はじめのキッス〈後編〉
ぐ…、流石アイク。全然流されてくれなかった。これはもう言わないといけないみたいだ。
僕は観念して溜息をついた。言いたい事を言わなければいけないのは結構気力がいるよね。
「…はぁ、分かった…。
…どうしたら君にリーダーとして認められるのかなって…、考えてたんだ…」
・・・。
「アンタが?」
「うん」
「俺に?」
「うん」
「認めてもらえるか…?」
「う、うん…」
いつも無表情に近いあのアイクが戸惑い唖然としているようだった。ちょっと初めて見たかも。
「すまん、意味がよく分からないんだが…もう少し説明してくれないか?」
「えっと…、僕はきっと君にリーダーとして情け無い所を見せてしまっていたのかもしれないなって。だから君に認めてもらえるように頑張ろうと思っていたんだ」
「そうか、理由は分かったんだが、何故俺になんだ?」
「だ、だって…君…その…
僕の鼻にキスしていったから…」
・・・。
暫くの沈黙が起こる中、僕の言葉を聞いたアイクの顔がまるでボンっと音が出る程みるみると赤くなっていくのが分かった。
あれ?まさか…試し行動じゃなかった…?
……え?
僕自身もどんどん頭がこんがらがってきた中、アイクも動揺している様子で口を開いた。
「お、起きてたのか…⁉」
「う、うん、実は…。ごめん、黙ってて…」
「そ、そうか…」
アイクはそう言いながら未だに真っ赤な顔を片手で覆った。
どうやらアイクは僕が寝ている前提でキスをしたということらしい。試し行動とは違うようだ。
そしてここで疑問になるのが、何故彼は僕にキスをしたのかということ。
(そこが1番よく分からない。この際聞いてみようか…)
そう考え込んでいると
「その…本当にすまなかった…!」
アイクはブンッ!と言わんばかりの物凄い勢いで頭を下げた。その風圧が、いきなりの事で思わずギョッとしてしまった僕の顔をかすめる。
「悪いことだと思っていたんだが、その…あんなになってまで仕事をこなしているアンタを見て、ちょっと衝撃を受けてしまったんだ。なんでアンタがこんなになるまで沢山の仕事を請け負わなければならないのか、せめて俺に声をかけてくれればって思って…」
「うん」
いきなりの彼の独白で驚いたけど、僕は一生懸命話してくれている彼の話を遮らないよう、聞き手に徹することにした。
「でもアンタは殆どの仕事を誰にも頼らないでやろうとして…何故かやるせなくなってしまって…」
「うん…」
「だから、その、ほんの出来心で…、そのせいでアンタが思い悩んでいるなら、本当に申し訳ないことをしてしまったと…思う…」
そう言って彼は僕の目を見た。本当に申し訳なさそうな、シュン…とした目で僕を見ている。
そんな表情はまるで…飼い主に怒られた大型犬のようで、なんだか可愛いな…と一瞬だけどそう思ってしまった。
(あれ?僕は一体…何を考えているんだ…⁉)
そんな場違いな考えを僕は慌てて払拭した。何故かいけないことを考えてしまったような感じがしてならない。
「アイク、僕は大丈夫だから、そんなに謝らなくていいよ」
アイクの両肩をそっと支えるように掴み、未だに謝罪の姿勢でいる彼の上体をゆっくりと起こす。
「逆に僕の方こそ悪かったね。君に心配をかけてしまった。こんなに僕のことを思ってくれていたなんて思ってもいなかった」
「…」
「君もそうだけど、このスマブラに来るということは、何かしら目標や理由があると思うんだ。僕は、この役割になった以上、その目標や理由の為に頑張ってもらえるような環境を作ってあげたいなって思ってる。勿論、誰もが楽しく乱闘できるようにする事が前提でね」
アイクは最初呆気にとられている様子だったけれど、落ち着きを取り戻してきたようだ。今は黙って僕の話を聞いてくれている。
「この前言ってたよね?ここに来たのは、己の強さを磨く為って。だからアイクには、その目標の為に沢山乱闘を頑張ってほしいんだ」
「…」
「僕もリーダーとしてこれ以上情けない所を見せたくないし、君はまだここに来てから浅い。僕のことには構わずまず乱闘のことを…」
「それじゃあ駄目だ!」
僕は観念して溜息をついた。言いたい事を言わなければいけないのは結構気力がいるよね。
「…はぁ、分かった…。
…どうしたら君にリーダーとして認められるのかなって…、考えてたんだ…」
・・・。
「アンタが?」
「うん」
「俺に?」
「うん」
「認めてもらえるか…?」
「う、うん…」
いつも無表情に近いあのアイクが戸惑い唖然としているようだった。ちょっと初めて見たかも。
「すまん、意味がよく分からないんだが…もう少し説明してくれないか?」
「えっと…、僕はきっと君にリーダーとして情け無い所を見せてしまっていたのかもしれないなって。だから君に認めてもらえるように頑張ろうと思っていたんだ」
「そうか、理由は分かったんだが、何故俺になんだ?」
「だ、だって…君…その…
僕の鼻にキスしていったから…」
・・・。
暫くの沈黙が起こる中、僕の言葉を聞いたアイクの顔がまるでボンっと音が出る程みるみると赤くなっていくのが分かった。
あれ?まさか…試し行動じゃなかった…?
……え?
僕自身もどんどん頭がこんがらがってきた中、アイクも動揺している様子で口を開いた。
「お、起きてたのか…⁉」
「う、うん、実は…。ごめん、黙ってて…」
「そ、そうか…」
アイクはそう言いながら未だに真っ赤な顔を片手で覆った。
どうやらアイクは僕が寝ている前提でキスをしたということらしい。試し行動とは違うようだ。
そしてここで疑問になるのが、何故彼は僕にキスをしたのかということ。
(そこが1番よく分からない。この際聞いてみようか…)
そう考え込んでいると
「その…本当にすまなかった…!」
アイクはブンッ!と言わんばかりの物凄い勢いで頭を下げた。その風圧が、いきなりの事で思わずギョッとしてしまった僕の顔をかすめる。
「悪いことだと思っていたんだが、その…あんなになってまで仕事をこなしているアンタを見て、ちょっと衝撃を受けてしまったんだ。なんでアンタがこんなになるまで沢山の仕事を請け負わなければならないのか、せめて俺に声をかけてくれればって思って…」
「うん」
いきなりの彼の独白で驚いたけど、僕は一生懸命話してくれている彼の話を遮らないよう、聞き手に徹することにした。
「でもアンタは殆どの仕事を誰にも頼らないでやろうとして…何故かやるせなくなってしまって…」
「うん…」
「だから、その、ほんの出来心で…、そのせいでアンタが思い悩んでいるなら、本当に申し訳ないことをしてしまったと…思う…」
そう言って彼は僕の目を見た。本当に申し訳なさそうな、シュン…とした目で僕を見ている。
そんな表情はまるで…飼い主に怒られた大型犬のようで、なんだか可愛いな…と一瞬だけどそう思ってしまった。
(あれ?僕は一体…何を考えているんだ…⁉)
そんな場違いな考えを僕は慌てて払拭した。何故かいけないことを考えてしまったような感じがしてならない。
「アイク、僕は大丈夫だから、そんなに謝らなくていいよ」
アイクの両肩をそっと支えるように掴み、未だに謝罪の姿勢でいる彼の上体をゆっくりと起こす。
「逆に僕の方こそ悪かったね。君に心配をかけてしまった。こんなに僕のことを思ってくれていたなんて思ってもいなかった」
「…」
「君もそうだけど、このスマブラに来るということは、何かしら目標や理由があると思うんだ。僕は、この役割になった以上、その目標や理由の為に頑張ってもらえるような環境を作ってあげたいなって思ってる。勿論、誰もが楽しく乱闘できるようにする事が前提でね」
アイクは最初呆気にとられている様子だったけれど、落ち着きを取り戻してきたようだ。今は黙って僕の話を聞いてくれている。
「この前言ってたよね?ここに来たのは、己の強さを磨く為って。だからアイクには、その目標の為に沢山乱闘を頑張ってほしいんだ」
「…」
「僕もリーダーとしてこれ以上情けない所を見せたくないし、君はまだここに来てから浅い。僕のことには構わずまず乱闘のことを…」
「それじゃあ駄目だ!」