お薬
~ワルイージの家~
「成程、でもその場で爺さんに薬作ってもらえば良かったじゃねぇか?」
「そんな簡単に言わないでくれよ。薬を作るのに最短でも数日はかかるんだから」
「お爺さんも一から作り直すとすると1週間はかかるって言ってたしね」
「ほぉ、そういうもんなのか。だから俺の情報が必要って訳か。窃盗団から取り返す為に」
ワルイージの問いに2人はコクリと頷いた。
「因みにその窃盗団の名前とか特徴とか分からねぇか?」
「あぁ、それなら!」
そう言いピーチは2枚の写真を取り出しテーブルに置いた。
ワルイージは2枚の写真をペラリと取り上げまじまじと見る。
「これは…現場の写真と、監視カメラの写真か」
「そうよ、監視カメラは近くのお店のカメラに逃げる姿が偶々映っていたみたいで、無理言って貰ってきちゃった!」
「姫の根気勝ちでしたね…」
遠い目をしてそう言うマリオを見て色々察したワルイージはあまり突っ込まずに話をすることにした。
「…。成程、そりゃご苦労だったな。ふむ、現場に残されている無数の足跡に、監視カメラに映った複数の影から見ても窃盗団であるのは確かだな。そして、カラカラ砂漠周辺を狩場にしている窃盗団というと…アイツらかもしれねぇな」
「⁉、知ってるの⁉」
「あぁ、だが」
「「?」」
「その前に情報料だ。この情報に見合う情報か金を先に貰うぜ」
「もう!足元見てるわね」
「どんな情報でも俺にとっちゃ商品だからな」
「分かった。どんな情報が欲しいんだい?」
「そうだな、…昨日クッパ軍の定例会議だっただろ。その情報と交換でどうだ?」
「分かった、それでいいよ」
「えぇ⁉マリくん昨日クッパ城に行ったの?」
「はい、行きましたよ?」
「それが何か?っていうような顔やめてよマリくんっ!ダメでしょ!そんな危ないとこ行っちゃ!」
「いや昨日まで僕は成人男性だったんですよ⁉色々ごっちゃになってきてませんか⁉」
「よし、じゃあ交渉成立ってことで。実はコソ泥の界隈で情報通な奴がいるから、そいつにちょっと聞いてみるわ」
「うん、分かった」
「じゃあちょっくら電話してくるからなんか飲み物でも飲んで待ってな。冷蔵庫の中に入ってっから」
「ありがとう!そうさせてもらうわ!」
ワルイージは携帯を持ち部屋から出て行った。
「さて、喉も渇いたし、お言葉に甘えて頂いちゃいましょうか!」
「そうですね、僕取ってきます」
そう言いマリオは冷蔵庫を開けたが…
「…飲み物は、あった!…けど、…ぐぐ…と、届かない…っ!」
どうやら飲み物は冷蔵庫の上の方にあったようで今のマリオの背丈では届かないようだ。
「うーん、きっとワルイージ背が高いからつい上の方に置いちゃうんだね…」
その時
ふわっ…
「!?」
急にマリオの身体が浮いたのだ。それと同時に後ろから「はいっ!」と元気の良い声がした。
「どう?見える?」
「は、はい…、とても良く見えます…」
(うぅ、なんか恥ずかしい…)
普段守っている一国の姫君にこうも手取り足取り尽くしてもらっている状況にマリオはただただ恥ずかしさを覚えているのだった。
飲み物を飲み待っていると、ワルイージが部屋に戻ってきた。
「待たせたな」
「ううん、大丈夫よ!」
「どうだった?」
「例の奴等だが、やはり俺の知っている盗賊団だった。なんでも昨夜いくつかの店に押し入り金品や商品を盗んでいったようだ。現に警察も動きだしている」
「成程、それなりに有名な奴等なのね」
「そうみたいですね」
「そいつらだが、どうやら盗んだ物を国外に流すらしくてな、港街のどっかの倉庫に盗品を集めているって話だ」
「もしかしら、薬もその倉庫に…」
「恐らくな」
「分かった、ありがとう。取りに行ってくるよ」
「私も行くわ!」
「いいえ、姫はお城で待っていて下さい」
「!?、何故⁉」
「ここからは本当に危険です。何があるか僕にも分かりません。僕がこんな状態ではきっと貴女を守りきれない。…それに…もう、タイムリミットです」
「!?」
ピーチは驚き弾かれたように時計を見る。
時計は既に17時半になろうとしていた。
「ここから港街に行って戻ってくるだけでも30分以上かかってしまいます。僕の事は大丈夫ですので、申し訳ないですがお城に戻って頂きたいのです。お願いできますか?」
「そんな…⁉」
「ワルイージ、悪いんだけど姫を送り届けてほしいんだ」
「はぁ!?なんで俺がやらなきゃなんねぇんだよ⁉」
「本当にお願い!他の情報も足すから!お願いします!」
「…!…チッ、しょうがねぇな…。わーったよ、早く行け!」
「ありがとう!行ってくるよ!」
ダダダッ!バタン!
マリオは言葉少なめに急ぎ足でこの場から出て行った。
今回の事件に絡んだ盗賊団はそれなりに勢力も大きく有名である。奴等のことだ、今回の複数件の窃盗は前から計画を立てていたことなのだろう。よって盗んだものを早めに金に替える算段がある筈なのだ。
その為早い内に取り返しに行かなければ、薬は行方知れずになってしまう可能性があるのである。
マリオとワルイージはそう予想を立てていたようだ。その為ワルイージは情報の追加という報酬で妥協しマリオを行かせたのだ。
「はぁ、おいお姫様、バイク出してやるからお城に帰んな」
「…」
よっこらせと溜息交じりに呟きながらワルイージは立ち上がる。
だがピーチはこの場から動こうとせず、俯き考え込んでいるのだった。
「おい、聞いてんのか?もう行くぞ」
「……いやよ」
・・・。
「はぁ!?」
いきなりの否定の言葉にワルイージはただただ驚くばかりだ。先程マリオから受けた理不尽さも合わさり、本人でも分かる程言葉に苛立ちを隠せなくなっていた。
「時間無いんだろ⁉もう城に戻らなきゃなんねぇんじゃねぇのかよ!」
「でも駄目なの!」
「はぁ⁉どういうことだよ!」
「今行ったのは今までのマリオじゃなくてマリくんなのよ‼心配に決まってるじゃない!」
(マリくん…?)
「…、じゃあどうすんだよ。ここでずっと祈って待ってるって言うのか⁉」
「いいえ!助けに行くわよ!」
「はぁあ!?正気で言ってんのか⁉」
「当たり前じゃない!マリくんは私が守るの!」
そう自信満々に言う姫に、ワルイージはただただ呆れ溜息をつくしかなかった。
「はぁ、分かったよ。俺は止めねえよ。じゃあ頑張んな」
「何言ってるの?」
「あ?」
「早くしないと遅くなっちゃうでしょ?バイク出して!ほら!」
・・・。
「はぁあああああ!!?」
ワルイージの怒号は家の外にまでも響いたという。
ピーチは間に合うことができるのか⁉
「成程、でもその場で爺さんに薬作ってもらえば良かったじゃねぇか?」
「そんな簡単に言わないでくれよ。薬を作るのに最短でも数日はかかるんだから」
「お爺さんも一から作り直すとすると1週間はかかるって言ってたしね」
「ほぉ、そういうもんなのか。だから俺の情報が必要って訳か。窃盗団から取り返す為に」
ワルイージの問いに2人はコクリと頷いた。
「因みにその窃盗団の名前とか特徴とか分からねぇか?」
「あぁ、それなら!」
そう言いピーチは2枚の写真を取り出しテーブルに置いた。
ワルイージは2枚の写真をペラリと取り上げまじまじと見る。
「これは…現場の写真と、監視カメラの写真か」
「そうよ、監視カメラは近くのお店のカメラに逃げる姿が偶々映っていたみたいで、無理言って貰ってきちゃった!」
「姫の根気勝ちでしたね…」
遠い目をしてそう言うマリオを見て色々察したワルイージはあまり突っ込まずに話をすることにした。
「…。成程、そりゃご苦労だったな。ふむ、現場に残されている無数の足跡に、監視カメラに映った複数の影から見ても窃盗団であるのは確かだな。そして、カラカラ砂漠周辺を狩場にしている窃盗団というと…アイツらかもしれねぇな」
「⁉、知ってるの⁉」
「あぁ、だが」
「「?」」
「その前に情報料だ。この情報に見合う情報か金を先に貰うぜ」
「もう!足元見てるわね」
「どんな情報でも俺にとっちゃ商品だからな」
「分かった。どんな情報が欲しいんだい?」
「そうだな、…昨日クッパ軍の定例会議だっただろ。その情報と交換でどうだ?」
「分かった、それでいいよ」
「えぇ⁉マリくん昨日クッパ城に行ったの?」
「はい、行きましたよ?」
「それが何か?っていうような顔やめてよマリくんっ!ダメでしょ!そんな危ないとこ行っちゃ!」
「いや昨日まで僕は成人男性だったんですよ⁉色々ごっちゃになってきてませんか⁉」
「よし、じゃあ交渉成立ってことで。実はコソ泥の界隈で情報通な奴がいるから、そいつにちょっと聞いてみるわ」
「うん、分かった」
「じゃあちょっくら電話してくるからなんか飲み物でも飲んで待ってな。冷蔵庫の中に入ってっから」
「ありがとう!そうさせてもらうわ!」
ワルイージは携帯を持ち部屋から出て行った。
「さて、喉も渇いたし、お言葉に甘えて頂いちゃいましょうか!」
「そうですね、僕取ってきます」
そう言いマリオは冷蔵庫を開けたが…
「…飲み物は、あった!…けど、…ぐぐ…と、届かない…っ!」
どうやら飲み物は冷蔵庫の上の方にあったようで今のマリオの背丈では届かないようだ。
「うーん、きっとワルイージ背が高いからつい上の方に置いちゃうんだね…」
その時
ふわっ…
「!?」
急にマリオの身体が浮いたのだ。それと同時に後ろから「はいっ!」と元気の良い声がした。
「どう?見える?」
「は、はい…、とても良く見えます…」
(うぅ、なんか恥ずかしい…)
普段守っている一国の姫君にこうも手取り足取り尽くしてもらっている状況にマリオはただただ恥ずかしさを覚えているのだった。
飲み物を飲み待っていると、ワルイージが部屋に戻ってきた。
「待たせたな」
「ううん、大丈夫よ!」
「どうだった?」
「例の奴等だが、やはり俺の知っている盗賊団だった。なんでも昨夜いくつかの店に押し入り金品や商品を盗んでいったようだ。現に警察も動きだしている」
「成程、それなりに有名な奴等なのね」
「そうみたいですね」
「そいつらだが、どうやら盗んだ物を国外に流すらしくてな、港街のどっかの倉庫に盗品を集めているって話だ」
「もしかしら、薬もその倉庫に…」
「恐らくな」
「分かった、ありがとう。取りに行ってくるよ」
「私も行くわ!」
「いいえ、姫はお城で待っていて下さい」
「!?、何故⁉」
「ここからは本当に危険です。何があるか僕にも分かりません。僕がこんな状態ではきっと貴女を守りきれない。…それに…もう、タイムリミットです」
「!?」
ピーチは驚き弾かれたように時計を見る。
時計は既に17時半になろうとしていた。
「ここから港街に行って戻ってくるだけでも30分以上かかってしまいます。僕の事は大丈夫ですので、申し訳ないですがお城に戻って頂きたいのです。お願いできますか?」
「そんな…⁉」
「ワルイージ、悪いんだけど姫を送り届けてほしいんだ」
「はぁ!?なんで俺がやらなきゃなんねぇんだよ⁉」
「本当にお願い!他の情報も足すから!お願いします!」
「…!…チッ、しょうがねぇな…。わーったよ、早く行け!」
「ありがとう!行ってくるよ!」
ダダダッ!バタン!
マリオは言葉少なめに急ぎ足でこの場から出て行った。
今回の事件に絡んだ盗賊団はそれなりに勢力も大きく有名である。奴等のことだ、今回の複数件の窃盗は前から計画を立てていたことなのだろう。よって盗んだものを早めに金に替える算段がある筈なのだ。
その為早い内に取り返しに行かなければ、薬は行方知れずになってしまう可能性があるのである。
マリオとワルイージはそう予想を立てていたようだ。その為ワルイージは情報の追加という報酬で妥協しマリオを行かせたのだ。
「はぁ、おいお姫様、バイク出してやるからお城に帰んな」
「…」
よっこらせと溜息交じりに呟きながらワルイージは立ち上がる。
だがピーチはこの場から動こうとせず、俯き考え込んでいるのだった。
「おい、聞いてんのか?もう行くぞ」
「……いやよ」
・・・。
「はぁ!?」
いきなりの否定の言葉にワルイージはただただ驚くばかりだ。先程マリオから受けた理不尽さも合わさり、本人でも分かる程言葉に苛立ちを隠せなくなっていた。
「時間無いんだろ⁉もう城に戻らなきゃなんねぇんじゃねぇのかよ!」
「でも駄目なの!」
「はぁ⁉どういうことだよ!」
「今行ったのは今までのマリオじゃなくてマリくんなのよ‼心配に決まってるじゃない!」
(マリくん…?)
「…、じゃあどうすんだよ。ここでずっと祈って待ってるって言うのか⁉」
「いいえ!助けに行くわよ!」
「はぁあ!?正気で言ってんのか⁉」
「当たり前じゃない!マリくんは私が守るの!」
そう自信満々に言う姫に、ワルイージはただただ呆れ溜息をつくしかなかった。
「はぁ、分かったよ。俺は止めねえよ。じゃあ頑張んな」
「何言ってるの?」
「あ?」
「早くしないと遅くなっちゃうでしょ?バイク出して!ほら!」
・・・。
「はぁあああああ!!?」
ワルイージの怒号は家の外にまでも響いたという。
ピーチは間に合うことができるのか⁉