第28話 問題児二人
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「で、その日のうちに任務を終えたのにもかかわらず、すぐに東京へ戻らず、金沢観光していたと」
若かりし夜蛾さんが、剃り込みの入った坊主頭に青筋立てながら凄む。
「それは誰の発案なのだ?」
そんな夜蛾さんの前に、私と五条さんと夏油さんは並んで正座させられている。
「「「・・・・・・」」」
一瞬だけ互いに顔を見合わせた後、私と夏油さんは同時に五条さんを指差した。
夜蛾さんは予めそれをわかっていたようで、
「悟・・・」
と、ため息混じりに呟いた。
「せんせー、異議ありです!」
すると五条さんは右手を挙げて弁明を始めた。
「金沢観光は転入生と親交を深めるために提案したものです!決してただの観光ではないのです!」
ぬけしゃあしゃあと・・・。
もちろんそんな言い訳が夜蛾さんに通じる訳なく、指導の鉄拳を頭に喰った。
「〜〜〜っ」
その痛みに五条さんは頭を押さえながら悶絶する。
その様子を夏油さんはニヤニヤと見ている。
が、
「傑。オマエも連帯責任だ」
と言った夜蛾さんの言葉に、夏油さんは目を瞬かせる。
「わ、私もですか?」
「当然だ。オマエ達ふたりで本堂の床をの雑巾掛けしろ。くまなくな」
「俺達だけで?転入生は?コイツが一番楽しんでたんですけどー?」
と、不服そうに話す五条さんに私は反論する。
「で、でたらめ言わないでよ!自分が一番はしゃいでたくせに」
「興奮して和菓子屋巡りしてたのはどこの誰だよ」
「それは・・・勉強のためだもの!」
「勉強ぉ~?和菓子のかよ。オマエ、呪術師になるためにここに来たんじゃないのかよ」
・・・そう。私は呪術師になるために故郷の糠田が森から、ここ、東京都立呪術高等専門学校へ転入してきた。
・・・と言っても、これは夢の中の話。
糠田が森の土地の女型呪霊・奇子の『暎魂蓮蓮夢苑』によって領域に閉じ込められた私は、記憶と願望が作り上げる夢を見せられている・・・らしい。
時は、現在から12年前の2006年。
なので、ここにいる五条さんたちは呪術高専の2年生ということになる。
だけど、当時まだ6歳だったはずの私は、何故か五条さん達と同い年なのだ。
妙なところにリアリティがあるのと、現実にはあり得ない奇想天外なところが混在するところが、これが夢なのだと感じさせる。
私の記憶と願望が織りなす夢なのだと。
(願望、か・・・)
現実では喧嘩ばかりで不仲だったおじいちゃんとお父さんが、この夢の中では一緒に『つるぎ庵』を営んでいる。
願望以外の何物でもない。
もう割り切ったと思っていたのに、まだ未練がましくそんなことを願っていたのか。
「鶴來には、校内を見て回ってもらう」
と言う夜蛾さんの言葉に、私は我に返った。
「校内を?」
「あぁ。案内人がもうすぐ来るはずだ」
と夜蛾さんが言った矢先、
「お呼びですか〜?夜蛾せんせ」
一人の女の子がやって来た。
その姿を目にして、私はハッと息を飲んだ。
茶色のボブヘア。たれ目気味の瞳。その右の目じりにある泣きホクロ。
「硝子」
と夜蛾さんが彼女の名前を呼んだ。
(硝子さん・・・!やっぱり硝子さんだ!)
目元のクマがなく、現実の硝子さんのやさぐれた雰囲気(失礼?)はまだないけれど、確かに面影がある。
「彼女は本日転入してきた鶴來和紗だ。彼女に校内を案内してやってくれ」
と夜蛾さんが言って、硝子さんは私の方を見た。そして、
「家入硝子。よろしく」
と二ッとして微笑んだ。
それを受けて、奇妙な感じだけれど私も言葉を返す。
「鶴來和紗です。よろしくお願いします・・・」
そう自己紹介する私たちの裏で、
「「・・・・・・」」
五条さんと夏油さんがコッソリその場を立ち去ろうとしていたのだけれど、
「「!!」」
それを夜蛾さんは見逃すことなく、ガッチリと二人の首根っこを掴んでそれを阻止する。
「案内が終われば、二年の教室に集合だ」
そして、そのまま二人を連行していく。
「了解でーす」
と硝子さんは返事をした後、連行される五条さんと夏油さんを嘲笑するように呟いた。
「クズ共め」
若かりし夜蛾さんが、剃り込みの入った坊主頭に青筋立てながら凄む。
「それは誰の発案なのだ?」
そんな夜蛾さんの前に、私と五条さんと夏油さんは並んで正座させられている。
「「「・・・・・・」」」
一瞬だけ互いに顔を見合わせた後、私と夏油さんは同時に五条さんを指差した。
夜蛾さんは予めそれをわかっていたようで、
「悟・・・」
と、ため息混じりに呟いた。
「せんせー、異議ありです!」
すると五条さんは右手を挙げて弁明を始めた。
「金沢観光は転入生と親交を深めるために提案したものです!決してただの観光ではないのです!」
ぬけしゃあしゃあと・・・。
もちろんそんな言い訳が夜蛾さんに通じる訳なく、指導の鉄拳を頭に喰った。
「〜〜〜っ」
その痛みに五条さんは頭を押さえながら悶絶する。
その様子を夏油さんはニヤニヤと見ている。
が、
「傑。オマエも連帯責任だ」
と言った夜蛾さんの言葉に、夏油さんは目を瞬かせる。
「わ、私もですか?」
「当然だ。オマエ達ふたりで本堂の床をの雑巾掛けしろ。くまなくな」
「俺達だけで?転入生は?コイツが一番楽しんでたんですけどー?」
と、不服そうに話す五条さんに私は反論する。
「で、でたらめ言わないでよ!自分が一番はしゃいでたくせに」
「興奮して和菓子屋巡りしてたのはどこの誰だよ」
「それは・・・勉強のためだもの!」
「勉強ぉ~?和菓子のかよ。オマエ、呪術師になるためにここに来たんじゃないのかよ」
・・・そう。私は呪術師になるために故郷の糠田が森から、ここ、東京都立呪術高等専門学校へ転入してきた。
・・・と言っても、これは夢の中の話。
糠田が森の土地の女型呪霊・奇子の『暎魂蓮蓮夢苑』によって領域に閉じ込められた私は、記憶と願望が作り上げる夢を見せられている・・・らしい。
時は、現在から12年前の2006年。
なので、ここにいる五条さんたちは呪術高専の2年生ということになる。
だけど、当時まだ6歳だったはずの私は、何故か五条さん達と同い年なのだ。
妙なところにリアリティがあるのと、現実にはあり得ない奇想天外なところが混在するところが、これが夢なのだと感じさせる。
私の記憶と願望が織りなす夢なのだと。
(願望、か・・・)
現実では喧嘩ばかりで不仲だったおじいちゃんとお父さんが、この夢の中では一緒に『つるぎ庵』を営んでいる。
願望以外の何物でもない。
もう割り切ったと思っていたのに、まだ未練がましくそんなことを願っていたのか。
「鶴來には、校内を見て回ってもらう」
と言う夜蛾さんの言葉に、私は我に返った。
「校内を?」
「あぁ。案内人がもうすぐ来るはずだ」
と夜蛾さんが言った矢先、
「お呼びですか〜?夜蛾せんせ」
一人の女の子がやって来た。
その姿を目にして、私はハッと息を飲んだ。
茶色のボブヘア。たれ目気味の瞳。その右の目じりにある泣きホクロ。
「硝子」
と夜蛾さんが彼女の名前を呼んだ。
(硝子さん・・・!やっぱり硝子さんだ!)
目元のクマがなく、現実の硝子さんのやさぐれた雰囲気(失礼?)はまだないけれど、確かに面影がある。
「彼女は本日転入してきた鶴來和紗だ。彼女に校内を案内してやってくれ」
と夜蛾さんが言って、硝子さんは私の方を見た。そして、
「家入硝子。よろしく」
と二ッとして微笑んだ。
それを受けて、奇妙な感じだけれど私も言葉を返す。
「鶴來和紗です。よろしくお願いします・・・」
そう自己紹介する私たちの裏で、
「「・・・・・・」」
五条さんと夏油さんがコッソリその場を立ち去ろうとしていたのだけれど、
「「!!」」
それを夜蛾さんは見逃すことなく、ガッチリと二人の首根っこを掴んでそれを阻止する。
「案内が終われば、二年の教室に集合だ」
そして、そのまま二人を連行していく。
「了解でーす」
と硝子さんは返事をした後、連行される五条さんと夏油さんを嘲笑するように呟いた。
「クズ共め」
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