ネツ


マリオが倒れる十数時間前


~マスターの部屋~


「いやぁ、すまないなマリオ;無事終わってとても助かった;」

「本当、全くだよ…;言うならもっと早めに言ってほしいものだね…;」


そう言いながら、マリオは書き終えたばかりの書類の束をとんとんと、机で端を揃えた。

確かに、時計を見るともう午前4時を回っていた。

彼には無理を言って、明日が…いや、今日提出期限の大事な書類製作の手伝いに来てもらっていた。


「いやはや、すまん;」

「でも、神様でもこんな監査みたいなことあるんだねぇ;」

「本当こっちも参っているんだ;まぁ、我々の存在を創った神のことだ、我々の仕事ぶりを見たいのかもしれんな」

「でも神様でしょ?わざわざここ数年の業績や記録を紙に書いて送らなくても君達の行動位把握できるような気もするけど…?」

「む、それもそうかもな;だが、きっとそうしないといけない理由が何かおありになるのだろう」

「ふーん……けほっ!けほっ!…けほっ…!;」

「だ、大丈夫かマリオ!?;」

「うん…大丈夫、ちょっと咳き込んだだけだよ…けほっ!;」


そうは言うものの、マリオの顔色も若干悪いように見える。風邪だったら大変だ;


「本当か?風邪じゃないのか?ちょっと顔色悪いぞ;」

「きっと寝不足だよ。大丈夫、寝れば治るから」


そう言いながらマリオは軽く微笑んだ。
確かに…、書類が中々纏まらず、マリオに泣き付いたのが昨日の夜の7時位。あれからかなりの時間が経つ。それじゃあ疲労も溜まる;

「無理そうだったら乱闘休んでいいからな?;」

「うん、ありがとう。おやすみ…」


~~~~~



「…で?自分でため込んだ仕事を無理やり手伝わせた挙句…」

「勤務時間外に長時間労働…」

「しかもちゃんと休めとも言わないで…!そんな言い方じゃあ兄さんが休む訳ないじゃないか!」


頭に大きなコブをつくり正座させながら白状した神の情けない回想に、フォックス、サムス、ルイージがすかさず批判を挙げた。そんな彼らからは早くも黒いオーラが出ている!


「い、いや私だってこうなると分かっていたなら…;」
「だからそういう問題じゃねぇだろ!;」

本当に神なのか?と思わせる発言にフォックスのツッコミがとぶ。マスターもたじろぐばかりだ。

「本当ふざけてるとしか言いようがねぇなぁ…」


リンクからも呆れの声がでる。そんな中…




「やぁ…皆おはよう…」


5人ははっとして声がする方を見ると、なんとマリオが置き上がっていた。
皆が驚く中1番取り乱していたのは…

「ににに、兄さん!駄目じゃないかおお起きちゃ…!!;」
「取り乱し過ぎだろそれは…;」

ルイージの慌てようにフォックスがツッコんだ。
何やってんだと思いつつそれを尻目にリンクも心配そうに声をかけた。

「まぁ無茶はするなマリオ」

「そうよ。そんな状態で動いてみなさい、殴るわよ」
「もうちょっと平和的な方法は無いのか;」

サムスの発言にフォックスすかさずつっこみを入れる。


「うん…ありがと…」


そんな4人の言葉にマリオは微笑みながらそう答えたが、その微笑みにもいつもの元気は無く、目も若干虚ろだ。


(昨晩から一向に熱は下がらない、マリオ自身も疲弊してきている…。ここまで弱っているマリオは久しぶりに見るな…)

そうフォックスが心配している中…


「いやーすまなかったなマリオ!お陰でなんとか間に合った」


今まで正座されていたマスターはすくっと立ち上がり、今まで怒られていたのが嘘のようなノリでマリオにお礼を言ったのだ。


「そうか…それは良かった…」


マスターのその言葉にマリオは胸を撫で下ろし、安堵したようだった。
そしてマスターはそんなマリオにグッとサムズアップをし、ウインクもしながら一言付け加えた。



「また…今度も頼むな!」



4人「だから…それをやめろっつってんだろうがああああああ!!!」



ドッゴオオオオオオオオ!!!



「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」




4人のツッコミも兼ねた強攻撃に、マスターはちょうど開いていた窓から断末魔をあげながら吹っ飛んで行った。
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