お薬
「わあああーー!!!」
「「!?」」
いきなり入り口の方から何かの衝撃で何人かの盗賊が倉庫の中に吹っ飛んできたのだ。
勿論中は騒然である。
「な、何だ何だ⁉」
「おい!何があった!」
「うぐ…、それが…変な女が突然やって来て…急に襲ってきて…いつつ…」
「女だと…⁉」
「!?」
(まさか…!)
吹っ飛んできた男の話にハッと嫌な予感を感じたマリオは、男が吹っ飛んできた先、入り口の方を見た。すると…
カツ…カツ…カツ…
夕日が差し込んでいる入り口から、1つの影がヒールの音を立てゆっくり歩いてくるのが見えたのだ。
「だ、誰だ!」
「こんな事してタダで済むと思ってるのか!!」
「…」
(まさか…そんなまさかぁ…!)
カツ…カツ…カツ…
窃盗団の怒号が飛び交う中、とうとう1つの影が倉庫内に入ってきたのだ。
倉庫の光に照らされマリオからでも姿が見えるようになってきた。
その姿は…さっきまで目にしていた、頭に巻かれたスカーフ、サングラス、そしてトレンチコート…
カツ…カツン
「!!!!?」
「あんた達…私のマリくんに手を出して、ただで済むと思って?」
「…は?…え?」
「な、何?」
「マリくん…?」
「誰…?」
(ああああーーーー!やっぱり姫だったぁーーー!!)
先程帰した筈の姫君が、畳んだ日傘をパシパシと手にやりゆっくりと歩いてくる姿に、マリオは驚愕し人知れず顔を青ざめていた。
当の本人はそんな彼の気も、周りの奴等の戸惑いも知らないで、持っていた日傘をビシッ!と相手に向けたのだ。
「さぁ!マリくんを返してもらうわよ!」
「…フッ、何が何だか訳が分からねぇが、こちとらナメられたままじゃいけねぇ。野郎ども!この女を捕まえろ!金品根こそぎ奪ってやれ!」
「「おー!!」」
「!!」
(どうしよう!このままじゃ姫が…!)
1人の男の掛け声にその場にいた窃盗団の下っ端が姫に向かって走り出した。
この大人数では勝ち目ががない…!
そう感じたマリオは自分を縛っている縄を解こうと必死にもがくが、縄はうんともすんとも言わない。
(くそっ!早くしないと姫が…!)
焦るマリオだが、縄はキツく結ばれており、子どもの状態では全く歯が立たないのであった。
だが…
「うふ」
ピーチは1人微笑むと、持っていた傘を目にも留まらぬ速さで窃盗団に向け何度も振りかざしたのだ。
スパパパパパーーン!!!
「「うわぁあああああ!!!!」」
ドガガガガーーーン!!!
一打一打が重かったのだろう。日傘の攻撃を受けた下っ端達は吹っ飛び、積荷や壁にぶつかった。その衝撃で気絶する者や満身創痍で動けない者が多数に登っているようで、それを見て怯え出す者が出てきた。
「な、なんだあの女は⁉化け物か⁉」
「ひ、ひいいいいぃい!!」
「馬鹿野郎!怯むな!構わず行け!」
指示を出しているボスが残りの下っ端に向けそう吠えた時…
「もう遅いわ」
スパパパパパーーン!!!
「「ぎゃああああああああ!!!!」」
ピーチは相手が気付かない程の速さで近づき、日傘の猛攻撃を再び繰り出したのだ。
彼等は気付かぬ内に攻撃を受け、訳が分からずに空中へ吹っ飛ばされていた。
ピーチは見事残りの窃盗団も吹っ飛ばす事に成功したのである。
「す、凄い…」
あまりの出来事にマリオは思わず息を飲む。まさかこんな早さで敵を一掃するとは思っていなかったからだ。
そしてそんなマリオのもとへピーチが駆け寄ってきた。
「マリくん!大丈夫?」
「は、はい、大丈夫ですが…」
「今切るから待ってて!」
ピーチは先程ぶっ飛ばした奴等が落としたであろうナイフを拾い、固く結ばれている縄を切った。
「これでよし!」
「よし!…じゃありません!帰って下さいと言った筈です!何故来たのですか!」
「そりゃマリくんを助ける為に決まってるでしょ!今の貴方はお子様なんだから。現に貴方捕まってたじゃないの」
「ぐ…、そ、それはそうですが…だからといって危険すぎます!もっと御自身を守るということを…」
「確かに…!」
「?」
「確かに私の立場上自分自身の事を大事にしないといけない。さっきもそう考えて貴方を先に行かせてしまった。…でも私は、今日一日マリくんを守るって決めたの!マリくんの為なら例え火の中水の中よ!」
キリッとした顔でそう言う姫に対し、マリオは黙ったまま何も言わなかった。ピーチが心配していると、彼から小さくか細い声が聴こえてきたのである。
「…。ぁ…」
「?」
「…あ、ありがとう…ございます…その…守って頂いて…」
・・・。
「うふ!どういたしまして!」
彼の恥ずかしそうにして言う感謝の言葉に、ピーチは最初はポカンとしていたが、次第にニコニコと嬉しそうに笑い返事をしたのだった。
「本当にマリくんったら可愛いんだから!」
ガバッ!ナデナデ…
「!?」
そう嬉しそうに言うピーチはマリオを抱きしめ頭を何度もナデナデしだした。
(…惚れ薬の一件といい今日一日の行動といい、何故ここまで姫はスキンシップを取るのだろうか…。…でも、最近姫はご公務で忙しかったみたいだし、僕や皆に構ってほしかったのかな…。
…だけど、やっぱり…)
「は、恥ずかしいですし、痛いです、姫…」
「えー、いいじゃない、後ちょっとだけ!」
「うぅ…」
今回の最大の原因である姫の笑顔に絆され若干呆れつつ、しばらくの間、恥ずかしながらもピーチの好きにさせているマリオなのだった。
「「!?」」
いきなり入り口の方から何かの衝撃で何人かの盗賊が倉庫の中に吹っ飛んできたのだ。
勿論中は騒然である。
「な、何だ何だ⁉」
「おい!何があった!」
「うぐ…、それが…変な女が突然やって来て…急に襲ってきて…いつつ…」
「女だと…⁉」
「!?」
(まさか…!)
吹っ飛んできた男の話にハッと嫌な予感を感じたマリオは、男が吹っ飛んできた先、入り口の方を見た。すると…
カツ…カツ…カツ…
夕日が差し込んでいる入り口から、1つの影がヒールの音を立てゆっくり歩いてくるのが見えたのだ。
「だ、誰だ!」
「こんな事してタダで済むと思ってるのか!!」
「…」
(まさか…そんなまさかぁ…!)
カツ…カツ…カツ…
窃盗団の怒号が飛び交う中、とうとう1つの影が倉庫内に入ってきたのだ。
倉庫の光に照らされマリオからでも姿が見えるようになってきた。
その姿は…さっきまで目にしていた、頭に巻かれたスカーフ、サングラス、そしてトレンチコート…
カツ…カツン
「!!!!?」
「あんた達…私のマリくんに手を出して、ただで済むと思って?」
「…は?…え?」
「な、何?」
「マリくん…?」
「誰…?」
(ああああーーーー!やっぱり姫だったぁーーー!!)
先程帰した筈の姫君が、畳んだ日傘をパシパシと手にやりゆっくりと歩いてくる姿に、マリオは驚愕し人知れず顔を青ざめていた。
当の本人はそんな彼の気も、周りの奴等の戸惑いも知らないで、持っていた日傘をビシッ!と相手に向けたのだ。
「さぁ!マリくんを返してもらうわよ!」
「…フッ、何が何だか訳が分からねぇが、こちとらナメられたままじゃいけねぇ。野郎ども!この女を捕まえろ!金品根こそぎ奪ってやれ!」
「「おー!!」」
「!!」
(どうしよう!このままじゃ姫が…!)
1人の男の掛け声にその場にいた窃盗団の下っ端が姫に向かって走り出した。
この大人数では勝ち目ががない…!
そう感じたマリオは自分を縛っている縄を解こうと必死にもがくが、縄はうんともすんとも言わない。
(くそっ!早くしないと姫が…!)
焦るマリオだが、縄はキツく結ばれており、子どもの状態では全く歯が立たないのであった。
だが…
「うふ」
ピーチは1人微笑むと、持っていた傘を目にも留まらぬ速さで窃盗団に向け何度も振りかざしたのだ。
スパパパパパーーン!!!
「「うわぁあああああ!!!!」」
ドガガガガーーーン!!!
一打一打が重かったのだろう。日傘の攻撃を受けた下っ端達は吹っ飛び、積荷や壁にぶつかった。その衝撃で気絶する者や満身創痍で動けない者が多数に登っているようで、それを見て怯え出す者が出てきた。
「な、なんだあの女は⁉化け物か⁉」
「ひ、ひいいいいぃい!!」
「馬鹿野郎!怯むな!構わず行け!」
指示を出しているボスが残りの下っ端に向けそう吠えた時…
「もう遅いわ」
スパパパパパーーン!!!
「「ぎゃああああああああ!!!!」」
ピーチは相手が気付かない程の速さで近づき、日傘の猛攻撃を再び繰り出したのだ。
彼等は気付かぬ内に攻撃を受け、訳が分からずに空中へ吹っ飛ばされていた。
ピーチは見事残りの窃盗団も吹っ飛ばす事に成功したのである。
「す、凄い…」
あまりの出来事にマリオは思わず息を飲む。まさかこんな早さで敵を一掃するとは思っていなかったからだ。
そしてそんなマリオのもとへピーチが駆け寄ってきた。
「マリくん!大丈夫?」
「は、はい、大丈夫ですが…」
「今切るから待ってて!」
ピーチは先程ぶっ飛ばした奴等が落としたであろうナイフを拾い、固く結ばれている縄を切った。
「これでよし!」
「よし!…じゃありません!帰って下さいと言った筈です!何故来たのですか!」
「そりゃマリくんを助ける為に決まってるでしょ!今の貴方はお子様なんだから。現に貴方捕まってたじゃないの」
「ぐ…、そ、それはそうですが…だからといって危険すぎます!もっと御自身を守るということを…」
「確かに…!」
「?」
「確かに私の立場上自分自身の事を大事にしないといけない。さっきもそう考えて貴方を先に行かせてしまった。…でも私は、今日一日マリくんを守るって決めたの!マリくんの為なら例え火の中水の中よ!」
キリッとした顔でそう言う姫に対し、マリオは黙ったまま何も言わなかった。ピーチが心配していると、彼から小さくか細い声が聴こえてきたのである。
「…。ぁ…」
「?」
「…あ、ありがとう…ございます…その…守って頂いて…」
・・・。
「うふ!どういたしまして!」
彼の恥ずかしそうにして言う感謝の言葉に、ピーチは最初はポカンとしていたが、次第にニコニコと嬉しそうに笑い返事をしたのだった。
「本当にマリくんったら可愛いんだから!」
ガバッ!ナデナデ…
「!?」
そう嬉しそうに言うピーチはマリオを抱きしめ頭を何度もナデナデしだした。
(…惚れ薬の一件といい今日一日の行動といい、何故ここまで姫はスキンシップを取るのだろうか…。…でも、最近姫はご公務で忙しかったみたいだし、僕や皆に構ってほしかったのかな…。
…だけど、やっぱり…)
「は、恥ずかしいですし、痛いです、姫…」
「えー、いいじゃない、後ちょっとだけ!」
「うぅ…」
今回の最大の原因である姫の笑顔に絆され若干呆れつつ、しばらくの間、恥ずかしながらもピーチの好きにさせているマリオなのだった。