これはヤバい。



崩壊した瓦礫で道は限られているし、足場が悪い。

豪風吹かせてダッシュしても、おそらく逃げ切れない。




『……相澤さんに怒られそう。』


非合理的なことをしてしまった。




絶対絶命の大ピンチ。





その時。





「いやぁ……入試でまさかこのレベルとは。さすが雄英って感じだな！」



あまりにも場違いなその声に驚いた。


私以外に逃げてない人が……!?


その人は私の前に立ちはだかり、



「この敵をさ、一撃で倒したらマジ格好いいと思わねぇ？」

『は…………？』


顔を振り向かせて笑みを見せた。


『何言ってんの、それより逃げた方が───。』

「こういう巨体のロボってのは心臓部撃ち抜きゃ一発なんだよね。」

彼は人指し指を敵へと向ける。

なんだこの人、自分が危機的状況にあると思ってないの？

『逃げた方がいいってば！』

まるで拳銃のように向けた彼の指が光りだす。


「目の前の人間助けれねぇで、何がヒーローだっての。」


彼は私の言葉には耳を貸さず、




「"BANG!!"」




不敵な笑って光が放った。


その光線に貫かれた敵がゆっくりと動作を停止させる。




目の前で披露された驚愕の出来事に、唖然。



あんな………あんな巨大な敵を一瞬で…………!?




《「終～了～～!!!!」》





実技試験の終了を知らせるアナウンス。





私は思考が追いつかず、重心を失った仮想敵が崩れ落ちていくのを見ていた。








３ｰ入試ｰend.