流れ星
「!?」
彼らからの衝撃的な言葉に思わず振り返ってしまった。それを見て彼らは更に口角を上げ嬉々として喋りだした。
「あれぇ?知らなかったのです?」
「そりゃあ知っていたらこんな所にいませんって」
「確かに」
「どういう事!?教えなさい!」
彼等の会話に、つい我慢出来ず、荒げた口調で私は彼らに問う。
「ヘヘヘ…聞いて驚け。マリオは我々クッパ軍の攻撃を食らい、交戦していた付近にあった深ーい谷底へ真っ逆さまに落ちたのだ!」
「!?そんな事って…!?」
「嘘ではない」
「!?」
「実際、マリオをあの谷底へ落としてやったのは…
…我々だからな!」
「…っ!!」
此奴らが…マリオを…!!!
余りの衝撃的な話に頭が怒り狂いそうだ。
嘘だ、こんなの嘘よ…。アイツ等がただ訳の分からない事を言っているだけ…!
そう頭に言い聞かしているのに、怒り狂った頭はその事実を隠してはくれなかった。
「そんなの…信じられる訳がないじゃない…!」
「いや…我々はしかと見た。我々の攻撃を食らい、転がりながら深い谷底へ、どこにも捕まる余裕すらなく落ちて行ったのだ…!!」
「そんな…!!」
「フハハハハ!もう奴は一生を終えたのだ!我々の手で終わらせてやったのだ!」
嘘…
「ここで貴女がどんなに待っていようが奴はもうここに現れることはない!」
嘘よ…
「奴とはもう星を見ることは無いが、我々のクッパ様なら、奴の何倍よりも素敵な天体観測にしてくれるでしょう!」
こんなの…
「さぁ、クッパ様が飛行船でお待ちだ。一緒に来て頂こう」
「絶対嘘よ!!」
「?」
私はいつの間にか精一杯の声でそう叫んでいた。
だがカメック達はそれを聞くやドッと笑い出した。
「またまたそんなこと言ってぇ、マリオはもう死んだんですよ?」
「嘘よ!マリオは絶対に生きてる!!」
もうマリオは…。
あの知らせを聞いてから何度思ってしまったことか…。
でももう決めたの…。
「私はそう信じてる…!!」
もう迷わない。
最後まで信じるわ…。
今一生懸命生きようとしているマリオの為に!
「姫、貴女のお気持ちはどうであれ、クッパ様は待たされるのは大変お嫌いな方。…ご同行願いますか?」
カメックはそう言い私の腕を掴もうと、私の方へ近づいてくる。
「ぐ…」
嫌だ…!
まだ約束の時間にすらなっていないのに…ここを離れる訳にはいかないのに…!
だけど私の力では彼等に太刀打ちできない。
ねぇ…どうしたらいいの…?
「マリオ…!」
私は無意識の内に、小さくそして強く願うようにその名を呼んでいた。