第13話 呪いに取り憑かれた男
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2018年7月。
雨の降る日が長く続く。
この日も雨が降っていた。
五条さんはいつものように帰宅が遅く、私は先に就寝していた。
バタンと少し乱暴にドアが閉まる音がして、ふと目が覚めた。
「・・・ん・・・」
それでもまだ寝ぼけて布団でボーッとしていたら、突然私の部屋のドアが開いて、完全に目が覚めた。
そして、そのドアの向こうには五条さんが佇んでいた。
「・・・五条さん・・・?」
私は上半身を起こし、五条さんに呼びかけた。
だけど、五条さんは何も答えない。
ゆっくりこっちに向かって歩み寄り、布団の側に座り込んだ。それでもまだ黙り込んでいるので、私は不穏なものを感じ取る。
「・・・どうしたんですか?何かあったんですか?」
そう心配して尋ねると、五条さんはようやく重々しく口を開いた。
「・・・悠仁が死んだ」
その言葉に、私の心も頭の中も一瞬で空白になった。
「僕が不在の間に、特級相手の任務に派遣された。そこで・・・」
と言うと、五条さんは組んでいた両手にグッと力を入れた。まるで、こみ上げてくる感情を抑え込もうとしているかのように。
そして、
「・・・悠仁は、僕と並び立つ術師になるはずだった。なのに・・・!」
と、呟いた。
その声も、握りしめた手も、小さく震えている。
「・・・・・・・」
それを見て、私は我に返った。
「五条さん」
私は呼びかける。
五条さんはうつむいたままでいる。
「五条さん・・・」
呼びかけながら、涙が零れた。
わかってしまったから。
悠仁君が死んだ。
言葉だけじゃない、その事実を。
「五条さん・・・っ」
私は、五条さんに身体を寄せた。
すると、五条さんは少し驚いたように肩をピクリとさせた。
私は、構わずそのまま五条さんの背中を宥めるようにさすった。
「泣きたかったら、泣いたらいいんです」
「・・・・・・」
「・・・だって、五条さん私に言ってくれたでしょ。泣きたいときは、やせ我慢せずに思い切り泣けばいいって」
「・・・・・・」
「だ、だから、我慢しないで、泣いて・・・」
と言いながら、ボロボロ泣いているのは私の方だ。
瞼に浮かび上がるのは、明るく笑いかけてくれる悠仁の顔。
鼓膜に響くのは、私の名前を元気に呼ぶ悠仁君の声。
どうして、あの子が死ななければならないの?
「・・・・・・っ」
私は、五条さんの肩に顔を埋めて泣いた。
すると、そっと頭を撫でられた。
顔を上げると、五条さんは私を見て困ったように首を少し傾げている。
「慰めなきゃいけないのは、僕の方だね」
そう言いながら、頭を撫でていた手を降ろして頰に添えた。そして、その長い指で私の涙をぬぐう。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そうして、言葉もなく私と五条さんは見つめあっていたら。
「あ、あの~・・・」
非常に申し訳なさそうな声が聞こえてきて、
「!?」
私は驚いて声の方を振り向いた。
振り向くと、開いたドアの向うから顔半分だけを覗かせた悠仁君の姿があった。
「ゆっ・・・!?」
死んだと聞いた時以上に驚いて、私は言葉を失った。
何も言えずに口をパクパクさせていたら、
「ご、ごめん、和紗さん。俺、生きてます!」
と、悠仁君は両手を拝むようにパチンと合わせながら部屋に入ってきた。
「五条先生がさ、死んだとみせかけて実は生きてましたーってサプライズしようって言いだして。ホントはもう少し早いタイミングで、『心臓をもぎ取られて一回死んだけど、生き返ったんだぜぇ。ワイルドだろぉ~?』って登場するつもりだったんだけど・・・なんか、だんだんそんな空気じゃなくなってきちゃって・・・」
なに、その懐古的ギャグ!?
・・・なんてツッコミは声に出来ず、私はただただ茫然としていた。
すると、五条さんが言った。
「ダメだなぁ、悠仁ぃ。もっと空気とタイミング読んでくれなきゃ」
「うん、もっと早く登場するべきだったよね」
「逆逆。もっと遅くて良かったのに。せっかく良い雰囲気だったでしょ?」
って、なんなのこの会話!?
雨の降る日が長く続く。
この日も雨が降っていた。
五条さんはいつものように帰宅が遅く、私は先に就寝していた。
バタンと少し乱暴にドアが閉まる音がして、ふと目が覚めた。
「・・・ん・・・」
それでもまだ寝ぼけて布団でボーッとしていたら、突然私の部屋のドアが開いて、完全に目が覚めた。
そして、そのドアの向こうには五条さんが佇んでいた。
「・・・五条さん・・・?」
私は上半身を起こし、五条さんに呼びかけた。
だけど、五条さんは何も答えない。
ゆっくりこっちに向かって歩み寄り、布団の側に座り込んだ。それでもまだ黙り込んでいるので、私は不穏なものを感じ取る。
「・・・どうしたんですか?何かあったんですか?」
そう心配して尋ねると、五条さんはようやく重々しく口を開いた。
「・・・悠仁が死んだ」
その言葉に、私の心も頭の中も一瞬で空白になった。
「僕が不在の間に、特級相手の任務に派遣された。そこで・・・」
と言うと、五条さんは組んでいた両手にグッと力を入れた。まるで、こみ上げてくる感情を抑え込もうとしているかのように。
そして、
「・・・悠仁は、僕と並び立つ術師になるはずだった。なのに・・・!」
と、呟いた。
その声も、握りしめた手も、小さく震えている。
「・・・・・・・」
それを見て、私は我に返った。
「五条さん」
私は呼びかける。
五条さんはうつむいたままでいる。
「五条さん・・・」
呼びかけながら、涙が零れた。
わかってしまったから。
悠仁君が死んだ。
言葉だけじゃない、その事実を。
「五条さん・・・っ」
私は、五条さんに身体を寄せた。
すると、五条さんは少し驚いたように肩をピクリとさせた。
私は、構わずそのまま五条さんの背中を宥めるようにさすった。
「泣きたかったら、泣いたらいいんです」
「・・・・・・」
「・・・だって、五条さん私に言ってくれたでしょ。泣きたいときは、やせ我慢せずに思い切り泣けばいいって」
「・・・・・・」
「だ、だから、我慢しないで、泣いて・・・」
と言いながら、ボロボロ泣いているのは私の方だ。
瞼に浮かび上がるのは、明るく笑いかけてくれる悠仁の顔。
鼓膜に響くのは、私の名前を元気に呼ぶ悠仁君の声。
どうして、あの子が死ななければならないの?
「・・・・・・っ」
私は、五条さんの肩に顔を埋めて泣いた。
すると、そっと頭を撫でられた。
顔を上げると、五条さんは私を見て困ったように首を少し傾げている。
「慰めなきゃいけないのは、僕の方だね」
そう言いながら、頭を撫でていた手を降ろして頰に添えた。そして、その長い指で私の涙をぬぐう。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そうして、言葉もなく私と五条さんは見つめあっていたら。
「あ、あの~・・・」
非常に申し訳なさそうな声が聞こえてきて、
「!?」
私は驚いて声の方を振り向いた。
振り向くと、開いたドアの向うから顔半分だけを覗かせた悠仁君の姿があった。
「ゆっ・・・!?」
死んだと聞いた時以上に驚いて、私は言葉を失った。
何も言えずに口をパクパクさせていたら、
「ご、ごめん、和紗さん。俺、生きてます!」
と、悠仁君は両手を拝むようにパチンと合わせながら部屋に入ってきた。
「五条先生がさ、死んだとみせかけて実は生きてましたーってサプライズしようって言いだして。ホントはもう少し早いタイミングで、『心臓をもぎ取られて一回死んだけど、生き返ったんだぜぇ。ワイルドだろぉ~?』って登場するつもりだったんだけど・・・なんか、だんだんそんな空気じゃなくなってきちゃって・・・」
なに、その懐古的ギャグ!?
・・・なんてツッコミは声に出来ず、私はただただ茫然としていた。
すると、五条さんが言った。
「ダメだなぁ、悠仁ぃ。もっと空気とタイミング読んでくれなきゃ」
「うん、もっと早く登場するべきだったよね」
「逆逆。もっと遅くて良かったのに。せっかく良い雰囲気だったでしょ?」
って、なんなのこの会話!?
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