お薬
~ピーチ城倉庫~
「マリオ!今日は大掃除を手伝ってくれてありがとう!本当に助かったわ!」
「いえこちらこそ、僕も貴女やお城の人達には日頃からお世話になっています。これ位お安い御用ですよ」
姫の感謝の言葉に対し、マリオはニコリと微笑みそう答えた。
ピーチ城の奥には大きな倉庫がある。そこには国宝級のお宝から備品、ガラクタまで様々な物が収められている。
そして本日は、その大倉庫にて一年に一度の大掃除の日であった。勿論、マリオも手伝いの要請を受け大掃除に参加していたのだ。
彼の言葉に嬉しさからついニヤついてしまう口元を正し、ピーチはにこやかに話し始めた。
「疲れたでしょう?もしこの後予定が無かったら、一緒にお茶でもどうかしら?とても良い茶葉が手に入ったの!」
「それはいいですねぇ。では、御言葉に甘えさせていただきます」
そう言い微笑むマリオを見るや否やピーチもニコリと微笑み、彼女の近くに待機していたキノピコに目配せをした。
キノピコは合図を受けコクリ!と力強く頷くと、準備をする為に倉庫から足早に出て行った。
彼女は今回の計画に協力をしてくれる唯一のキノピオであり、計画の成功への要なのだ。
「では、今日は天気が良いしバルコニーに行きましょう!」
「そうですね!そうしましょう」
(よっし…!第1段階クリアだわ…!)
心の中で大きくガッツポーズをしたピーチはマリオを連れゆっくりと歩きだすのだった。
~バルコニー~
2人がバルコニーに着くとそこにはすでにキノピコが待機しており、彼女の側にある可愛い丸テーブルの上にはお茶菓子とティーセットが並べられていた。
「ありがとうキノピコ!」
「いえいえ!ささ、お二人ともお座りくださぁい!」
「姫、どうぞ」
「うふ、ありがと」
マリオが引いてくれた椅子に座り、ピーチはキノピコを見る。彼女はというと、手際良くお茶の準備をしてくれていた。
コポコポとティーポットにお湯を入れ蒸らしていると、お茶の香りがふんわりと周りへ広がり始めた。
「とても良い香りですね」
「ええ本当!この香りが買う決め手だったのよ!」
「桃の甘酸っぱい香りが貴女らしいです。この香りなら嗅ぐだけでも疲れが取れそうですね」
「「…っ⁉」」
「?、2人共どうしました?顔赤いですよ?」
「い、いえ…おほほ…」
(そ、それってこの紅茶が私の香りで紅茶の香りがマリオの疲れを癒してあげているということは私の香りでマリオを癒してあげていることにキャーーー!?)←
「お、お気遣いなく、ウフフ…」
(ぐ…、流石マリオさん。ど天然タラシの殺傷能力は半端ないわね…)
マリオの不意打ちに思わず驚愕し赤面してしまった2人であった。
(ぐぐ…、ここで心を乱されちゃ…、計画に支障を来すわ。しっかりするのよ私…!)
そう思い直しピーチは我にかえる。目線をマリオから横に向けると、キノピコがティーカップに蒸らし終えた紅茶を注いでいるところであった。
(さぁ、いよいよね…!)
ピーチはゴクリと唾を飲み込み緊張の面持ちでティーカップを見つめた。
そう、この計画の要はティーカップにあるのだ。
それは数時間前…
~ピーチの部屋~
「いい?キノピコ、作戦は至って簡単!この惚れ薬が塗りたくってあるティーカップに紅茶を淹れて、マリオに飲んでもらうの!」
「なるほど!ティーカップの内側に塗っておけば、紅茶に薬が溶け出して自動的に薬を飲んでもらえるってことですね!」
「その通りよ!少量でも効果があるって言っていたからこのやり方もありかなって。…大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫ですよー!わたしもお手伝いしますし!」
「それは心強いわ…!貴女にやってもらいたいのは、お茶を淹れてもらうこと、お茶を淹れた後は退室して誰もバルコニーに入ってこないように見張ってもらうことよ。お願いしてもいいかしら?」
「もちろんっ!お任せください!マリオさんが姫様以外の人に惚れないよう、何人たりとも中には入れません!」
ピーチとキノピコは作戦成功に向け、ガシッと固い握手をしたのだった。
「さあ、できましたよ!」
カタンカタンとキノピコがティーカップを2人の前に運ぶ。
そのティーカップは王室御用達のものであり、金と赤であしらわれた花や唐草紋様が入り王室ならではの気品さと豪華さが溢れている。もう一つのティーカップはピーチだけの特注品で、金と桃色のバージョン。彼女のお気に入りだ。
(赤い方のティーカップに薬を塗ったから、この紅茶を飲んでくれればマリオは…私にメロメロになる筈…!)
「あの、どうかしましたか?さっきからずっと真剣に紅茶を見て…」
「あぁいえ!?お、美味しそうだったからつい…っ!」
余りにもまじまじとティーカップを見ていたものだから怪しまれてしまいそうになり、ピーチはしどろもどろにはぐらかした。
「ま、まぁ、…いい匂いですものね」
ピーチの勢いのある弁明にマリオは圧倒されつつも納得したようだ。
ピーチはそれに内心ホッとしつつ、最終段階にはいることにした。
「さ、さぁ、冷めない内に頂きましょうか!」
「そうですね、頂きましょう」
「ではワタシはちょっと用事で席を外します。お二人でごゆっくりお楽しみくださいね!」
そう言いキノピコはピーチに小さくウインクをするとバルコニーから出て行った。
ピーチはキノピコが出ていくのを見届けると、自分のティーカップを持つ。マリオもそれに合わせもう一つのティーカップに手を伸ばした。
「では、いただきますわ」
「いただきます」
2人は紅茶を飲んだのだった。
「はぁ~、甘酸っぱい!やっぱり美味しいわぁ!」
あまりの美味しさにピーチは手を頬にあて思わず溜息が溢れる。
その時…
「ぅ…あ…っ」
「!?」
急にマリオは胸を手で押さえ苦しみ出したのだ。
「どうしたのマリオ!?」
「か、身体が…、っ、熱い…、うぅ…」
(こんなことになるなんて聞いてないわ…!どういうことなの⁉)
予想外の反応に焦る姫。だが、姫の気持ちとは裏腹に今度はマリオの身体が光りだした!
「な、何!?どういうこと…!?」
光は次第に強くなりマリオを直視できない程眩しくなった。ピーチはこの状況で目を開けられず、訳が分からずにそう叫ぶしかなかった。
だが、暫くすると光は消えたようで、ようやくピーチは目を開けることができた。
「…ぁ、あれ…?」
「うぅ…、ん…んん…?」
マリオも目を開けられるようになり、周りや自分を確認する。
だが、マリオ自身に異変が生じていたのだ。
「え…嘘…」
「そんな、嘘だ…」
「「ちっちゃくなってるううう!!!?」」
そう、マリオの身体が幼くなってしまったのだ!
そんな2人の悲鳴にも似た叫びは空に抜けこだましていったのだった。
「マリオ!今日は大掃除を手伝ってくれてありがとう!本当に助かったわ!」
「いえこちらこそ、僕も貴女やお城の人達には日頃からお世話になっています。これ位お安い御用ですよ」
姫の感謝の言葉に対し、マリオはニコリと微笑みそう答えた。
ピーチ城の奥には大きな倉庫がある。そこには国宝級のお宝から備品、ガラクタまで様々な物が収められている。
そして本日は、その大倉庫にて一年に一度の大掃除の日であった。勿論、マリオも手伝いの要請を受け大掃除に参加していたのだ。
彼の言葉に嬉しさからついニヤついてしまう口元を正し、ピーチはにこやかに話し始めた。
「疲れたでしょう?もしこの後予定が無かったら、一緒にお茶でもどうかしら?とても良い茶葉が手に入ったの!」
「それはいいですねぇ。では、御言葉に甘えさせていただきます」
そう言い微笑むマリオを見るや否やピーチもニコリと微笑み、彼女の近くに待機していたキノピコに目配せをした。
キノピコは合図を受けコクリ!と力強く頷くと、準備をする為に倉庫から足早に出て行った。
彼女は今回の計画に協力をしてくれる唯一のキノピオであり、計画の成功への要なのだ。
「では、今日は天気が良いしバルコニーに行きましょう!」
「そうですね!そうしましょう」
(よっし…!第1段階クリアだわ…!)
心の中で大きくガッツポーズをしたピーチはマリオを連れゆっくりと歩きだすのだった。
~バルコニー~
2人がバルコニーに着くとそこにはすでにキノピコが待機しており、彼女の側にある可愛い丸テーブルの上にはお茶菓子とティーセットが並べられていた。
「ありがとうキノピコ!」
「いえいえ!ささ、お二人ともお座りくださぁい!」
「姫、どうぞ」
「うふ、ありがと」
マリオが引いてくれた椅子に座り、ピーチはキノピコを見る。彼女はというと、手際良くお茶の準備をしてくれていた。
コポコポとティーポットにお湯を入れ蒸らしていると、お茶の香りがふんわりと周りへ広がり始めた。
「とても良い香りですね」
「ええ本当!この香りが買う決め手だったのよ!」
「桃の甘酸っぱい香りが貴女らしいです。この香りなら嗅ぐだけでも疲れが取れそうですね」
「「…っ⁉」」
「?、2人共どうしました?顔赤いですよ?」
「い、いえ…おほほ…」
(そ、それってこの紅茶が私の香りで紅茶の香りがマリオの疲れを癒してあげているということは私の香りでマリオを癒してあげていることにキャーーー!?)←
「お、お気遣いなく、ウフフ…」
(ぐ…、流石マリオさん。ど天然タラシの殺傷能力は半端ないわね…)
マリオの不意打ちに思わず驚愕し赤面してしまった2人であった。
(ぐぐ…、ここで心を乱されちゃ…、計画に支障を来すわ。しっかりするのよ私…!)
そう思い直しピーチは我にかえる。目線をマリオから横に向けると、キノピコがティーカップに蒸らし終えた紅茶を注いでいるところであった。
(さぁ、いよいよね…!)
ピーチはゴクリと唾を飲み込み緊張の面持ちでティーカップを見つめた。
そう、この計画の要はティーカップにあるのだ。
それは数時間前…
~ピーチの部屋~
「いい?キノピコ、作戦は至って簡単!この惚れ薬が塗りたくってあるティーカップに紅茶を淹れて、マリオに飲んでもらうの!」
「なるほど!ティーカップの内側に塗っておけば、紅茶に薬が溶け出して自動的に薬を飲んでもらえるってことですね!」
「その通りよ!少量でも効果があるって言っていたからこのやり方もありかなって。…大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫ですよー!わたしもお手伝いしますし!」
「それは心強いわ…!貴女にやってもらいたいのは、お茶を淹れてもらうこと、お茶を淹れた後は退室して誰もバルコニーに入ってこないように見張ってもらうことよ。お願いしてもいいかしら?」
「もちろんっ!お任せください!マリオさんが姫様以外の人に惚れないよう、何人たりとも中には入れません!」
ピーチとキノピコは作戦成功に向け、ガシッと固い握手をしたのだった。
「さあ、できましたよ!」
カタンカタンとキノピコがティーカップを2人の前に運ぶ。
そのティーカップは王室御用達のものであり、金と赤であしらわれた花や唐草紋様が入り王室ならではの気品さと豪華さが溢れている。もう一つのティーカップはピーチだけの特注品で、金と桃色のバージョン。彼女のお気に入りだ。
(赤い方のティーカップに薬を塗ったから、この紅茶を飲んでくれればマリオは…私にメロメロになる筈…!)
「あの、どうかしましたか?さっきからずっと真剣に紅茶を見て…」
「あぁいえ!?お、美味しそうだったからつい…っ!」
余りにもまじまじとティーカップを見ていたものだから怪しまれてしまいそうになり、ピーチはしどろもどろにはぐらかした。
「ま、まぁ、…いい匂いですものね」
ピーチの勢いのある弁明にマリオは圧倒されつつも納得したようだ。
ピーチはそれに内心ホッとしつつ、最終段階にはいることにした。
「さ、さぁ、冷めない内に頂きましょうか!」
「そうですね、頂きましょう」
「ではワタシはちょっと用事で席を外します。お二人でごゆっくりお楽しみくださいね!」
そう言いキノピコはピーチに小さくウインクをするとバルコニーから出て行った。
ピーチはキノピコが出ていくのを見届けると、自分のティーカップを持つ。マリオもそれに合わせもう一つのティーカップに手を伸ばした。
「では、いただきますわ」
「いただきます」
2人は紅茶を飲んだのだった。
「はぁ~、甘酸っぱい!やっぱり美味しいわぁ!」
あまりの美味しさにピーチは手を頬にあて思わず溜息が溢れる。
その時…
「ぅ…あ…っ」
「!?」
急にマリオは胸を手で押さえ苦しみ出したのだ。
「どうしたのマリオ!?」
「か、身体が…、っ、熱い…、うぅ…」
(こんなことになるなんて聞いてないわ…!どういうことなの⁉)
予想外の反応に焦る姫。だが、姫の気持ちとは裏腹に今度はマリオの身体が光りだした!
「な、何!?どういうこと…!?」
光は次第に強くなりマリオを直視できない程眩しくなった。ピーチはこの状況で目を開けられず、訳が分からずにそう叫ぶしかなかった。
だが、暫くすると光は消えたようで、ようやくピーチは目を開けることができた。
「…ぁ、あれ…?」
「うぅ…、ん…んん…?」
マリオも目を開けられるようになり、周りや自分を確認する。
だが、マリオ自身に異変が生じていたのだ。
「え…嘘…」
「そんな、嘘だ…」
「「ちっちゃくなってるううう!!!?」」
そう、マリオの身体が幼くなってしまったのだ!
そんな2人の悲鳴にも似た叫びは空に抜けこだましていったのだった。