ジョブチェンジ

ウウィーーン、ウウィーーン…


現在兄さんは掃除機をかけてくれている。猫耳のカチューシャとフリル付きエプロンをして。


そしてそんな僕は…


カシャ


(可愛いなぁ//)


「…ねぇ、ルイージ」

「?」

「なんで写真撮ってるの?」

「いや、記念にと思って」

「…何の記念?;」


カメラ片手に兄さんの姿をソファに座りながら見物していた。


いやはやこんなにも作戦がうまくいくとは…。



そう、僕の作戦とは…



兄さんに可愛い格好をさせて家事をしてもらおう作戦!


新婚さんみたいな感覚を味わいつつ可愛い兄さんの姿を写真に納めちゃおうという魂胆だ。



うわぁ…!本当に旦那さんになった気分だ!ニヤニヤが止まらない。


「ねぇ、僕たち新婚さんになった気分だね!」

「い、いきなり何を言い出すんだよ、僕だってこれ位ならたまにやってるだろ?;


…この服装はしてないけど…//;」ボソッ


うろたえながら否定したから根本を否定できてない兄さんもまたかわいい←


あぁもうこんなに新婚さん気分なんだから夜の方だって新婚さん気分にイエスノーで…



おっと鼻血が←



ウウィーン…


「ふぅ。これで掃除機はかけ終わったかな?」



僕があれこれ妄想している間に家中を掃除してくれたみたいだ。鼻血はまだ止まらない。


兄さんがコードを巻いて掃除機をしまっていた時…



ピーピーピー



洗濯機が洗濯完了のアラームを鳴らした。


「あ、洗濯終わったんだ」


そう言い兄さんは洗濯機のもとへ向かう。



…これはシャッターチャンスだ!



何故って?なぜなら…


背伸びしながら頑張って洗濯物を干す兄さんが見れるから!!←


きっときゅんとする程可愛いに違いない!


でも、そんな様子はカメラじゃ伝わりにくいな…。


それなら、こうもあろうかと思ってビデオカメラをって、あれれ?なんで点かないんだ?


…ってうわぁ!バッテリーが無い!…ぁ、そうか、充電してたんだ!



ガチャ!


「!?」


はっ!?兄さんが洗濯かごを持って外へ!


やばい!急がないとチャンスを逃す!


ガチャ!


僕は急いで自室へ戻り、充電していたバッテリーを取り、ビデオカメラの中に入れた!


よし!これで点くはず…ってうわぁ!!画面が血だらけ!


…鼻血がビデオカメラのレンズに垂れてたのかっ!!くそっ!こんな時に邪念はいけないと教えられても困る!


とにかく近くにあったティッシュでレンズを拭く。これで大丈夫!


急げ!!今ならまだ間に合う!兄さん!待ってて!


ガチャ!


僕は急いで玄関の扉を開ける。すると…





ピョイーン!





!!!!?




それは、僕にとってはあまりにも衝撃的だった。



ピョイーン!



ファサ…



高く舞い上がった兄さんは器用に洗濯物を竿に引っ掛け…


下で形を綺麗に整えたらまたジャンプし、これまた器用に洗濯バサミを洗濯物にはさんでいるのだった。


え、えええええええええええええええ!?


「兄さん!なんでジャンプしているのさ!?」

「ぇ、なんでって、届かないから…;」

「せ、折角のビデオが…!;」

「へ?ビデオ?;」


もうね、何というかね、予想の斜め上だったね。


あぁ兄さん、器用すぎるよ兄さん…。


…まぁ、そういうとこもかわいいんだけどね!←
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