第18話 帰郷
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「それじゃあ硝子さん、行ってきます」
そう言った私の姿を見て、硝子さんは不思議そうに目を瞬かせる。
「荷物ってそれだけ?」
「え?」
問われて私は肩に提げているトートバッグに目を遣る。
確かに、帰省するには身軽過ぎるかもしれないけど。
「はい。法事が済んだらすぐ東京 に戻るつもりですし」
「そんなこと言わずゆっくりしてこればいいじゃん。1週間くらい」
「はい、でも・・・」
私は少し口籠りつつ応えた。
「帰省とは言っても、家族もいないし実家も取り壊されたから、長居しづらくて・・・」
すると硝子さんはハッとして、
「そっか、ゴメン・・・」
と、バツが悪そうに言った。
私は慌てて首を横に振る。
「いえっ、そんな謝らないでください」
「んー・・・。じゃあ、なるべく早く戻ってきてよ。お土産の石川の地酒、楽しみにしてるからさ」
と、硝子さんはイタズラな笑みを浮かべた。
それに釣られて、私も微笑む。
「・・・はい!」
そうして、私は硝子さんのマンションを出た。
向かうのは、東京駅。
上京して初めて、糠田が森へ帰省するのだ。
・・・何故、硝子さんのマンションからって?
それには、経緯がある。
「この変態教師ーーーっ!二度と和紗さんに近づくんじゃねぇーーーっ!」
『露鈴』を祓った後の騒動で、私は野薔薇ちゃんに連れ出されて、そのまま硝子さんのマンションに保護(?)されたのだ。
そして、しばらくの間硝子さんのマンションに居候することになった。
私が硝子さんの元にいることを五条さんはすぐ勘付いたようで、実際何度か訪ねてきたみたいだけれど・・・。
「和紗?いないよ」
「いないっつってるじゃん。しつこいな」
「変態目隠し。ロリコン。条例違反者。帰れ」
と、硝子さんが全て門前払いにしていた。
野薔薇ちゃんが五条さんを私に会わせないように事情を説明していたのだ。
(すっかり五条さんが悪い風になってしまっている・・・)
でも、顔を合わさずに済んで私はホッとしていた。
だって、五条さんと向き合うのが恐い。
そもそも愛って何?
なんでそんな話になるの?
困惑していたら、硝子さんが尋ねてきた。
「和紗って、五条のこと好きだよね」
「えっ・・・!」
もはや問いかけでもない確信した言葉に、私は絶句した。
「あれ?違った?」
「え、いえ・・・」
誤魔化せない代わりに、私は尋ね返した。
「・・・いつ気づいたんですか?」
すると、硝子さんは笑いながら答えた。
「いつって、そんなの初めて会った時からだよ」
「えぇ〜・・・」
「バレバレだったもん」
「それって、私が自覚するより先ですよ・・・」
「いつ自覚したの?」
「ごく最近です」
「マジで?遅っ。笑える。じゃ、五条は?いつからなんだろ」
「・・・知りません。そもそもあの人の気持ちなんてどこまで本気なのか・・・」
「んー。でもアイツ・・・」
『和紗には、そんな和菓子みたいな色鮮やかでキラキラした世界で生きていてほしいんだよね。暗くてドロドロした呪術界じゃなくてさ』
「ああ見えて、和紗のことは割と本気に大事に思ってると思うよ」
と言いながら、硝子さんは何か思い返すように遠い目をしていた。
「和紗も気づいてるんだろ?」
「・・・・・・・」
「アイツのこと散々ボロクソに言っちゃったけど、ふたりの気持ちが同じだっていうなら、それでいいんだ。私等外野がドン引きして白い目で見ても、ふたりが幸せならめでたしめでたしってヤツだよ。でも、和紗がアイツを避けてるのってさ・・・」
「・・・・・・」
「もしかして、私が以前に話したことのせいだったりする?」
「・・・え?」
「呪術師は個人主義で、特別な相手を持たないってヤツ」
そう言った私の姿を見て、硝子さんは不思議そうに目を瞬かせる。
「荷物ってそれだけ?」
「え?」
問われて私は肩に提げているトートバッグに目を遣る。
確かに、帰省するには身軽過ぎるかもしれないけど。
「はい。法事が済んだらすぐ
「そんなこと言わずゆっくりしてこればいいじゃん。1週間くらい」
「はい、でも・・・」
私は少し口籠りつつ応えた。
「帰省とは言っても、家族もいないし実家も取り壊されたから、長居しづらくて・・・」
すると硝子さんはハッとして、
「そっか、ゴメン・・・」
と、バツが悪そうに言った。
私は慌てて首を横に振る。
「いえっ、そんな謝らないでください」
「んー・・・。じゃあ、なるべく早く戻ってきてよ。お土産の石川の地酒、楽しみにしてるからさ」
と、硝子さんはイタズラな笑みを浮かべた。
それに釣られて、私も微笑む。
「・・・はい!」
そうして、私は硝子さんのマンションを出た。
向かうのは、東京駅。
上京して初めて、糠田が森へ帰省するのだ。
・・・何故、硝子さんのマンションからって?
それには、経緯がある。
「この変態教師ーーーっ!二度と和紗さんに近づくんじゃねぇーーーっ!」
『露鈴』を祓った後の騒動で、私は野薔薇ちゃんに連れ出されて、そのまま硝子さんのマンションに保護(?)されたのだ。
そして、しばらくの間硝子さんのマンションに居候することになった。
私が硝子さんの元にいることを五条さんはすぐ勘付いたようで、実際何度か訪ねてきたみたいだけれど・・・。
「和紗?いないよ」
「いないっつってるじゃん。しつこいな」
「変態目隠し。ロリコン。条例違反者。帰れ」
と、硝子さんが全て門前払いにしていた。
野薔薇ちゃんが五条さんを私に会わせないように事情を説明していたのだ。
(すっかり五条さんが悪い風になってしまっている・・・)
でも、顔を合わさずに済んで私はホッとしていた。
だって、五条さんと向き合うのが恐い。
そもそも愛って何?
なんでそんな話になるの?
困惑していたら、硝子さんが尋ねてきた。
「和紗って、五条のこと好きだよね」
「えっ・・・!」
もはや問いかけでもない確信した言葉に、私は絶句した。
「あれ?違った?」
「え、いえ・・・」
誤魔化せない代わりに、私は尋ね返した。
「・・・いつ気づいたんですか?」
すると、硝子さんは笑いながら答えた。
「いつって、そんなの初めて会った時からだよ」
「えぇ〜・・・」
「バレバレだったもん」
「それって、私が自覚するより先ですよ・・・」
「いつ自覚したの?」
「ごく最近です」
「マジで?遅っ。笑える。じゃ、五条は?いつからなんだろ」
「・・・知りません。そもそもあの人の気持ちなんてどこまで本気なのか・・・」
「んー。でもアイツ・・・」
『和紗には、そんな和菓子みたいな色鮮やかでキラキラした世界で生きていてほしいんだよね。暗くてドロドロした呪術界じゃなくてさ』
「ああ見えて、和紗のことは割と本気に大事に思ってると思うよ」
と言いながら、硝子さんは何か思い返すように遠い目をしていた。
「和紗も気づいてるんだろ?」
「・・・・・・・」
「アイツのこと散々ボロクソに言っちゃったけど、ふたりの気持ちが同じだっていうなら、それでいいんだ。私等外野がドン引きして白い目で見ても、ふたりが幸せならめでたしめでたしってヤツだよ。でも、和紗がアイツを避けてるのってさ・・・」
「・・・・・・」
「もしかして、私が以前に話したことのせいだったりする?」
「・・・え?」
「呪術師は個人主義で、特別な相手を持たないってヤツ」
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