「…;」


こ、これは非常事態なのだ…;


確かに元気は少し無かったと思うが、何故その事をマリオは知っているのだ？;


ていうかそもそも、マリオがいなくて寂しいから元気無かった…なんて余りにも格好悪くて言える訳がない…!!;


さて、どうしたものか…;


「…;」


…どうしよう、クッパさっきから黙ったままだ;


何でだろう…？もしかして僕変な事言ってたかな…？;



「ご、ゴホン！わ、我輩はこの通り、何とも無いのだ;」


流石に言えぬ;ここは誤魔化してさり気無く情報の出所と、こ奴が何しに来たのか探るか。


「え…？何とも無いのかい？;…じゃあ元気なんだね？」


おかしいな…、それじゃあミニクッパ達の話は只の思い違い…？;



いや…もしかしたら…。



…でも…思い違いであってほしいな…。



「当たり前なのだ！元気が無かったらこんなとこでこんな呑気な遊びなどやっておらんわ。…それで、貴様は何故我輩が元気が無いと思ったのだ？」

「え、そ、それは…、…さっきミニクッパ達が話しているのを聞いたんだ。大きな溜息をついていたって。彼等も君の事心配していたよ;」


良かった、どうやら思い違いのようだね。胸の高鳴りもだいぶ治まっていた。


本当に、あの高鳴りは何だったのだろう…？



「ほぉ…あいつらか…;」


いつ見られていたのだ…？全く気が付かなかったのだ;


ぐぬぬ、部下に心配されるとは…;気をつけねば;


だが、会った時は何か思いつめていたような顔だったのに、今のこ奴はいつもの可愛い表情に戻っている。…これはもしかして…。


「なぁマリオ。貴様は我輩の事を心配して会いにきてくれたのか？」

「えぇ!?い、いや、心配っていうか…その…、本当に元気が無いのか確かめに来たというか…;本当それだけだから！本当！;」


まさかこの胸の高鳴りを治す為に来た…なんて言える訳が無い…！;


あぁどうしよ！;言えば言う程どんどん嘘臭くなっていく…！;;


「ほぅ…そうかぁ～？」


急にあたふたし出したのだ。…照れ隠しか？可愛い奴め←

あぁもう我慢出来なくなるのだ！早くお持ち帰りしたい←


「と、とにかく！僕の要件はこれで済んだから、早くルーレット回しちゃお！;」


なんかクッパの顔つきがやたらとニヤニヤしている;

何故かとても嫌な予感がするから、早くマップに戻らないと…！



「まぁ待てマリオ」


ガシッ！


「!?;」


急にクッパは僕の腕を掴んだ！僕の力では到底抜けられそうにない。

ど、どうしよう!?;


「ど、どうしたの…？クッパ;;」

「いや、何、部下の思い違いの話とはいえ、貴様が我輩の事を心配してくれて今とっても嬉しいのだ」


折角のチャンスだ、逃してなるものか！←


「という訳でだマリオ、今からお礼がしたい。一緒に来てくれるな？」

「い、今から？;今は無理だよ。まだゲームの途中だから…」
「こんなゲーム別にいいではないか、ほれ行こう！」

「ちょ、ちょっと…!?;」


クッパは僕の腕を手繰り寄せ、僕を何処かへ連れて行こうとしている…！

こ、このままじゃ何されるか分かったもんじゃない！;


でも、逃げようにもこのままじゃ無理だ;どうしたら…？



シュン！


「何をやってるかと思えば…」


「!?」

「げっ！緑の髭!?;」


しかも髭だけじゃなく、ワリオやピーチちゃんまでここに来たのだ;


糞っ！後一息だと言う時に…！


「お前等、勝手に動いて我輩のマスを踏んだな？」

「何を言ってるのやら。それはお互い様だろう？」

「そうよ！マリオをどうする気!?すぐに離しなさい！」

「俺様のもんに手を出されるのは困るぜ？」

「皆…」


助けに来てくれたみたいだ！でも、クッパからどうやって逃げよう…？まだ腕は離してくれないし;


「ちっ！」


グイッ！ガシッ！


「!?;」

「兄さん!?;」


マリオを急いで手元へ寄せ、思いっきり抱きしめる形でキャッチ！


このまま撤退だ!!


奴等を背に逃げ出した！




だが…


「逃がすかよっ！」

「はぁあ！」

「やっ！」


ドカッ！

バコンッ!!

ドゴォッ!!!



「ハガァッ!!?;;」



…これは後になってマリオから教えてもらった事なのだが、この時、ワリオが我輩の足へ高速ヘッドディングし見事ヒット。
よろけた我輩の頭にピーチちゃんの凄まじい勢いで振り下ろされたフライパンが見事的中。
そして更によろけた我輩の顔面へ、緑の髭の全力で放った蹴りが見事クリティカルヒットし、我輩は流石に耐えきれず失神したそうだ。

くそ…、抜け駆けは駄目ということか。


そして我輩が目覚めたのは、次の日の朝のことだった。


おわり


次、あとがきとおまけ