はじめのキッス〈前編〉

それに気付いたのは、タブーの件が終わった数週間後のことだった。

~スマブラ館居間~

「すまないアイク、悪いんだがこの書類をマリオの所に届けてくれないか?」

そういうフォックスの手には数枚の書類が握られていた。


偶然居間を訪れた際、事務作業をしているフォックスに呼び止められてしまった。

フォックス自身もノートパソコン(というものらしい)に領収書の数字を打ち込む作業に没頭しているようで、見るからに忙しそうだ。

大変そうなのが見てとれる為、協力しようと思った俺は確認の言葉を投げた。

「この書類か?」

「あぁ、そうだ。アイツにも目を通してもらわないと困るからな。悪いが頼めるか?」

「別に構わないが、マリオは何処にいるんだ?」

「多分自室か医務室だと思うな。月末だからアイツも色々事務仕事に追われている筈だ」

「そうか、分かった」

リーダーと副リーダーはかなりの仕事を負担しているようだ…。
特に月末は月の締め日なのか、特に大変そうである。

そう感じつつ、俺は書類を受け取りマリオを探すことにした。


~スマブラ館廊下~

医務室に行ってみたがいなかったので俺は彼の部屋に行ってみることにした。


ここのリーダーと副リーダーは何故こんなにも仕事を他の奴に回さないのか…。

いや、まてよ。逆に考えると、俺を含めここの面子ではあまり仕事を回せないのかもしれない…。

やりたがらない奴や脳筋、動物、子どもも多いし、第一俺も事務仕事は苦手だ。体力仕事の方が性に合っている。

だが、それでも周りの奴に仕事を回した方が良いと俺は思う。


そんなことを考えている内にマリオの部屋の前までに来ていた。

コンコンとノックをするが返事がない。

留守か?と思ったが、扉に鍵がかかっていないようなので、一回中を覗くことにした。
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