ジョブチェンジ

「そういえば、ルイージはお昼何が食べたい?」

「?」


洗濯も干し終わり、掃除もひと段落した後、兄さんが僕にそう聞いてきた。


に、兄さんの手料理…!


「うーん、兄さんが作ったものならなんでもOKだよ!」

「そうか、じゃあルイージの好きなカレーにしようかな」

「本当!嬉しいな!」


やっぱ兄弟だよね。そういう所はちゃんと分かってるんだよね、きっと。


「じゃあちょっと買い物に行ってくるよ」

「あ、ちょっと待って!」

「?」

「その格好は他の人に見られたら困るから、取ってから行ってね」

「取っていいの?良かったぁ;」


そう言うと兄さんはエプロンとカチューシャを取り買い物へ出かけて行った。





……よし、行くか。




~キノコタウン~


ガヤガヤ


辺りはキノピオ達の声がにぎわう中…



サササ…


赤い人物を遠くからこそこそと後を追う緑の影があった。


(よし、これ位離れてれば大丈夫だ)


そう思いながら僕は遠くまで撮れるレンズに付け替える。


お察しの通りかもしれないけど、僕は今1人で買い物する兄さんの撮影をするところだ。


本当はエプロンを付けたままが良かったけど、今日は僕だけの兄さんだから、あの姿も僕だけのもの。だから人目には晒したくなかったんだ。



って、おや?兄さんが誰かと会ってる。うーん、でも遠くだからよく見えないやぁ…。


そう思い、僕はカメラを覗き、誰なのか確かめることにした。



…あれは、げぇ!ワルイージだ!

くそ、何話してるんだろ?…あ、そうだ。こういう時の兄さんに付けてた盗聴器で←


ガサゴソと盗聴器用受信器を取出しイヤホンを耳に当てる。


え?なんでこんなものって?
そりゃあいつ何が起きても対処できるようにさ。以外と楽に作れるんだから←


ザザ…ザザ…


受信機が盗聴器からの電波を受信し、イヤホンから兄さんたちの会話が聞こえてくる。



「ワルイージ、こんな時間にどうしたんだい?今真昼間だよ?」

「お前、さも俺が夜行性だとでも;」

「え?違ったっけ?」

「一応日中も動いてるぜ?こうやって食料調達とかな」

「確かに、昼間じゃないと開いてないもんねぇお店」

「まぁな、お陰で寝不足…」
「ふふ、やっぱり夜行性だよね」

「うるせえよ」

「ごめんごめん。でも寝不足ってことは、昨夜は情報の取引でもしてたのかい?」

「お前…よくもそういうことをこんな所でポンって言えるな;」

「言える位ここが平和だってことだよ」ニコッ


まぁ、他愛のない話だよね。
兄さんはよくワルイージの所へ情報を聞きに行く。僕は…あんまり聞かない。うーん、なんというか…、知らない方がいいような情報ばっかりなんだよね。そういうのは大体僕の私生活には関係無いしね。


「聞くか?そのネタ、まぁ勿論ここでは言えねえから俺んちだけどよ」


ん?


「うーん、君の家かぁ、聞きたいけど買い物中だしなぁ;」

「いいじゃん別に、どうせ帰りを待ってるのはルイージ位だろ?」

「そのルイージを待たせてるから行けないんだけど;」


おいいいいいいいいい!!位ってなんだ位って!!


「いいじゃん、サービスするぜ?」

「うーん、でも今その情報に見合う情報っもってないからなぁ」

「そこらへんは大丈夫だ。まぁ…


…お前の体でまかなってもらうがな」ボソッ

「!?//;」


!!?


ピキ…


あ、あの野郎ーーー!!端からそれが目的か!!




~視点なし~


「い、いや…そういうのは…ちょっと…//;」


そういいマリオは俯く。それでも分かるくらい顔が真っ赤だ。


そしてそんなマリオにワルイージは畳み掛けるように後ろから耳元へ囁く。


「大丈夫だって。優しくしてやるからブボオ!!!」

「へ?;」


バッ!


マリオは思わず声がしていた後ろを振り返る。だが…


「あれ…?ワルイージ…?」


マリオの視界からではワルイージを見つけることが出来なかった。


「ぇ…?この一瞬でどこに?」


辺りを少し見渡したり探してみるがやっぱりどこにもいなかった。


「いない…。帰ったのかな…?…あ、もうこんな時間;」
(ルイージが心配してるよね…。僕を見張ってた気配も何故か消えたし、今は一先ず帰ろうかな)


気配は感じていたが、まさか盗聴されてるとは思ってないマリオさん。


ワルイージはルイージにご飯を作ってあげてから探してみよう。すぐにくたばる様なたまじゃないし。


そう考えながら家路に着くマリオだった。
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