流れ星


「終わったのね…」


私は張りつめていた緊張の糸が解れ、大きな溜息を着いた。


だって、今までの空気じゃ、真面に息が出来なかったんじゃないかと思ったから。


その時…


ドサッ!


「!?マリオ…!?」


マリオは突然その場に座り込んだ。それと同時に、マリオが持っていたハンマーも、光となって消えてしまった。


私は急いでマリオの所へ駆け寄る。


「マリオ!?しっかりして!!」

「…


はぁ…、疲れた…」


どうやらマリオはまだ生きてるみたい。良かった…



本当に…生きてて…



「良かった…」


「…?…ひ、姫…!?」


気が付けば私は沢山の涙を零していた。


不安が全部涙となったかのように、止まることは無かった。


「ほんと…に…っ…よかった…っ…!まり…おが…っ…いきてて…!」


本当に良かった…!本当に良かった…!!


またこうして生きて会うことが出来て…!



「まだ死ねる訳ないじゃないですか…」


そう言って、マリオは泣き続けている私の頬をそっと撫でた。


優しくて力強い彼の手…


彼の手から、彼の体温が頬に伝わってくる…。


「約束、しましたからね」


そう言って彼は微笑んだ。


「…!?」


あぁ、本当に、この約束の為だけに…!



それは、今朝じいがあの後付け加えるように言った言葉…。


『そういえば、ジュゲムがあの後、何故かマリオ殿は少しでも早く仕事を終わらせようと寝る間も惜しんで仕事を為されていたと言っていましたぞ。そして事件が起こった時も休む間もなく家路に着いていたのだとか…。きっと過度の睡眠不足で判断力も鈍っていたのかもしれませんなぁ…』


その言葉が私を更に不安にさせていた。

私のせいで…、私が約束をしたからマリオは…。


ずっとそう思ってた。


でも、マリオは…それを責める所か、…微笑んでくれて…。


「…っ」


私は更に泣いた。声にならない声で、年甲斐も無く…。



本当にありがとう…!そしてごめんなさい…!



そんな嬉しさと、申し訳なさで私は胸が一杯になった。


そしてマリオは頬ではなく今度は頭をポンポンと撫でてくれていた。



私たちを守ってくれた流星群は、まるで大粒の涙のように夜空を濡らす。


この涙が収まったら、ちゃんとマリオにありがとうとごめんなさいを伝えよう…!



涙が伝う頬も夜空も、いずれは渇く。



おわり


次、あとがきとおまけ
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