第1話 菓匠つるぎ庵
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「それじゃあ」
その男 は言った。
「『つるぎ庵』が復活したあかつきには、僕は君のところに婿入りするよ」
それを聞いて私は、
「は?」
と、目を点にする。
(なんでそんな話になるの!?)
彼はそんな私にお構いなしで、本気とも冗談ともつかない相変わらずの飄々とした口調で話を続けた。
「そうしたら、君の親戚に宣言したことも辻褄があうしね。あ、でも、婿入りって言っても、僕も今の仕事辞めるわけにもいかないからさ、家業を手伝うことはなかなかできないかもだけど。給料はそれなりにいいし実家の方も資産はあるから、資金繰りの手助けは出来る。そこはWINWINの関係が築けると思うよ」
「いやいや、結構です。結構ですけど・・・」
私はきっぱりと断りながらも、彼に尋ねてみた。
「そんなことして、五条さんに何のメリットがあるんですか?」
すると、彼は正面向いていた顔をくるりと私の方に向けた。
しばし彼と私は互いの表情を見合う。
そうは言っても、彼は目隠ししているので、ほとんど表情を伺うことは出来ないのだけれど、形の良い唇がニイッといたずらっぽくたゆんで、言葉を紡いだ。
「それはねぇ」
ことの始まりは、今からひと月半前のこと。
2018年のお正月が明けてまもなくのことだった。
私の実家である和菓子店『菓匠つるぎ庵』。
そこへ、いたずらっぽく笑うこの男 、五条悟がやって来たことから始まった。
これは、私が故郷を『呪い』から護る力を求めて旅立ち、そして再び故郷へ戻るまでの、物語。
語るには少しばかり長い、【行きて帰りし物語】だ。
その
「『つるぎ庵』が復活したあかつきには、僕は君のところに婿入りするよ」
それを聞いて私は、
「は?」
と、目を点にする。
(なんでそんな話になるの!?)
彼はそんな私にお構いなしで、本気とも冗談ともつかない相変わらずの飄々とした口調で話を続けた。
「そうしたら、君の親戚に宣言したことも辻褄があうしね。あ、でも、婿入りって言っても、僕も今の仕事辞めるわけにもいかないからさ、家業を手伝うことはなかなかできないかもだけど。給料はそれなりにいいし実家の方も資産はあるから、資金繰りの手助けは出来る。そこはWINWINの関係が築けると思うよ」
「いやいや、結構です。結構ですけど・・・」
私はきっぱりと断りながらも、彼に尋ねてみた。
「そんなことして、五条さんに何のメリットがあるんですか?」
すると、彼は正面向いていた顔をくるりと私の方に向けた。
しばし彼と私は互いの表情を見合う。
そうは言っても、彼は目隠ししているので、ほとんど表情を伺うことは出来ないのだけれど、形の良い唇がニイッといたずらっぽくたゆんで、言葉を紡いだ。
「それはねぇ」
ことの始まりは、今からひと月半前のこと。
2018年のお正月が明けてまもなくのことだった。
私の実家である和菓子店『菓匠つるぎ庵』。
そこへ、いたずらっぽく笑うこの
これは、私が故郷を『呪い』から護る力を求めて旅立ち、そして再び故郷へ戻るまでの、物語。
語るには少しばかり長い、【行きて帰りし物語】だ。
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