。
悲しみのどん底にいるはずなのに、そんな感情も押しやってしまうのだから。
「和紗ちゃん!」
百合子ちゃんが、旦那さんに付き添われながらやって来た。百合子ちゃんは淡い色のマタニティの服から黒色のカーディガンを着ている。きっとお腹が大きいので、喪服が着られなかったのだろう。
そんなことを考えていたら、百合子ちゃんがガバっと私を抱きしめた。
百合子ちゃんは嗚咽するほど、泣きじゃくっている。
「百合子ちゃん・・・」
私は少し呆気に取られながら言った。
「ごめんね、急にこんなことになって」
すると、百合子ちゃんはカッと目を見開いて言った。
「何をこんな時に謝るの!違うでしょ!和紗ちゃんの馬鹿っ」
「ご、ごめんなさいっ」
すごい迫力に私はつい謝ってしまう。
だけど、また百合子ちゃんはまた泣きじゃくる。
まるで、私の代わりに泣いてくれているみたいに。
ストーブを4台つけていても、部屋中冷えていて、弔問客は皆小さく震えている。
ふたつの灯籠の光が天井に反射して、ゆらゆら揺れている。
その祭壇に飾られたおじいちゃんの写真。
そして、中央に安置された白木の棺にはその本人が眠っている。
2018年の1月中旬。
工房で倒れたおじいちゃんは、そのまま意識が戻らず帰らぬ人になった。
おじいちゃんが亡くなったことは、糠田が森にすぐに広まったようで、村中の人々がお通夜に来てくれた。
みんな涙を流しては、私を気遣う言葉をくれる。
近所のおばさんやおじさん、おじいちゃんの友達のおじいさん、おばあさん。
「鶴來女史、この度は・・・本当に何て言ったらいいのか」
「・・・心よりお悔やみ申し上げます」
と、右近くんと小左内くん。
「和紗おねえちゃん、だいじょうぶ?」
と、まだまだ小さなケントくんまで。
「ありがとう、大丈夫だよ。ごめんね、急なことで驚かせてしまって・・・」
私は弔問してくれた人たちひとりひとりに対応する。
もっと上手いことが言えたらいいのに。ずっと同じような言葉ばかり。
みんなみんな、泣いている。
なのに、私は不思議と涙が出てこない。
おじいちゃんが倒れてるのをみつけてから、ずっと。
救急車で付き添い病院で亡くなってからも、その後の諸々の手続きや、関係者への連絡、葬儀の手配など、しなければならないことがたくさんあって、そのまま現在もずっとバタバタしている。
現実ってすごい。
悲しみのどん底にいるはずなのに、そんな感情も押しやってしまうのだから。
「和紗ちゃん!」
百合子ちゃんが、旦那さんに付き添われながらやって来た。百合子ちゃんは淡い色のマタニティの服から黒色のカーディガンを着ている。きっとお腹が大きいので、喪服が着られなかったのだろう。
そんなことを考えていたら、百合子ちゃんがガバっと私を抱きしめた。
百合子ちゃんは嗚咽するほど、泣きじゃくっている。
「百合子ちゃん・・・」
私は少し呆気に取られながら言った。
「ごめんね、急にこんなことになって」
すると、百合子ちゃんはカッと目を見開いて言った。
「何をこんな時に謝るの!違うでしょ!和紗ちゃんの馬鹿っ」
「ご、ごめんなさいっ」
すごい迫力に私はつい謝ってしまう。
だけど、また百合子ちゃんはまた泣きじゃくる。
まるで、私の代わりに泣いてくれているみたいに。
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