第15話 京都
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「来ちゃった♡」
口元に笑みを浮かべながら、五条さんが近づいて来る。
そのにやけた顔を目にしたら、妙にホッとして私の頬は自然に緩んだ。
だけど。
『これが、呪霊の味だよ』
その時、『あのこと』が脳裏をかすめて、瞬時に私の表情は強張った。
そして、
「・・・・・・っ」
「ん?」
私はクルッと後ろを向いて、五条さんから顔を背けた。
当然、五条さんは訝しがる。
「何々、どうしたの?」
「・・・・・・」
自分でもわからない。
だけど、五条さんに顔を見られたくない。
「和紗?」
と、五条さんは回り込んで私の顔を覗き込もうとする。
しかし、私はそれを避けるように更に身体の向きを反転させる。
するとまた、五条さんが回り込んで顔を覗き込んでくる。
その繰り返しでしばらくふたりでクルクル回っていたら、
「何やってんねん」
モイちゃんが不可解そうに口を開いた。
「鶴來ちゃん、この人知り合いちゃうの?」
「え、あ、うん・・・」
そう頷いたものの、どういう関係だと説明すればいいのだろう。
私の歯切れの悪い返答にしびれを切らしたのか、モイちゃんはズイっと五条さんの前に立ち、
「初めまして。ウチは鶴來ちゃんの友人の下井いいます。モイちゃんゆうて呼ばれてまーす」
と、自己紹介し始めた。
五条さんはそれに応える。
「あぁ、君がか。和紗からいつも話を聞いてるよー。和紗と仲良くしてくれてありがとー」
「おにいさんは鶴來ちゃんとはどういう間柄で?その目隠しは何?」
「僕?僕は五条悟」
と言いながら、五条さんは目隠しに手をかけて、
「和紗の将来のお婿さんだよー。目隠しは僕の御尊顔を隠すためー(キラン☆)素顔で歩いてるとね、周りが大騒ぎになっちゃうんだ」
と、チラッと素顔を覗かせた。
その一瞬だけで、
「・・・・・・」
モイちゃんはまるで無量空処を食らったかのように放心状態になってしまった!
「っていうか、またお婿さんって・・・!」
私は我に返って五条さんに言った。
「誤解を招くようなこと言わないでっていってるじゃないですか!」
「おっ、やっとこっち見た」
「本っ当にやめてくださいよね!」
さっきまでの顔を見られたくないというのはどこへやら、私は五条さんを睨みながら言った。
「・・・どうしてここへ?」
ふと思い返して、私は尋ねた。
「そりゃあ、和紗が心配だったからに決まってるじゃない」
さも当然という風に五条さんは答えた。
「電話しても出ないしさぁ。歌姫から無事だってことはきいてたんだけど。それでも実際に顔を見ないことにはね。それに、慶太のこともあるし」
「陵 先生のところに行くんですか?」
「うん。和紗と一緒に京都観光と行きたいところなんだけどね。それは慶太のお見舞いが終わってからかな。あと、昨夜の出来事の詳細も確認したい」
「・・・・・・」
昨夜の出来事・・・。
それを思い出して、私の表情が再び強張った。
(・・・バレてしまわないだろうか)
夏油さんのこと。
夏油さんが昨夜あの場所にいたことが明るみになれば、陵先生が・・・。
「・・・・・・」
「和紗?」
「・・・あ、はい?」
「どうしたの?ぼーっとして」
「・・・あ、いや、その・・・昨晩あまりよく眠れなくて」
話しながら、私は次第に俯く。
「だからひどい顔で・・・それで、五条さんに見られたくなくて、あんな態度を」
そして、誤魔化しに誤魔化しを重ねる。
本当は、正直にありのままを話せばいいのに。
それで夏油さんが『みささぎ』を狙ってきても、きっと五条さんは陵先生を必ず守ってくれる。
それが、私のするべきことだ。
それなのに。
『それじゃあ和紗、また会おう』
怖くて話せなかった。
早く忘れてしまいたかった。
「大変な目に遭ったんだ。眠れなくて当然だよ」
何も知らない五条さんは言った。
「気分転換に観光もいいけど、体調がすぐれないようなら休むようにね」
そして、私の頭の上にポンポンと手を優しく置いた。
口元に笑みを浮かべながら、五条さんが近づいて来る。
そのにやけた顔を目にしたら、妙にホッとして私の頬は自然に緩んだ。
だけど。
『これが、呪霊の味だよ』
その時、『あのこと』が脳裏をかすめて、瞬時に私の表情は強張った。
そして、
「・・・・・・っ」
「ん?」
私はクルッと後ろを向いて、五条さんから顔を背けた。
当然、五条さんは訝しがる。
「何々、どうしたの?」
「・・・・・・」
自分でもわからない。
だけど、五条さんに顔を見られたくない。
「和紗?」
と、五条さんは回り込んで私の顔を覗き込もうとする。
しかし、私はそれを避けるように更に身体の向きを反転させる。
するとまた、五条さんが回り込んで顔を覗き込んでくる。
その繰り返しでしばらくふたりでクルクル回っていたら、
「何やってんねん」
モイちゃんが不可解そうに口を開いた。
「鶴來ちゃん、この人知り合いちゃうの?」
「え、あ、うん・・・」
そう頷いたものの、どういう関係だと説明すればいいのだろう。
私の歯切れの悪い返答にしびれを切らしたのか、モイちゃんはズイっと五条さんの前に立ち、
「初めまして。ウチは鶴來ちゃんの友人の下井いいます。モイちゃんゆうて呼ばれてまーす」
と、自己紹介し始めた。
五条さんはそれに応える。
「あぁ、君がか。和紗からいつも話を聞いてるよー。和紗と仲良くしてくれてありがとー」
「おにいさんは鶴來ちゃんとはどういう間柄で?その目隠しは何?」
「僕?僕は五条悟」
と言いながら、五条さんは目隠しに手をかけて、
「和紗の将来のお婿さんだよー。目隠しは僕の御尊顔を隠すためー(キラン☆)素顔で歩いてるとね、周りが大騒ぎになっちゃうんだ」
と、チラッと素顔を覗かせた。
その一瞬だけで、
「・・・・・・」
モイちゃんはまるで無量空処を食らったかのように放心状態になってしまった!
「っていうか、またお婿さんって・・・!」
私は我に返って五条さんに言った。
「誤解を招くようなこと言わないでっていってるじゃないですか!」
「おっ、やっとこっち見た」
「本っ当にやめてくださいよね!」
さっきまでの顔を見られたくないというのはどこへやら、私は五条さんを睨みながら言った。
「・・・どうしてここへ?」
ふと思い返して、私は尋ねた。
「そりゃあ、和紗が心配だったからに決まってるじゃない」
さも当然という風に五条さんは答えた。
「電話しても出ないしさぁ。歌姫から無事だってことはきいてたんだけど。それでも実際に顔を見ないことにはね。それに、慶太のこともあるし」
「
「うん。和紗と一緒に京都観光と行きたいところなんだけどね。それは慶太のお見舞いが終わってからかな。あと、昨夜の出来事の詳細も確認したい」
「・・・・・・」
昨夜の出来事・・・。
それを思い出して、私の表情が再び強張った。
(・・・バレてしまわないだろうか)
夏油さんのこと。
夏油さんが昨夜あの場所にいたことが明るみになれば、陵先生が・・・。
「・・・・・・」
「和紗?」
「・・・あ、はい?」
「どうしたの?ぼーっとして」
「・・・あ、いや、その・・・昨晩あまりよく眠れなくて」
話しながら、私は次第に俯く。
「だからひどい顔で・・・それで、五条さんに見られたくなくて、あんな態度を」
そして、誤魔化しに誤魔化しを重ねる。
本当は、正直にありのままを話せばいいのに。
それで夏油さんが『みささぎ』を狙ってきても、きっと五条さんは陵先生を必ず守ってくれる。
それが、私のするべきことだ。
それなのに。
『それじゃあ和紗、また会おう』
怖くて話せなかった。
早く忘れてしまいたかった。
「大変な目に遭ったんだ。眠れなくて当然だよ」
何も知らない五条さんは言った。
「気分転換に観光もいいけど、体調がすぐれないようなら休むようにね」
そして、私の頭の上にポンポンと手を優しく置いた。
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