ボディガード?

(あの冴えない後ろ姿はルイージか?)

彼の思っている通り、緑色の帽子に青いオーバーオールを着ている奴といったら1人しかいない。
ソニックは、こそこそと中の様子を懸命に伺って後ろに全く気を配っていない彼へ声をかけてみることにした。

「Hey!Luigi!!ここで何してんだ?」

「!?」

声をかけられた当人は相当驚いたようだ。そのせいか肩をビクッと震わせ急いでソニックの方へと振り返った。

「わわわ!ソニック;」

「もう一度言うがここで何してんだ?」

そうソニックが尋ねるとルイージは慌てふためいたまま人差し指を口元へ持っていき、ヒソヒソと喋り始めた。


「シー!!静かに!兄さんが起きちゃう」

「マリオ?起きる?」

彼の一言によく意味が分からなかったソニックであったが、覗いてみなよとルイージに言われるがままこっそり居間の中を覗いてみると、ソファに腰掛けそのまま寝息をたてて眠っているマリオを見つけたのだった。


だが、現状は把握できても何故ルイージがここでこっそりと見ているのかは疑問なままだ。

「よく寝てるでしょ?」

「あぁ、可愛い寝顔だが、何故アンタはここでこっそりと見ているんだ?」

そう、兄弟ならマリオの隣にいてもいいはずだ。なのにルイージはあえてそれをしない。何か意図があるのではないかとソニックは感じていた。

「僕が傍にいたら兄さんを起こしちゃうじゃないか。今日は忙しかったみたいだし」

そのルイージの答えにソニックは現在までのマリオの行動を思い出していた。マリオは昨日から彼の世界に帰り配管工の仕事をしていたらしい。それから今朝こっちに戻ってきて早々マスターに呼び出され、何やら話をしていたようだ。お昼の頃にはマスターの部屋から戻っていたようだが…。多忙だったのには変わりはない。

「確かに、そりゃ眠くもなるわな」

傍から見ていて忙しそうに感じたのだ。こういう昼寝の時間位、自由にしてやりたい。そうソニックは感じ、同意の言葉をルイージに送った。だがこの緩やかな雰囲気を切るかのように、ルイージは顔をしかめた。その理由はソニックには分からなかった。

「?、どうした?」

「来たか…」

ソニックの質問には答えず、一言呟いたルイージへ更に?マークを浮かべるも、彼の目線の先に見えるものを見つけたソニックはハッとしつつも呟いた。

「あれはワリオ…!」

どうやらルイージの怪訝な態度の要因はワリオのようだ。ワリオはソファに寝ているマリオを見つけたようで、どんどん彼に近づいていく。

「ぐへへへ、寝顔も可愛いなぁ。それに大事な唇ががら空きだぜ?」

「な!?アイツマリオの唇を奪う気だぞ…!?」

マリオが危ない!そう思ったソニックは今にも飛び出そうとしている。だがそんな中、カチャカチャと何かの物音がルイージのいる場所から聞こえたのだ。

「やれやれ、今日も子バエどもがノコノコとやって来たか」

「!?、そ、それは…」

音のする方へ振り向くと、ぼそっと呟くように放った言葉と共にロケットランチャーを構えていたルイージの姿があった。これには流石のソニックでもあまりの光景にそれ以上の言葉を紡げないでいた。

(いくらなんでもやりすぎなんじゃねーのか…!?)

「大丈夫大丈夫、これ、フォックス達と共同で作ったやつだからそん所そこらのものとは訳が違うよ」

その心の中のツッコミに応えるよう、ルイージが所持している危険物についての説明に、内心そこじゃないとつっこみたくなるソニックだった。

「まぁ撃てば早い話だね…目標物確認…発射まで後5秒…」

そう言うルイージはランチャーを構え、発射までのカウントをし出した。
そうこうしている間にワリオとマリオの距離は後2、3メートルという所まで来ていた。

「3…2…1…逝け…!」

バシュッ!!


不吉な一言(少なくともソニックにはそう聞こえた)と共に放たれたグレネード弾は一気に加速し目標へと真っ直ぐに飛んで行った!

「ぐふふふ…さてとその可愛い唇を頂くとす…」

ドゴオオオオン!!パリイイイイン!!

グレネード弾は目標にしっかりと当たり爆破。爆風がこちらまで届く。そして目標物となってしまったワリオは、爆発により吹き飛ばされ窓ガラスから退場してしまったようだ。

「よし、掃除完了!」

そう嬉しそうに呟いたルイージの言動に、彼を敵に回してはいけない…と一人頭の中で警鐘をならしていたソニックだった。
2/4ページ
スキ