電話
マリオ視点
~ブクブク深海スタート地点~
「ワハハハ!マリオ、残念だが1番はこの俺様だからな」
「あらワリオ、随分強気な事じゃない?残念だけどこの私が1番を頂いちゃうかもしれないわよ!」
「…おしとやかな女ならそこは男を立てるもんじゃねぇのか?;」
「な、何よそれ!?悪かったわね!おしとやかじゃなくて!;」
「ま、まぁまぁ2人共落ち着いて…」
「落ち着いてるわよ!」
「2番手が出しゃばんな!」
「んだとゴラァ!!」
今日の3人はとても元気だ。これからのゲームが白熱しそうで楽しみだな。
そう思っていると。
ヒソヒソ…
「?」
スタート地点のセットの裏から何か話し声が聞こえる。
僕は、話している者達に気付かれぬよう、そっとセットの近くに近付き聞き耳を立てることにした。
「ガウ、おい聞いたか?」
「何がだ?」
この話し声、ミニクッパ達のもののようだ。ミニクッパ達は僕の事には気付かぬまま話しを進めていく。
「今日掃除当番のやつからの話なんだけどさぁ」
「おう…」
「クッパ様、元気が無いらしいんだ」
え…?
「え!?あのクッパ様が?;」
「あぁ、凄く大きなため息をしていらっしゃったそうだ」
「なにか悩みでもおありになるのか?心配だな;」
「あぁ、俺達で何か出来ないものか…」
「うーん…」
あのクッパが、元気が無い…。
ドキリ…
ミニクッパの言葉を聞いた時、驚きというよりも動揺に近い、とても変な感覚に陥った。何故そうなったのか、僕にはよく分からなかった。
「おいオヌシ等!いい加減にせぬか!!後マリオ!」
「?」
振り向くと、ミレニアムスターがいつの間にかいた。
3人はスターに怒られたらしく、罰の悪そうな顔をしていた。
「早く位置に着け!順番を決めるぞ!」
あぁ、今からサイコロ振るんだっけ。
僕も慌てて所定の位置に着いた。
十数分後…
MARIO START
「うーん…」
あれから何ターン後かな。アイテムゲットのミニゲームで、偶然にもクッパ電話を手に入れた。
普通だったら、ライバルになりすまして電話して、ライバルのもとへクッパが行くように仕向けるのだけど…。
何故か今、僕はその電話を手に、掛けようか掛けまいか悩んでいた。
…どうしても、会って確認したいんだ。
ここ1、2週間は仕事が忙しくてカートとかゴルフとかなかったし、見かける機会は無かったからね。その間に悩みが出来たのだろうか?
ミニクッパの話が本当なら、今クッパは元気が無いはず。
もしかしたら、会って話せば、何で元気が無いのか聞き出せるかもしれない。
そして、あわよくば…
クッパを励ますことも…
そしたらきっと、この不安にも似た変な胸の高鳴りも消えるかもしれない…。
…でもここで言う事じゃないしなぁ…それにもし…怪しまれたらどうしよう…?変に思われちゃうかな…?;
そうして悩む事数分…
「おーいマリオー!」
「?」
あれ?遠くからワリオの声がする。
「お前ずっと何してんだ!?早くサイコロ回せー!俺様はもう待ちくたびれてんだぞー!!」
流石に悩み過ぎたみたいだ;
「うーん!ごめーん!」
もう、決めるしかない…。
僕は、クッパ電話の通話ボタンを押した。
プルルル…プルルル…
ガチャ
『…もしもし、クッパだけど』
「もしもし」
良かった、繋がった。…アイテムだから当たり前か←
『おまえはだれ?』
「マリオだよ」
『ほぅそうかそうかマリ………』
?、どうしたんだろう?向こうで何かあったのかな…?;
「?、どうしたの?;」
『い、いや何でも無いのだ!よしよしではそっちに行くから待っていろ。ガハハハハ!』
プチ!
ここで電話が切れた。
よし、これでクッパの所へ行ける…!
大丈夫かなクッパ…
シュン!
「おっと;」
考え事をしている間に、僕はどうやらクッパのもとへ転送されたらしい。
目の前には1、2週間ぶりに見た宿敵の姿があった。
…見るからには、元気が無さそうには見えないが…?;
「ガハハハハ!会いたかったぞマリオ」
でも実際聞かないとそういうのって分からないよね…。
「さーて、今回はどんな恐ろしいイベントが起こるかな?ガハハ!それでは、ルーレットでイベントを…」
「クッパ」
「?」
僕はクッパのお決まりのセリフを遮るように呼んだ。そうしないと、早々にイベントが終わってまたマップに戻されてしまうと思ったから。
「何なのだ?」
…もう、聞くしかない。
「…最近、元気が無いそうじゃないか。どうしたんだい?」