第2話 額多ヶ守-壱ー
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ここは県立糠田が森高等学校。
糠田が森村にある唯一の高校で、在校生は35名(少な)。うち三年生は私を含め10名(さらに少な)。
そして、オカルト研究部員は私を含め三名。全員が三年生だ。三年生なのに全員引退してないのは、ほぼほぼ同好会のノリで集まっているからだ。
「鶴來女史、小左内氏、この動画をご覧いただきたい」
と、私たちにタブレットを向けるのは右近くん(7:3分けの髪型。丸眼鏡)。
「これは先日アップされた『額多ヶ守』の内部に侵入したとあるYouTuberのものであります」
私ともう一人の部員の小左内くん(3:7分けの髪型。四角眼鏡)は、タブレットを覗き込む。
そこには真っ暗で手ブレが激しい動画が映し出される。音声は配信者の男性が息切らしている声と、草木を踏みつける足音だけだ。
正直、何が何だかわからない。
小左内くんも同じことを感じたようで、
「右近氏よ、何が何だかわからんのだが」
と言った。すると右近くんは、
「わからないですか?ではもう一度よく見てください。注目すべきは5分13秒のところです」
と、もう一度動画の再生を始めた。
「・・・・・・・」
私はというと、タブレットを観ながら全く別のことを考えていた。
五条さんのことを考えていた。
五条さんとは、学校に来る前に別れた。
「じゃあ、僕はここで」
と、バス停前でもない何もない道の途中で、五条さんは言った。
突然のことに私は目を瞬かせる。
「こんなところでですか?」
「ん?僕とサヨナラするのがさみしい?」
「違いますけど。バス停ならもう少し先ですよ」
「大丈夫。やっぱりもう少し調査しようと思ってね」
「『額多ヶ守』をですか?」
「まぁ、色々」
「そうですか。じゃあ私は学校に行くので」
「和紗」
五条さんは言った。
「君、『額多ヶ守』で言ってたよね。本当に『いる』って。君は見えてるのかな?」
「・・・・・・・」
訊かれたことに答えられずにいたら、
「見えてるなら、連中とは目を合わせないほうがいい。見られてるってわかった時点で、襲い掛かってくる連中もいるからね」
と、五条さんは言うと「じゃあね」と私に背を向けて立ち去って行った。
「・・・女史」
「・・・・・・」
「鶴來女史!」
「え、あ、はい!?」
右近くんに何度か呼びかけられて、私は現実に戻った。
「何?どうしたの?」
「これですよ、ここ」
と、右近くんはタブレットを指差した。
そこには一時停止した画像が映し出されている。
「鶴來女史は、これが何に見えます?」
尋ねられて、私は目を凝らして画像を見ながら答えた。
「サンドバッグ?いや、違うな・・・子ども・・・?布か何かで包まれてるような」
糠田が森村にある唯一の高校で、在校生は35名(少な)。うち三年生は私を含め10名(さらに少な)。
そして、オカルト研究部員は私を含め三名。全員が三年生だ。三年生なのに全員引退してないのは、ほぼほぼ同好会のノリで集まっているからだ。
「鶴來女史、小左内氏、この動画をご覧いただきたい」
と、私たちにタブレットを向けるのは右近くん(7:3分けの髪型。丸眼鏡)。
「これは先日アップされた『額多ヶ守』の内部に侵入したとあるYouTuberのものであります」
私ともう一人の部員の小左内くん(3:7分けの髪型。四角眼鏡)は、タブレットを覗き込む。
そこには真っ暗で手ブレが激しい動画が映し出される。音声は配信者の男性が息切らしている声と、草木を踏みつける足音だけだ。
正直、何が何だかわからない。
小左内くんも同じことを感じたようで、
「右近氏よ、何が何だかわからんのだが」
と言った。すると右近くんは、
「わからないですか?ではもう一度よく見てください。注目すべきは5分13秒のところです」
と、もう一度動画の再生を始めた。
「・・・・・・・」
私はというと、タブレットを観ながら全く別のことを考えていた。
五条さんのことを考えていた。
五条さんとは、学校に来る前に別れた。
「じゃあ、僕はここで」
と、バス停前でもない何もない道の途中で、五条さんは言った。
突然のことに私は目を瞬かせる。
「こんなところでですか?」
「ん?僕とサヨナラするのがさみしい?」
「違いますけど。バス停ならもう少し先ですよ」
「大丈夫。やっぱりもう少し調査しようと思ってね」
「『額多ヶ守』をですか?」
「まぁ、色々」
「そうですか。じゃあ私は学校に行くので」
「和紗」
五条さんは言った。
「君、『額多ヶ守』で言ってたよね。本当に『いる』って。君は見えてるのかな?」
「・・・・・・・」
訊かれたことに答えられずにいたら、
「見えてるなら、連中とは目を合わせないほうがいい。見られてるってわかった時点で、襲い掛かってくる連中もいるからね」
と、五条さんは言うと「じゃあね」と私に背を向けて立ち去って行った。
「・・・女史」
「・・・・・・」
「鶴來女史!」
「え、あ、はい!?」
右近くんに何度か呼びかけられて、私は現実に戻った。
「何?どうしたの?」
「これですよ、ここ」
と、右近くんはタブレットを指差した。
そこには一時停止した画像が映し出されている。
「鶴來女史は、これが何に見えます?」
尋ねられて、私は目を凝らして画像を見ながら答えた。
「サンドバッグ?いや、違うな・・・子ども・・・?布か何かで包まれてるような」
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